アメリカン・フィクションのレビュー・感想・評価
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黒人らしくない作風の黒人作家
主人公(ジェフリー・ライト)は作家で少しは出版されているが、黒人らしくない作風の黒人作家と評され、食うために教師もしている。
ところが怒りっぽいため誤解を招きやすく、休職となってしまう。
実家に戻ったが父は亡くなっており、母はアルツハイマー、姉は心臓疾患で急死、兄はゲイが理由で離婚、ヤケクソになって黒人らしい作品を書いた所、注目をあびることに。
とても面白い作品で、"らしい”生き方とは?
アメリカの核心を突く"揚げ足取り"
この作品について考えれば考えるほど、その目を見開くほどの恐ろしい面白さに気付かされる。彼らが聞きたいものだけ聞きたいような形で語られ、流行りモノのように世の中に溢れる白人のための免罪符。そんな耳の痛いお話を実によくできた構成・語り口で無駄なくまとめ上げている手腕に思わずうっとりするほど唸ってしまった。真に知的で挑戦的かつ時に爆笑できるほどのユーモラスさを忘れない。そして、それらを体現する主演ジェフリー・ライトの素晴らしさにお見事。
始めよう、まずは誰から?主人公は(格式高い)文学作品を書く小説家であり同時に博士として教鞭をとっているが、あまりに時代の流れにそぐわないハッキリとした不適切な物言いがために、休職になってしまうところからこの物語は始まる。今の風潮を皮肉り倒した、ファストフードみたいな味付けの画一的ステレオタイプな侮辱的黒人描写満載の"ザ・黒人"な本を書いたら、まさかのそれが大当たりしてしまって…?! 主人公自身がうんざりと軽蔑している偽善の核心へと迫ることとなる。真実を打ち明けます…ファック。
まず主人公モンクは医者一家の出であるということ。つまり、作中お金に苦労する描写もありながら、基本的には金持ちの出である(家政婦もいる)。それは、彼もまた実際には侮辱的表現満載の"黒人のエンタメ"で描かれるような、黒人は"ストリート"で"ラップ"を歌って"ドラッグ"して最後は"警察に殺される"という生き方とは無縁な人生を過ごしてきたということ。それ以外の生き方もある。
あと、主人公の兄弟がゲイという設定も、"黒人エンタメ(ビジネス)"同様に、ゲイもまた"LGBTQエンタメ"として流行りモノ・風潮のように消費搾取されているということではなかろうか。そう、本作はアメリカに限ったことではない。今を生きる私たち皆にとって、大いに笑えて時に痛い今を映し出す"フィクション"。
作中出てくる黒人女性作家と"ザ・白人"な映画監督が如何にもな形でそれぞれの立場や主張を体現していて、(少しムカつきながらも)作品として良かった。また、モンクがそうした冗談みたいに不本意な作品でも乗っからずにはいらない(ex. ずっとシャツしか着ないのに突然Tシャツ姿に(笑)w)、大金が入り用な理由もしっかりと尺を割いていて、本作を見ていると全編通していて理に適っている・納得のいくキャラクターや展開が気持ちよかった。
"So much death."
MY PAFOLOGY
FUCK
「皆お前を愛したい、俺には分からないが。愛してもらえ」
「罪悪感から逃れたい白人のために書いている」「君の本と違いが?」
「今こそ黒人の声に耳を傾けるべき」
天才は孤独
"Gimme some real." 死ぬのか?サイコーだ!
P.S. 拳銃自殺した父親についてはまだ考え中…。
メタメタ認知
アカデミー賞ノミネート作品?
本作はパーシヴァル・エヴェレットの小説「Erasure」を原作にした風刺的なブラックコメディ。売れない作家セロニアス・“モンク”・エリソンは、新作の原稿が「黒人的ではない」という理由から出版社に受け入れてもらえず、対照的に白人社会の求める黒人像に迎合した作品を書く若手作家が人気を集めている現状に不満を抱き、勢いであらゆるステレオタイプを詰め込んだ小説を執筆。別人の名前をペンネームにして出版したその小説が、図らずして大ベストセラーとなってしまい…。
「マスター・オブ・ゼロ」やHBOのテレビシリーズ「ウォッチメン」の脚本家として知られるコード・ジェファーソンが初めてメガホンをとり、主演のモンク役を演じるのはダニエル・クレイグ版「007」シリーズのジェフリー・ライト。共演にはトレーシー・エリス・ロスやイッサ・レイ、本作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたスターリング・K・ブラウンのほか、アダム・ブロディやキース・デイヴィッドらが名を連ねている。
昨年秋に行われたトロント国際映画祭でプレミア上映されるや大絶賛を浴び、同映画祭の観客賞を受賞。同賞を受賞した作品は2008年から2022年までの15年間で14作品がアカデミー賞作品賞にノミネートされており、うち5作品が受賞を果たしていることから、一躍アカデミー賞の有力候補として大きな注目を集めることに。その後もアカデミー賞に向けた前哨戦となる全米各地の批評家協会賞でも数多くの賞に輝き、現時点で52の映画賞を受賞、アカデミー賞を含む153の映画賞へのノミネートを獲得している。
批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家から寄せられた好意的レビューの割合は94%で、観客からの好意的レビューの割合も95%と極めて高い水準をキープ。批評家ジュールデン・サールズは「IndieWire」に寄稿したレビューのなかで「黒人の知性主義を評価したり有意義なかたちで関与できない白人の性質や恩着せがましさに批判的な視点を向けた作品。白人中心のドラマが主流の映画界に新鮮な息吹を与えてくれる」と評している。
ここからは私の個人的な感想を…。
IMDbの評価、7.8/10、アカデミー賞主演男優賞や作品賞などにノミネートされたとあっては期待せずにいられないじゃないですか😭。
しかもコメディとあるからわかりやすいのかなと思ってたら、なんじゃこれ?…
字幕がない不利はあるけど、要は卑屈な黒人のあるある話?…
カナダの観客は上映中でも割と自由に笑ったり、時々くっちゃべったりするんですが、コメディの割に誰も笑わず…。やはり、移民も有色人種の多いカナダでは特に笑えないのかなと思いました。
とにかく、どういうところが面白くて、どんなメッセージ性を含んでたのかが知りたかったです。
やっぱり映画.comの優れたレビュアーさん達の補助線がほしいなぁと、つくづく思います。
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