【推しの子】 The Final Actのレビュー・感想・評価
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独特のセンスに貫かれた衣装やライブシーンは見どころなんだけど、単体作品として観るには少し引っ掛かりもある一作
原作漫画もアニメも配信ドラマもあまり触れないままこの劇場版を鑑賞した観客による感想です。
きらびやかなライブシーンは臨場感があり、アクア(櫻井海音)とルビー(齊藤なぎさ)、そしてアイ(齋藤飛鳥)らの独創的なファッションも新鮮で、スクリーンで鑑賞する楽しさが多い作品でした。
一方で配信ドラマの鑑賞を前提としているのか、説明不足と思えるような場面も少なくないので、単体の作品としてとらえるのは(一応物語上の決着をつけてはいるものの)難しいのでは、とも感じました。
例えば序盤に割と時間を割いて描くアクアとルビーの出生の秘密について、赤ちゃんのモーフィングとか実写ならではの驚きはあったものの、もしかしてこの設定、全く省いても本作の内容だと全く支障ないんじゃあ…、と思ってしまいました。原作とかどうなんだろ…。
映画製作の段取りの細部を描いている点はちょっと面白く(本作で「衣小合わせ」という言葉を学んだ!)観ることができたんだけど、ここに時間を割くよりも、アクアが中盤になって「あの目的」のためになんで「この手段」を取ったのか、その必然性を示すのが先では…、と感じました。
ちょっと理解に苦しむ展開や唐突な登場人物の登場に戸惑うことの多い作品だったけど、二宮和也の演技はそんなもやもや感を強引にねじ伏せてしまうような底知れなさがあり、彼の演技で作品全体がかなり上向きました!
誰推しでいくべきか?
実写の面白さを満喫できる作品
タイトルなし(ネタバレ)
アイドルグループ「B小町」のセンター、未成年のアイ(齋藤飛鳥)が妊娠、秘密裏に出産すべく地方の病院に入院した。
主治医の雨宮吾郎(成田凌)は、研修医時代に担当した患者の少女がアイ推しだったことから、少女が亡くなったあと、アイ激推しになっていた。
出産当日、吾郎は院内に不審者を発見。
追いかけたが捕縛できず、逆に刺されて絶命してしまう。
吾郎の魂は、アイが出産した双子のひとり、アクアに転生してしまう・・・
というところからはじまる物語。
ここまで書いたあらすじは事前情報で知っていた。
正直、メチャメチャな設定だなぁと思っていたし、まぁ、そんな感じ。
ですが、吾郎が殺されるまでは、意外と映画的リアリティがある。
360度アイドル然とした齋藤飛鳥の演技、成田凌のすっとぼけた雰囲気、それらがいい。
成田凌と齋藤飛鳥のコンビネーションが、アイドル映画の虚構に妙にリアリティを与えてい、意外と引き込まれる。
さて、成長したアイの双子、アクア(櫻井海音)とルビー(齊藤なぎさ)。
ふたりは芸能界で生きていた。
アクアは俳優、ルビーは新生B小町のアイドルとして。
アクアには大きな目論見があった。
幼い頃、自身の目の前で殺されたアイの復讐、真犯人のあぶり出し。
それは、アクアとルビーの父親探しでもある。
アイ殺害事件を映画化し、真犯人であるトップアイドル・トップ俳優の父親を糾弾しようというのである・・・
と展開する物語は、フィクションをフィクションでラッピングした二重構造。
そして、真犯人をトップアイドルの二宮和也が演じるという多層構造。
(若い頃を演じているのは是枝監督作品『怪物』の若き演技派、黒川想矢)
メタフィクション的な面白さ。
フィクションの屋上屋を重ねつつ、リアルとの接点は、二宮和也以外にもある。
完成した映画の披露試写会の会場「丸の内TOEI」である。
本作の製作・配給は東映。
まぁ、製作費を安く上げるための施策なのだろうが、2階席もある東映旗艦館。
2025年に取り壊しなので、最後の勇姿っぽい。
劇中映画『15年の嘘』の看板の掲げられたショットは、同館へのレクイエムかもしれない。
同館で鑑賞すると、二重に感慨深かったかも。
シネコンで鑑賞したのですが、もう一足のばせばよかったかも・・・
レビューちょっと脱線しましたが、原作漫画もドラマもアニメ未見の身でも面白く観れました。
転生バナシはなくてもいいんじゃない?とも思ったけどね。
配役も最高!原作・アニメファンでもリピートしたい
アマプラでドラマ鑑賞後に視聴。
個人的にアイ役の齋藤飛鳥さんが好きなのでアイ役がとても合っているなと思いましたし、アイを演じるのは彼女しかいないなと思えるくらい私の中ではぴったりでした。
ルビー役の齊藤なぎささん、カナ役の原菜乃華さん、MEMちょ役のあのちゃん、黒川あかね役の茅島みずきさんなど配役がとても合っており実写はこの方々しかいないと感じております。特に原菜乃華さん、カナそのものでした。カナ推しの方は可愛すぎてキュンキュンしてしまうのでは‥私は実写版のカナ推しになりました。
シリアスで辛いシーンが多く、観てて感情移入してしまうことも多かったですが、原作・アニメファンでも一度だけではなくニ度三度観たいと思えるくらい素晴らしい作品でした。
そうなるか〜!!!
アイドル映画ではない
アイドル映画だと思っていたら、意外に考えさせられてびっくりした。ちなみに原作もドラマも観ていません。結構グロいシーンもあって、小学生くらいが見たらトラウマになりそう。
知識無しでも楽しめましたが、人間関係がよく分からないところもありました。またワンシーズンの連続ドラマを総集編で見ている感じもありました。お互いの前世を知ったシーンなんて一番のクライマックスなのに、もっと時間をかけて欲しかった。
この映画のテーマって何なのでしょうね。愛することの難しさ?母の愛の偉大さ?芸能界の嘘と闇?監督や芸人、元アイドルの嫌なニュースが続いているので、ちょっと心配なシーンもありました。
最大の収穫は齊藤なぎさかな。最近ドラマで知ったが、単なる元アイドルとは思えないオーラを感じます。今後の注目株ですね(原さんはすでに売れっ子なので除く)。
危うげな輝き
原作もアニメもすごく良かったので、実写版への期待と不安が相半ばする中でドラマを観はじめた。
しかしそこでは、芸能界という舞台がチープ感なく再現される一方、登場人物たちの悩みや葛藤がしっかりと描き出されており、ストーリーを熟知しているにもかかわらず一気に物語に引き込まれた。これは偏に、演出だけにとどまらず、原菜乃華をはじめとするキャストたちの演技力の賜物であろう。作品の芯となる「危うげな輝き」が全編を通して伝わってくる。
ドラマを一気に観終わると我慢できず、すぐに映画館へ。冗長に作品を引っ張ることなく、映画編でしっかりと完結となっており満足。こんな感じのドラマ〜映画へのリレー視聴を前提とした作品が今後増えてきそうな感もある。
B小町のライブなどのシーンをスクリーンサイズで体感できたのも良かった。ところどころ細かい小道具などにもこだわりがありそうな印象があり、何度もリピートしてみたい作品でもある。
ただひとつ難点を挙げると、原作やアニメで鮮烈な印象を残した黒川あかね(茅島みずき)、そして映画版においては有馬かな(原菜乃華)もやや影が薄い。先述に反する感もあるが、ここはドラマでのスピンオフ作品などでしっかりと描いてもらえないかな。
原作もアニメも配信ドラマも知らずに見ましたが……
サスペンスとして思ったより楽しめるものがありました。
また、劇中のアイドル集団「B小町」のステージシーンも素晴らしく、映画のみならず派生する展開もあるのかな? という期待があります。
中盤から後半は二宮さんの存在感が大きすぎて、逆にアンバランスな作品になりすぎているきらいもありましたが、非常に楽しい作品だったので、他メディアの作品をちゃんと見たい気になりました。
原作ファン向け?
恋する輪廻 せんせ・アイ・アクア
原作 未読、アニメ シーズン1のみ視聴、実写ドラマPrime Video 視聴済み。
アニメがシーズン1のみなのは、衝撃の第1話と2話以降の落差に興味を維持出来なかった。2話以降は単なる芸能界や学園ドラマと感じたから。もちろん終盤に向けて謎解きやスリラー要素が高まることは容易に想像できるが、シーズンで途切れるのであればそのシーズンのラストでの山が必要であり、それが出来なければ一気に話を進めて欲しいと思うから。
実写ドラマはアニメ第1話の部分が大きく省略されていて驚いたが、出演者の魅力が溢れていてとても素晴らしい実写化だと思った。
そしてドラマのその後が描かれる映画版。しかし ドラマの次は映画で儲ける、ではない。ここではドラマ化された部分を一旦切り離し、大きく目線をずらす必然性があったのだと思う。そして大画面も。
映画の前半1時間弱がアニメの1話分に相当する。映画のみを観た人はストーリーの核心部分のみを見ることができ、ドラマから見た人はより深く人物像や世界観を理解できる。そういった点でこの再構成は必要であったのだろう。でも実質残り1時間で話が完結するのか不安の映画館であったが。
私にはインド映画「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム(2007,日本公開2013)」を思い出さずにはいられなかった。
(宝塚でも舞台化された名作です。ただ配信もなく DVDも入手困難)
後半は真相解明編・復讐編なのだが、この復讐劇に直接無関係なドラマ主要人物も必要な部分で登場しているし、新生B小町のライブもしっかり有り、「アイドル『アイ』とB小町」の映画である事も再認識できた。
そして、
無事に復讐を遂げることはできるのか?
ラストは………………、
コレが………、
最善の方法なのだろう。
ルビーを守るためには…。
原作、アニメと違う【推しの子】
序盤はちゃんとドラマを観てない人でも楽しめるように前置きがしっかりと描かれているのでまだ観てない人でも楽しめるように配慮されていました。ドラマ観た人でも楽しめるようにちゃんとドラマに無かったシーンも追加され丁寧に描かれていて凄く鳥肌が立ちました。YOASOBIの楽曲"アイドル"、推しの子の小説版"45510"を知ってる人なら凄く感動するシーンが多数あるので必見です!
中盤から終盤にかけては無駄が無くテンポ良く進み凄く綺麗にまとめられていて驚きました。"15年の嘘"の原作感動シーンも映画オリジナルも加えたりしながらちゃんと描かれていて凄く感動して泣きました。それに留まらずトドメの終幕、エンドロールで涙腺を更に刺激してきてもう凄い泣かされました。
すごく【推しの子】愛溢れる映画となっていて凄く推せる1作品です。凄く良い意味で原作、アニメと違う【推しの子】!! 凄くいいのでまだドラマ観てない人でも観てもらいたい作品です。この映画はフィクションでありながらリアルな世間の闇を描いてくれています。
有馬かな役のファンになった
ドラマ程では無かったけど良かったです。
ドラマ含めですけど有馬かな、アクア良かった特に有馬かなが凄すぎる…他のキャストもアイは動くと「あれ?アイじゃん」てなるしMEMちょはあのちゃん以外はあり得ないし主要メンバーはほぼ予想を超えてきました。
ただルビーはドラマからずっとうーん…て感じでドラマのとあるライブで「アイのスター性を受け継いでて〜」てシーンがあるけど、そう?て感じでしたし有馬かなラストライブでもダンスのキレが有馬かなの方が良かったような…
作中のセリフと実際の役者達がリンクして見えてきて、ルビー役の子は周りが凄いから悩みながら頑張ったんだろうな…とか勝手に妄想して見てました。
少し駆け足感があったのとラストもう一押し何かオリジナル展開が欲しいなと感じましたがドラマ版が凄く良かったので合わせて☆4
倉科カナ、片山萌美エロすぎ!!
さよならの始まり
原作知らず
大変面白く観ました!(ただしドラマ版は必ず観てから映画を観た方が良いかと‥)
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、今作の映画『【推しの子】 The Final Act』を大変面白く観ました。
一方で、ドラマ版のエピソードはほぼ映画では描かれないので、Amazonプライムのドラマ版は観てから映画を観た方が良いとは思われました。
個人的には時代の流れとはいえ、映画と配信に分けるのはどの作品でも疑問はあるのですが、ドラマ「【推しの子】」は、観てその質と志の高さに驚かされました。
ドラマ「【推しの子】」はいわば芸能批評も加えられていると思われましたが、批評に留まらず、必ず登場人物の主観に戻る素晴らしさがあったと思われます。
1人の登場人物が、客観的批評性と主観的ドラマ性を、同時に成り立たせる構成は、今まで意外になかったのではと、唸らされました。
そして今作の映画『【推しの子】 The Final Act』ですが、特に前半のアイ(齋藤飛鳥さん)が素晴らし過ぎたと思われました。
子供虐待のネグレクトを扱った作品は、今年に限らずこれまで映画やドラマで数多く描かれて来たと思われますが、アイを演じた齋藤飛鳥さんの解釈と演技は、これまでの同様題材の歴代の作品の中でもトップクラスの素晴らしさだったと思われます。
齋藤飛鳥さんが演じたアイによって、ドラマと映画を通しての【推しの子】に、作品の深さと一貫性の力強さが貫かれていたと思われました。
雨宮吾郎(成田凌さん)と天童寺さりな(稲垣来泉さん)との関係性も本当に良かったと思われました。
もうこれだけで今作の素晴らしさは達成されていたと思われ、なので称賛だけを言いたいところですが、映画の後半に問題がなかった訳ではないとは、一方で思われました。
映画の後半の問題は、細かくは私的には4点あったように思われます。
まず1点目の後半の問題は、後半で描かれたアイのドキュメント的な再現映画(「15年の嘘」)に対する、批評的(批判的)な目線がなかったことです。
(ドキュメント的な再現映画への批判的批評性は、当然、一般論として可能だったと思われます。)
ドラマ「【推しの子】」は、優れた点の1つに、上でも触れた芸能批評がありました。
そのドラマ版にはあった批評的メタ視点が、今作の映画の後半には(すなわち映画を通して)なかったと思われました。
そして、(ドラマ版にはあった)批評的メタ視点の欠如は、作品としての後半の重層性が薄まった要因の1つだと思われました。
もちろん作中映画「15年の嘘」は、ドラマ版で描かれた芸能の話ではなく、星野アクア(櫻井海音さん)が、カミキヒカル(二宮和也さん)をおびき寄せる為に仕掛けた策略の一環でした。
となると、(批評的メタ視点でなく)カミキヒカルをどのように作中映画「15年の嘘」でおびき寄せることが出来たのか(出来なかったのか)、を描く必要があったと思われます。
ところが、作中映画「15年の嘘」(の制作)によってどのようにカミキヒカルをおびき寄せられたのか(られなかったのか)、今作の映画ではしっかりと描かれていなかったのではないか?との疑問は持ちました。
それが2点目の映画後半の問題だと思われました。
もちろん、カミキヒカルは星野アクアの上手を行って、あえて作中映画「15年の嘘」に出資することによって、逆に出し抜くために星野アクアに近づいたのだと思われます。
しかし後半のカミキヒカルの星野アクアへの接近と出現は唐突に思われ、作中映画「15年の嘘」の制作の意図から来る星野アクアとの対立ドラマ性は薄れた印象を持ちました。
3点目の映画後半の問題は、映画の構成の問題から、星野アクア/雨宮吾郎の、アイと、星野ルビー(齊藤なぎささん)/天童寺さりなとの、思い入れのバランスが、ドラマ版と映画版で若干変わっているように感じる所です。
ドラマ版では、ほぼアイが殺された所から始まり、アイを殺した復讐を軸に話が進んで行きます。
ところが、今作の映画では、前半に雨宮吾郎と天童寺さりなの関係性が重きを持って描かれ、ドラマ版で描かれた(映画の前半と後半の間に当たる)アイを殺した復讐への想いの積み重なりが抜けています。
そのために、映画を観ている観客からすると、星野アクア/雨宮吾郎が、映画の後半で(映画の前半と違って)あまり星野ルビー/天童寺さりなに重きを置いていない(アイへの想いに重きが変わっている)ことに、若干のズレを感じてしまったと思われるのです。
この映画の構成での、星野アクア/雨宮吾郎が、映画の後半であまり星野ルビー/天童寺さりなに重きを置いていない、映画の前半との関係性のズレは、ドラマ版を観ている私からしても感じたので、仮にドラマ版を観ていない観客なら、なぜ後半で星野アクアは星野ルビーをもっと大切に扱わないのだろうか?との、違和感を持ったのではと思われます。
そして4点目の映画後半の問題ですが、カミキヒカルがなぜ殺人も厭わない人間になったのかの、解明が深くまでされていなかったのでは?との疑問があったと思われました。
アイは、どこか自分と似ているカミキヒカルを(自分たちの子供に会わせようとするなど)救おうとしていました。
しかしカミキヒカルは、星野アクアへのインタビュー場面で「違うんだよなぁ」と、アイと自分が似ている(同じである)ことを否定します。
すると(映画前半でアイの本心の底を解明したように)カミキヒカルがなぜアイとは違うのかを、映画の後半で解明する必要があったと思われるのです。
もちろん、カミキヒカルは幼少期に性的な虐待を受けています。
しかしながら、幼少期の性的虐待は、人を殺さないと生きていけない人物になる、必然の条件ではないと思われます。
すなわち、幼少期の性的虐待のさらに奥の(人を殺さないと生きていけない)カミキヒカルの奥底の解明が、映画の後半では必要だったと思われるのです。
私は原作は未読なのですが、カミキヒカルの解明が奥底まで原作でも達していなかったのでは?と推察します。
なぜなら、ドラマ映画を通しての志の高さしか感じなかった今作の制作・監督・スタッフそして俳優陣の皆さんからすると、原作でカミキヒカルの解明が奥底までされていたのであれば、その描写が映画の中で成されないのはあり得ないと思われたからです。
ただ、これら個人的に感じた、映画後半の4点の問題は、ドラマ版や映画前半の図抜けた素晴らしさからの差で感じた問題で、決して映画全体を通しての致命的な問題だとは一方で思われていません。
カミキヒカルを演じた二宮和也さんも、与えられた構成の中で素晴らしい存在感ある演技をしていたことは一方で強く思われています。
カミキヒカルの解明が奥底まで達していて、星野アクア/雨宮吾郎の星野ルビー/天童寺さりなとアイとへの想いのスムーズな移行が構成されていれば、映画前半の図抜けた素晴らしさと合わせて、おそらく今年を代表する傑作映画になっていたと思われます。
しかしながら、映画後半の私的感じた問題を差し引いても、今作の映画『【推しの子】 The Final Act』は素晴らしい秀作だったと思われます。
俳優陣も、ドラマ版含めて皆さん素晴らしかったと思われます。
そして、スミス監督の(ドラマ版のみの松本花奈 監督も含めて)センスと人物描写の深さと志の高さは、他の作品も観てみたいと思わせる素晴らしさだったと、僭越ながら思われました。
まあ、実写化ってこんなもんだよね
原作漫画、アニメ、ドラマ、全部完走した上で視聴しました。
実写化映画としては、普通によくできてると思います。特に俳優さんの演技がとても良かったですね。
ストーリーは、2時間枠に収めるためにバッサリ切り捨てていますが、まあ何とか物語としては成立しています。とはいえ、一本の映画だけでは成立しておらず、原作漫画やアニメ、そして何よりアマプラのドラマを見ていることが前提になってるので、単品で映画だけ見ても意味不明な点が結構あると思います。
原作漫画から追ってる私としては、些細な改変で肝心の主題がボヤけてしまっているのが残念でした。
最大の改変点は、アイが出産前にヒカルを明確に振っていない点です。つまり別れ話が、本当は「ヒカルへの愛」からついた「嘘」であるという物語の根本部分が改変されているのです。おかげで、劇中劇の「15年の嘘」が一体何を示しているのか意味不明になってますし、「嘘は愛だよ」というテーマがボヤけてしまっています。
また、カミキヒカルが、実行犯に具体的に教唆してしまっているので、普通に警察に訴えて逮捕できる点も違います。原作では、教唆にもならない程度の仄めかしで実行犯を操り、自身は何の罪も被らない知能犯で逮捕できないからこそ映画を作ったのに、単なる犯罪者になっていました。映画を作る意味も、ヒカルに社会的な制裁を加えるためになってました。これも物語の根幹に関わる改変でしょう。
ラストシーンも微妙に改変されていて、アクアがカミキヒカルと心中するのは同じですが、アクアが計画的に行ったのではなく、映画を見たカミキヒカルが、アクアを刺してルビーを誘拐したので、アクアはルビーを守るために咄嗟にヒカルを道連れにしたというストーリーになっていました。つまり「カミキヒカルが絶対悪で、アクアは悪くないよ」って強調されていました。しかもアクアの死体は見つからなかったことになっているので、生存フラグも立ててありました。
この辺の改変は、原作より映画の方が納得しやすいですね。
あと、途中でカナちゃんの引退ライブをフルコーラスで延々流されたのもちょっと微妙でした。その尺があるなら、他にも入れられたエピソードがたくさんあったのにと思います。
しかも同じ曲をエンディングでも使用して、フルコーラス2回目で流石にうんざりさせられました。せめてエンディングの映像が、アイとルビーの共演とか、アイドルになったサリナちゃんを応援してるゴロー先生とか、実は生きてたアクアが覆面して応援に来てるとか、「有り得たかもしれない優しい嘘」のエンディングだったら良かったのになーと思いながら見ていました。
全体としては、「まあ実写化ってこんなもんだよね」って感じの映画でした。出演している俳優さんのファンで、推しの子を何となく知っているような人にはお勧めできる映画でした。
逆にいうと、出演者に興味がない人とか、推しの子のガチのファンにはあんまりお勧めできませんね。
単品の映画としても成立してないので、全体として星3にしておきます。
蛇足
ここからは完全な私の邪推なんですが、原作漫画の酷評されてる最終話、映画の影響って可能性はないですかね?
映画を盛り上げるために、映画公開直前に原作を完結させるようにって圧力があったために、時間がなくてダイジェスト最終話になったとか・・・。
あるいは、映画の方が先に撮り終わってて、映画の最終話を試写会で見てた原作者が、描きたかったテーマが蔑ろにされているのを見てやる気を無くしたとか・・・。
まあ、完全に私の邪推なんですけど、実写化に伴うアレコレを描いた本作だけに、「アレコレ」あったんじゃないかなーと邪推してしまいました。
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