【推しの子】 The Final Actのレビュー・感想・評価
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アイドル映画ではない
アイドル映画だと思っていたら、意外に考えさせられてびっくりした。ちなみに原作もドラマも観ていません。結構グロいシーンもあって、小学生くらいが見たらトラウマになりそう。
知識無しでも楽しめましたが、人間関係がよく分からないところもありました。またワンシーズンの連続ドラマを総集編で見ている感じもありました。お互いの前世を知ったシーンなんて一番のクライマックスなのに、もっと時間をかけて欲しかった。
この映画のテーマって何なのでしょうね。愛することの難しさ?母の愛の偉大さ?芸能界の嘘と闇?監督や芸人、元アイドルの嫌なニュースが続いているので、ちょっと心配なシーンもありました。
最大の収穫は齊藤なぎさかな。最近ドラマで知ったが、単なる元アイドルとは思えないオーラを感じます。今後の注目株ですね(原さんはすでに売れっ子なので除く)。
危うげな輝き
原作もアニメもすごく良かったので、実写版への期待と不安が相半ばする中でドラマを観はじめた。
しかしそこでは、芸能界という舞台がチープ感なく再現される一方、登場人物たちの悩みや葛藤がしっかりと描き出されており、ストーリーを熟知しているにもかかわらず一気に物語に引き込まれた。これは偏に、演出だけにとどまらず、原菜乃華をはじめとするキャストたちの演技力の賜物であろう。作品の芯となる「危うげな輝き」が全編を通して伝わってくる。
ドラマを一気に観終わると我慢できず、すぐに映画館へ。冗長に作品を引っ張ることなく、映画編でしっかりと完結となっており満足。こんな感じのドラマ〜映画へのリレー視聴を前提とした作品が今後増えてきそうな感もある。
B小町のライブなどのシーンをスクリーンサイズで体感できたのも良かった。ところどころ細かい小道具などにもこだわりがありそうな印象があり、何度もリピートしてみたい作品でもある。
ただひとつ難点を挙げると、原作やアニメで鮮烈な印象を残した黒川あかね(茅島みずき)、そして映画版においては有馬かな(原菜乃華)もやや影が薄い。先述に反する感もあるが、ここはドラマでのスピンオフ作品などでしっかりと描いてもらえないかな。
原作もアニメも配信ドラマも知らずに見ましたが……
サスペンスとして思ったより楽しめるものがありました。
また、劇中のアイドル集団「B小町」のステージシーンも素晴らしく、映画のみならず派生する展開もあるのかな? という期待があります。
中盤から後半は二宮さんの存在感が大きすぎて、逆にアンバランスな作品になりすぎているきらいもありましたが、非常に楽しい作品だったので、他メディアの作品をちゃんと見たい気になりました。
原作ファン向け?
恋する輪廻 せんせ・アイ・アクア
原作 未読、アニメ シーズン1のみ視聴、実写ドラマPrime Video 視聴済み。
アニメがシーズン1のみなのは、衝撃の第1話と2話以降の落差に興味を維持出来なかった。2話以降は単なる芸能界や学園ドラマと感じたから。もちろん終盤に向けて謎解きやスリラー要素が高まることは容易に想像できるが、シーズンで途切れるのであればそのシーズンのラストでの山が必要であり、それが出来なければ一気に話を進めて欲しいと思うから。
実写ドラマはアニメ第1話の部分が大きく省略されていて驚いたが、出演者の魅力が溢れていてとても素晴らしい実写化だと思った。
そしてドラマのその後が描かれる映画版。しかし ドラマの次は映画で儲ける、ではない。ここではドラマ化された部分を一旦切り離し、大きく目線をずらす必然性があったのだと思う。そして大画面も。
映画の前半1時間弱がアニメの1話分に相当する。映画のみを観た人はストーリーの核心部分のみを見ることができ、ドラマから見た人はより深く人物像や世界観を理解できる。そういった点でこの再構成は必要であったのだろう。でも実質残り1時間で話が完結するのか不安の映画館であったが。
私にはインド映画「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム(2007,日本公開2013)」を思い出さずにはいられなかった。
(宝塚でも舞台化された名作です。ただ配信もなく DVDも入手困難)
後半は真相解明編・復讐編なのだが、この復讐劇に直接無関係なドラマ主要人物も必要な部分で登場しているし、新生B小町のライブもしっかり有り、「アイドル『アイ』とB小町」の映画である事も再認識できた。
そして、
無事に復讐を遂げることはできるのか?
ラストは………………、
コレが………、
最善の方法なのだろう。
ルビーを守るためには…。
原作、アニメと違う【推しの子】
序盤はちゃんとドラマを観てない人でも楽しめるように前置きがしっかりと描かれているのでまだ観てない人でも楽しめるように配慮されていました。ドラマ観た人でも楽しめるようにちゃんとドラマに無かったシーンも追加され丁寧に描かれていて凄く鳥肌が立ちました。YOASOBIの楽曲"アイドル"、推しの子の小説版"45510"を知ってる人なら凄く感動するシーンが多数あるので必見です!
中盤から終盤にかけては無駄が無くテンポ良く進み凄く綺麗にまとめられていて驚きました。"15年の嘘"の原作感動シーンも映画オリジナルも加えたりしながらちゃんと描かれていて凄く感動して泣きました。それに留まらずトドメの終幕、エンドロールで涙腺を更に刺激してきてもう凄い泣かされました。
すごく【推しの子】愛溢れる映画となっていて凄く推せる1作品です。凄く良い意味で原作、アニメと違う【推しの子】!! 凄くいいのでまだドラマ観てない人でも観てもらいたい作品です。この映画はフィクションでありながらリアルな世間の闇を描いてくれています。
有馬かな役のファンになった
ドラマ程では無かったけど良かったです。
ドラマ含めですけど有馬かな、アクア良かった特に有馬かなが凄すぎる…他のキャストもアイは動くと「あれ?アイじゃん」てなるしMEMちょはあのちゃん以外はあり得ないし主要メンバーはほぼ予想を超えてきました。
ただルビーはドラマからずっとうーん…て感じでドラマのとあるライブで「アイのスター性を受け継いでて〜」てシーンがあるけど、そう?て感じでしたし有馬かなラストライブでもダンスのキレが有馬かなの方が良かったような…
作中のセリフと実際の役者達がリンクして見えてきて、ルビー役の子は周りが凄いから悩みながら頑張ったんだろうな…とか勝手に妄想して見てました。
少し駆け足感があったのとラストもう一押し何かオリジナル展開が欲しいなと感じましたがドラマ版が凄く良かったので合わせて☆4
倉科カナ、片山萌美エロすぎ!!
さよならの始まり
原作知らず
大変面白く観ました!(ただしドラマ版は必ず観てから映画を観た方が良いかと‥)
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、今作の映画『【推しの子】 The Final Act』を大変面白く観ました。
一方で、ドラマ版のエピソードはほぼ映画では描かれないので、Amazonプライムのドラマ版は観てから映画を観た方が良いとは思われました。
個人的には時代の流れとはいえ、映画と配信に分けるのはどの作品でも疑問はあるのですが、ドラマ「【推しの子】」は、観てその質と志の高さに驚かされました。
ドラマ「【推しの子】」はいわば芸能批評も加えられていると思われましたが、批評に留まらず、必ず登場人物の主観に戻る素晴らしさがあったと思われます。
1人の登場人物が、客観的批評性と主観的ドラマ性を、同時に成り立たせる構成は、今まで意外になかったのではと、唸らされました。
そして今作の映画『【推しの子】 The Final Act』ですが、特に前半のアイ(齋藤飛鳥さん)が素晴らし過ぎたと思われました。
子供虐待のネグレクトを扱った作品は、今年に限らずこれまで映画やドラマで数多く描かれて来たと思われますが、アイを演じた齋藤飛鳥さんの解釈と演技は、これまでの同様題材の歴代の作品の中でもトップクラスの素晴らしさだったと思われます。
齋藤飛鳥さんが演じたアイによって、ドラマと映画を通しての【推しの子】に、作品の深さと一貫性の力強さが貫かれていたと思われました。
雨宮吾郎(成田凌さん)と天童寺さりな(稲垣来泉さん)との関係性も本当に良かったと思われました。
もうこれだけで今作の素晴らしさは達成されていたと思われ、なので称賛だけを言いたいところですが、映画の後半に問題がなかった訳ではないとは、一方で思われました。
映画の後半の問題は、細かくは私的には4点あったように思われます。
まず1点目の後半の問題は、後半で描かれたアイのドキュメント的な再現映画(「15年の嘘」)に対する、批評的(批判的)な目線がなかったことです。
(ドキュメント的な再現映画への批判的批評性は、当然、一般論として可能だったと思われます。)
ドラマ「【推しの子】」は、優れた点の1つに、上でも触れた芸能批評がありました。
そのドラマ版にはあった批評的メタ視点が、今作の映画の後半には(すなわち映画を通して)なかったと思われました。
そして、(ドラマ版にはあった)批評的メタ視点の欠如は、作品としての後半の重層性が薄まった要因の1つだと思われました。
もちろん作中映画「15年の嘘」は、ドラマ版で描かれた芸能の話ではなく、星野アクア(櫻井海音さん)が、カミキヒカル(二宮和也さん)をおびき寄せる為に仕掛けた策略の一環でした。
となると、(批評的メタ視点でなく)カミキヒカルをどのように作中映画「15年の嘘」でおびき寄せることが出来たのか(出来なかったのか)、を描く必要があったと思われます。
ところが、作中映画「15年の嘘」(の制作)によってどのようにカミキヒカルをおびき寄せられたのか(られなかったのか)、今作の映画ではしっかりと描かれていなかったのではないか?との疑問は持ちました。
それが2点目の映画後半の問題だと思われました。
もちろん、カミキヒカルは星野アクアの上手を行って、あえて作中映画「15年の嘘」に出資することによって、逆に出し抜くために星野アクアに近づいたのだと思われます。
しかし後半のカミキヒカルの星野アクアへの接近と出現は唐突に思われ、作中映画「15年の嘘」の制作の意図から来る星野アクアとの対立ドラマ性は薄れた印象を持ちました。
3点目の映画後半の問題は、映画の構成の問題から、星野アクア/雨宮吾郎の、アイと、星野ルビー(齊藤なぎささん)/天童寺さりなとの、思い入れのバランスが、ドラマ版と映画版で若干変わっているように感じる所です。
ドラマ版では、ほぼアイが殺された所から始まり、アイを殺した復讐を軸に話が進んで行きます。
ところが、今作の映画では、前半に雨宮吾郎と天童寺さりなの関係性が重きを持って描かれ、ドラマ版で描かれた(映画の前半と後半の間に当たる)アイを殺した復讐への想いの積み重なりが抜けています。
そのために、映画を観ている観客からすると、星野アクア/雨宮吾郎が、映画の後半で(映画の前半と違って)あまり星野ルビー/天童寺さりなに重きを置いていない(アイへの想いに重きが変わっている)ことに、若干のズレを感じてしまったと思われるのです。
この映画の構成での、星野アクア/雨宮吾郎が、映画の後半であまり星野ルビー/天童寺さりなに重きを置いていない、映画の前半との関係性のズレは、ドラマ版を観ている私からしても感じたので、仮にドラマ版を観ていない観客なら、なぜ後半で星野アクアは星野ルビーをもっと大切に扱わないのだろうか?との、違和感を持ったのではと思われます。
そして4点目の映画後半の問題ですが、カミキヒカルがなぜ殺人も厭わない人間になったのかの、解明が深くまでされていなかったのでは?との疑問があったと思われました。
アイは、どこか自分と似ているカミキヒカルを(自分たちの子供に会わせようとするなど)救おうとしていました。
しかしカミキヒカルは、星野アクアへのインタビュー場面で「違うんだよなぁ」と、アイと自分が似ている(同じである)ことを否定します。
すると(映画前半でアイの本心の底を解明したように)カミキヒカルがなぜアイとは違うのかを、映画の後半で解明する必要があったと思われるのです。
もちろん、カミキヒカルは幼少期に性的な虐待を受けています。
しかしながら、幼少期の性的虐待は、人を殺さないと生きていけない人物になる、必然の条件ではないと思われます。
すなわち、幼少期の性的虐待のさらに奥の(人を殺さないと生きていけない)カミキヒカルの奥底の解明が、映画の後半では必要だったと思われるのです。
私は原作は未読なのですが、カミキヒカルの解明が奥底まで原作でも達していなかったのでは?と推察します。
なぜなら、ドラマ映画を通しての志の高さしか感じなかった今作の制作・監督・スタッフそして俳優陣の皆さんからすると、原作でカミキヒカルの解明が奥底までされていたのであれば、その描写が映画の中で成されないのはあり得ないと思われたからです。
ただ、これら個人的に感じた、映画後半の4点の問題は、ドラマ版や映画前半の図抜けた素晴らしさからの差で感じた問題で、決して映画全体を通しての致命的な問題だとは一方で思われていません。
カミキヒカルを演じた二宮和也さんも、与えられた構成の中で素晴らしい存在感ある演技をしていたことは一方で強く思われています。
カミキヒカルの解明が奥底まで達していて、星野アクア/雨宮吾郎の星野ルビー/天童寺さりなとアイとへの想いのスムーズな移行が構成されていれば、映画前半の図抜けた素晴らしさと合わせて、おそらく今年を代表する傑作映画になっていたと思われます。
しかしながら、映画後半の私的感じた問題を差し引いても、今作の映画『【推しの子】 The Final Act』は素晴らしい秀作だったと思われます。
俳優陣も、ドラマ版含めて皆さん素晴らしかったと思われます。
そして、スミス監督の(ドラマ版のみの松本花奈 監督も含めて)センスと人物描写の深さと志の高さは、他の作品も観てみたいと思わせる素晴らしさだったと、僭越ながら思われました。
まあ、実写化ってこんなもんだよね
原作漫画、アニメ、ドラマ、全部完走した上で視聴しました。
実写化映画としては、普通によくできてると思います。特に俳優さんの演技がとても良かったですね。
ストーリーは、2時間枠に収めるためにバッサリ切り捨てていますが、まあ何とか物語としては成立しています。とはいえ、一本の映画だけでは成立しておらず、原作漫画やアニメ、そして何よりアマプラのドラマを見ていることが前提になってるので、単品で映画だけ見ても意味不明な点が結構あると思います。
原作漫画から追ってる私としては、些細な改変で肝心の主題がボヤけてしまっているのが残念でした。
最大の改変点は、アイが出産前にヒカルを明確に振っていない点です。つまり別れ話が、本当は「ヒカルへの愛」からついた「嘘」であるという物語の根本部分が改変されているのです。おかげで、劇中劇の「15年の嘘」が一体何を示しているのか意味不明になってますし、「嘘は愛だよ」というテーマがボヤけてしまっています。
また、カミキヒカルが、実行犯に具体的に教唆してしまっているので、普通に警察に訴えて逮捕できる点も違います。原作では、教唆にもならない程度の仄めかしで実行犯を操り、自身は何の罪も被らない知能犯で逮捕できないからこそ映画を作ったのに、単なる犯罪者になっていました。映画を作る意味も、ヒカルに社会的な制裁を加えるためになってました。これも物語の根幹に関わる改変でしょう。
ラストシーンも微妙に改変されていて、アクアがカミキヒカルと心中するのは同じですが、アクアが計画的に行ったのではなく、映画を見たカミキヒカルが、アクアを刺してルビーを誘拐したので、アクアはルビーを守るために咄嗟にヒカルを道連れにしたというストーリーになっていました。つまり「カミキヒカルが絶対悪で、アクアは悪くないよ」って強調されていました。しかもアクアの死体は見つからなかったことになっているので、生存フラグも立ててありました。
この辺の改変は、原作より映画の方が納得しやすいですね。
あと、途中でカナちゃんの引退ライブをフルコーラスで延々流されたのもちょっと微妙でした。その尺があるなら、他にも入れられたエピソードがたくさんあったのにと思います。
しかも同じ曲をエンディングでも使用して、フルコーラス2回目で流石にうんざりさせられました。せめてエンディングの映像が、アイとルビーの共演とか、アイドルになったサリナちゃんを応援してるゴロー先生とか、実は生きてたアクアが覆面して応援に来てるとか、「有り得たかもしれない優しい嘘」のエンディングだったら良かったのになーと思いながら見ていました。
全体としては、「まあ実写化ってこんなもんだよね」って感じの映画でした。出演している俳優さんのファンで、推しの子を何となく知っているような人にはお勧めできる映画でした。
逆にいうと、出演者に興味がない人とか、推しの子のガチのファンにはあんまりお勧めできませんね。
単品の映画としても成立してないので、全体として星3にしておきます。
蛇足
ここからは完全な私の邪推なんですが、原作漫画の酷評されてる最終話、映画の影響って可能性はないですかね?
映画を盛り上げるために、映画公開直前に原作を完結させるようにって圧力があったために、時間がなくてダイジェスト最終話になったとか・・・。
あるいは、映画の方が先に撮り終わってて、映画の最終話を試写会で見てた原作者が、描きたかったテーマが蔑ろにされているのを見てやる気を無くしたとか・・・。
まあ、完全に私の邪推なんですけど、実写化に伴うアレコレを描いた本作だけに、「アレコレ」あったんじゃないかなーと邪推してしまいました。
劇場で見て損はない
原作・アニメは見てなくて、ドラマから視聴しました。とても楽しめました。ア正直配信待ちしようと悩んでましたが、誕生日クーポンがあったので、熱の冷めないままの勢いで見ました。劇場だからこそのLiveシーンの良さがあり、有馬かなの卒業Liveはアニメではなかった?…みたいなんですね。なーたんとあのちゃんはアイドルだったこともあり、さすがって感じでしたけど、原菜乃華ちゃんがふたりに負けないぐらいでしたし、とても可愛かったです!終盤のその後のシーンで、白いモコモコに身を包んでる姿がまたまた可愛かったです。あと、ルビーがアイを演じるシーンは、とても頑張ってアイに寄せて、やっぱり親子だなって感じました。実写だけ見ても充分に楽しめるので、年末年始にドラマ見て劇場に見に行ってもらいたいですね!私はLiveとかは昔に行った経験はありますが、現在アイドルを応援してて、Liveに行かれてる方は、あんなに熱狂できて羨ましいさえ思いました!他の役者さんたちも素晴らしかったです!
まさかの星野アイの実写化と、工夫された力作 ※後半に重要なネタバレを含みます
普段それほど映画は見ていませんが、原作は読んでいたので、つい実写化の感想を書きたくなりました(ドラマは全部視聴済み)。
※4に終盤の重要なネタバレを含みます
1.まさかの「星野アイ」の実写化
正直、最初に実写化と聞いた時は、漫画で描かれる「究極のアイドル」を実写で描くなんて無謀だという第一印象で、まして「アイの生い立ちや子育てに実は悩んでいる姿なども含めて現実的な面を描き、アクア・ルビーの父親との実際の様子にも踏み込んで描く」みたいな情報がもしあったら、それだけで炎上したんじゃないかと思うくらいですが。それが実際に説得力をもって実現したと感じられたのが、まず何より驚きでした。
もともと原作(特に初期の)そのものではなく現実的な様々な面を織り込んで描くという方針で作られたということではあるけど、それにしてもドラマ版と合わせてこんなに見事に実写化されるとは。演者のことは失礼ながら事前には全然知らなかったのですが、こんな適役の方が現実に存在したのか、と感じたくらいです(もちろん演出や撮影等々いろいろあってのこととは思うけど)。
2.ライブシーンが素晴らしい
次に印象に残るのは、やはり劇中に出てくるライブシーンです。つい映画館の音響で何度も観たくなり、実際2回観てしまった。
3.実は多分、初見の人向けのストーリー・脚本
ストーリーは、前半でアイ・アクア・ルビーの姿が(その手前の雨宮吾郎も含めて)2人の父親も見え隠れしながらじっくり描かれ、後半では成長したアクア・ルビーが復讐を遂げるのか、それとも…という筋道がはっきりしています。これはかなり徹底していて、原作やドラマを知らない人のための工夫かと。
もちろん先に原作やドラマを知っていればいろんな見方ができるだろうけど、予備知識を持っていたほうがいいのは、恐らく
・ルビーはアイの遺志を継ぐつもりで「新生B小町」でアイドル活動をしていて、他のメンバーは「有馬かな」と「MEMちょ」
・「黒川あかね」はアクアが(復讐の手段として)芸能活動をしている間に出会い、いろいろあった天才若手女優で、ルビーとも親しい
くらいです。この3人の顔と名前は一致したほうが分かりやすいだろうけど、あとは本当に予習しなくて問題ないと思います。(逆に原作を知っている人のほうが、良くも悪くも途中でいろいろ引っかかる可能性はあるかと。)
筋がはっきりしている分、重いテーマがむき出しになってしまっている感はあるけど、テーマに(あるいは演者にでも)興味があるなら、そのままストーリーに入っている作りになっていると思います。もし、原作やドラマを知らない・まだ見ていないというだけで敬遠している人がいたら、それはもったいないと個人的には思います。
(あと細かいことで言うと、例えばアクアの前世は明確に描かれるけど、ルビーについては実はぎりぎりまで描かれていなくて、(もちろん原作を読んでいる人は知っているし、察しの良い人は気づくだろうけど)予備知識のない人には謎解き的な要素になっているかと。これも1つの工夫と思われます。)
4.原作との違い(実は多分かなり挑戦的な脚本)
※これ以降は、終盤についての重要な(と私が思う)ネタバレを含みます
原作との違いや映画で描かれていないシーンはもちろんいろいろあるのだけど、個人的に気になるのは、まずラストのルビーの姿です。アイとアクアの写真に挨拶するのは原作どおりだけど、それだけでなく新生B小町の写真(有馬かなの引退公演など)もまるで思い出のように飾っていて、そしてルビー単独名義でステージに向かっている。
多分、ルビーもB小町を引退し(あるいは解散し?)、1人で大舞台に立つという意味で、これは原作を普通に読んだらまず誰も考えないラストだろうと思います。
もう1つ意外なのは、MEMちょが唐突に結婚を発表するシーン。これも普通は想像しないだろうと思います(ただ、恐らく元になっているのは、原作で年齢詐称疑惑を自ら暴露する話かと)。
なぜこうなったのかというのは、勝手な解釈ですが、登場人物たちを現実の生身の姿に寄せて描くというのが(アイの描き方も含めて)映画版のテーマなのではないかと。
原作では、ルビーがB小町の看板を背負ってアイの遺志を継ぎ、現実にはいそうにないほどの、物語の登場人物のようなスターになっていく姿が描かれますが、映画版では、逆にB小町からも解き放たれて、本当に自分自身の人生を歩んでいくというメッセージなのだろうかと思います。(MEMちょの結婚のほうはもっと分かりやすく、アイドルや芸能人にも自分の人生があるという意味だろうし。)
もう1つはカミキヒカルの描き方です。原作では、絶対的な悪役ではあるけどカリスマ性もあり、ある意味ではアイに強く囚われている人物の1人なのだけど、映画版では、不幸な過去があるとはいえ、ただ救いがたくどうしようもない、目的もなく目についたものを台無しにしようとするだけの人物として描かれている(内心はともかく、表に現れた台詞上は、アイに執着しているのかどうかすら分からない)。正直個人的には、映画版の中では一番飲み込みにくい改変の1つだと思います(演者の熱演は間違いないのだけど)。
しかしこれも勝手に解釈すると、不幸にもこういう人物も現れてしまう現実のやりきれなさ、身も蓋もなさとでもいうものを描いて、しかしこの人物がいなければアクア・ルビーも生まれておらず物語が始まりもしなかった、という割り切れなさを示しているのかなあ、などと何となく思います(元ネタがあるとすれば、ひょっとして原作139話あたり?)。
映画の中でキーワードの1つになる「全部あいつのせいだ」という台詞と合わせて、賛否両論はかなりあるんじゃないかと思うけど、個人的には考えさせられるところです。
全体として、大筋では原作に従いつつも、原作で描かれる物語とは違って実写ならではの現実的な面やそれに基づくメッセージをいかに出すか、という面を多分相当工夫して作られた(しかし恐らく原作からかけ離れているわけでもなく、元になるシーンやテーマを見い出すこともできる)、部分的にはかなり挑戦的なストーリーなのではないかと思われます。普通にイメージする「原作に忠実に」とは違うけど、原作をリスペクトして作られたというのは決して嘘ではないと個人的に感じました。
ここで書いたのは私の勝手な解釈に過ぎないけど、原作との対応を探したり考えたりするのが好きなタイプの人にも楽しめる作りではないかと思います。
5.まとめ
ここで書いた以外にも、演者はみな熱演だし、力作なのは間違いないと思います。
それにつけてもライブシーンをまた観たい。
※2025年1月5日追記
原作との違いで特に感心したり考えさせられた点を、個別に付け足しておきます(長すぎる上にほぼ憶測なので最初は控えたのだけど、つい書きたくなり)。
・「全部あいつのせいだ」という台詞
これは映画オリジナル(どころかドラマ版にすら出てこない)台詞で、賛否両論あると思わるのは先に書いたとおりですが、これをルビーが一度は怒りを抑えきれずに演じ、その後は笑顔を作って演じる(そして実際のアイの様子は多分どちらともはっきりしない)というのは、ストーリーを明確にする印象深いシーンなのは確かだと思います。
それだけでなく、実際の事実はもう分かりようがないけど、それでも何らか本当のことを探して必死に演じるという姿は、場面は全然違うけれど原作でルビーと有馬かなが身を削って感情をぶつけ合うシーンと通じるものがあり、原作の映画製作編の醍醐味の一端を伝えているような気がします。
(この原作のシーンを演者たちがどう演じるのか見てみたかった気もするけど、ないものねだりをしても仕方ないので)
・ルビーがアイの演技を最初からほぼ完璧にできてしまうこと
これはストーリーの流れをコンパクトにするだけでなく、ルビーの前世の生い立ちも示す見事な再構成(さらに黒川あかねが原作では両親に恵まれていることも思い起こさせる)だと思うけど、原作には、ルビーは最初は演技に苦しんでいて、ふと鏡を見て(カツラと衣装でアイそっくりに見える)、実はアイも苦しんでいたのでないかと気付いて演技が変わるというシーンがあります。
この鏡を見るシーンは、恐らく別の場面で応用されていて、ドラマ版4話の冒頭でアイが「プロの笑顔」(つまり作ったような笑い方)というコメントを見て悩むが(ここまでは原作にもほぼ同じシーンがあるけど)、その後にアクア・ルビーの世話をしてからふと鏡を見て、自分が自然な笑みを浮かべていることに気付くというシーンではないかと思われます。原作とはちょっと違う形で、アイの人間的な面をうまく表したシーンのように思います。
(その感情をカミキヒカルに何とか伝えようとした結果がああなったのかと思うと、ひたすらやり切れない)
・アイとカミキヒカルの関係
原作では、ここは劇中映画の脚本を書いたアクアにとっても情報が何もなかったので、完全な創作ということになっており、後でカミキヒカルが「そんな関係ではなかった」とコメントするような内容になっています。
映画では、具体的描写は少ないとは言え、(驚いたことに)多分そのコメントのほうを描いているように思われます。さすがにこの話題の感想を具体的に書くのは控えますが、それほど生々しい感じではなく短時間とは言え、よくそんなことまで(キャスト選定を含め)描こうと思ったなあ、と感じました。
このあたりからも、多分よほどの検討を経て原作のテーマや個別のシーンを再構成しているのではないか、と個人的には思うところです。
「推しの子」推し
最初はアニメ版。事前情報なしに配信で1話目を見て、そのダークな内容にマジで驚き毎週の楽しみに。実写化のニュースでは期待より正直残念感を感じたのだが、配信ドラマが始まると思いの外の面白さにハマった。役者は、ルビーと黒川あかねが当方イメージと大きく違ってて困ったが、櫻井海斗と原菜乃華(新推し)のはまり具合が全体を引っ張り、楽曲の良さも相まって満足なレベルで配信版完結。
ここで原作を大人買い、ラストまで読み終えた形で劇場版鑑賞に行くマタゾウの真面目さよ。
劇場版では上手にまとめたとは思うが、後半勝手にもっとオリジナルな展開を期待してしまっており、結果は想定内な感。ニノ、と書くと原作的にややこしいのだが、二宮和也は憎たらしい役をさすが上手にこなして良かった。やはり後半どんどん重要性を増すルビーの力不足感は否めない。誰だとハマったのかな?
ところでアイの齋藤飛鳥は明るいイメージなく最初大丈夫か?と思っていたが、櫻井海斗と齊藤なぎさより目上であったことは脳内的には良かった。そして繰り返すが原菜乃華の有馬かなは役柄通り表情も深い演技巧者で、もっと見ていたいと思わせてくれた。
うーん
悪くはないがめちゃめちゃ良かったとは言いづらい。
原作アニメ共に全部みて、
実写ドラマのみ未視聴でした。
原作とは改変されたラストでしたが、
最終的には似た形に。
終わり方、流れとしては、実写の方がすんなりと分かりやすかった気がします。
原作読んでないと少し置いてかれる部分があるだろうな、という気はしました。
映画としては良かったので、原作読んでからの映画視聴がオススメです。
個人的には、泣けるシーンがなかったので
泣ける演出があったら良かったと思います。
二宮くんの演技は狂気じみていて良かったですが、尺の関係で、少なめでしたし、原作みてない人でしたら、
結局どーゆう人なの?と、なりそうでした。
もう少し全体的に説明だったり、
このシーン長く取って欲しかったなーが多かったです。
ライブ映像シーンは良かったです。
斎藤が斎藤に似せて斉藤になる瞬間が良かったですね ストーリー的には...
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