「ルックは素晴らしい」数分間のエールを MTさんの映画レビュー(感想・評価)
ルックは素晴らしい
●映像に関して
各カットイメージボードのような綺麗な色使いをしていて、とても画は綺麗だった。
ただし、アニメーション表現に関しては難あり。ストーリーが求めているギャグ感をアニメーションで表現しきれてない。キャラクターが所々、手描き?のパカパカアニメに切り替わりギャグ的な表現はカバーしていた。しかし、あまりにもパカパカすぎて、それ以外のヌルヌルアニメと合っていなかった。しかし、ギャグ表現で欲しいのはこの動きや表情でありそれを3DCGで表現しきれてないのは非常に残念。
雨の雫など所々にコマを抜いたリミテッド表現を感じるのに、肝心のメインキャラクターはほぼフルアニメで動いて見えて違和感を感じた。
髪が揺れてるのに顔にかかる髪の影が揺れてない。頭しか見えないところでシルエット的に人間の頭だと認識できない。
など違和感を感じるカットもチラホラ。
ただし、MV制作途中のコンピュータ内で映像を作り上げていく一連の描写は非常に良かった。
●ストーリーに関して
非常に単純明快なストーリーで話の流れも良い。ただあまりにも安直すぎるなと思った。
主人公が気づくべき大切なことを全て他のキャラクターが口で教えてくれるのだ。
例えば、先生のために1回目のMVが何故ダメだったのか。これをご丁寧に親友が口で説明してくれる。同じ境遇だから気づけたっていうのは分かるけど、意見を衝突させ喧嘩して、苦しみの中で主人公が自分で見つけないとダメなのではと思った。
主人公の長所は同級生?の女の子のために作ったMVに対しての評価をきっかけに、これまた口頭で教えてくれる。「応援されてるみたい」なMVなのが良いところとのこと。それは話の流れ的にも自然だし良いと思うけど、女の子に教えてもらうんじゃなくて、女の子のためにMVを作る中で自分でキッカケを掴んでいたほうが自然だったと思う。
実際は1回目の先生のMVが不発だったショックの最中に作られてるので、劇中では制作途中の描写が省かれ、気の抜いた状態で作った様に見えてしまう。それなのに高評価だったということは、「応援」という要素は主人公の根本にあるもので1回目のMVにも含まれていたのではないか。
だとしたらこの自分の良さへの気づきは何のためにあるのかなぁとかツッコミどころではある。結局完成した映像は、親友から教えてもらった内容を親友自身の状況と照らし合わせる形になった。ダメとは言わないが、あまりにもそのままそのままだなぁとは思った。
ストーリーライン自体に大きな違和感を感じたわけではないが、単純明快にしすぎて端折った部分に大切なものが隠れていた気がしてならない。