「タイトルなし(ネタバレ)」デビルズ・バス りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
18世紀半ば、オーストリア北部の小さな集落。
隣の集落(といっても周囲に他の家族は見当たらない)から嫁いだアグネス(アーニャ・プラシュク)。
夫ヴォルフ(ダーヴィド・シャイト)はその集落の長の次男坊。
新居を構えたが、ヴォルフの母がはやく集落の暮らしに慣れるようにと、アグネスを急き立てるように指導する・・・
といったところからはじまる物語。
怖い怖いホラー映画を期待すると肩透かしを食らう土俗歴史もの、慣れない生活で疲弊して病んでしまう女性の悲劇。
まぁ、アグネスは精神的に病んでしまうのだが、義母の過干渉は、傍から見ればそれほどでもない(ようにみえる)。
側での鯉漁、洗濯の仕方、料理の仕方・・・
集落には集落のしきたりがあるものだ。
こんなときには夫ヴォルフに支えてもらいたいものだが、ヴォルフのアグネスへの関心が薄い。
夜の営みを行わないところをみると・・・
と村の祭りの際に、親友の青年への愛情が過ぎているようにもみえる。
「子は鎹」なのだろう。
アグネスは一刻も早く子どもが欲しいのだ。
ここが、悲劇の芽かもしれない。
病んだ後にすがる唯一のものは宗教。
だが、キリスト教では「自死」は忌避されるべきもので、埋葬すらされない。
ヴォルフの親友の青年が自死したのをみたアグネスが採った最終手段は・・・
「殺人者として、告解し、魂を救済してもらった上での処刑」。
悲惨かつおぞましい。
さらに、結婚式と同様に処刑も、日々の暗い暮らしにおける祝祭なのが、やりきれない。
全体的に、まだるっこしい演出が難点。
なお、タイトルは、あまりよろしくない。
主人公の名をとって『アグネス/血の祝祭日』とかのほうがよかったのではないかしらん。
あ、これだと、さらにB級ホラーっぽいか・・・
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