グローリア!のレビュー・感想・評価
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現代性溢れる歴史ミュージカル
ミュージカルと言うほど音楽まみれではないが、ストーリーを動かすのは、想像たくましいこの映画を作った人たちの音楽。現代のジャズやワールドミュージックみたいのもあるので、いくら何でも時代に合わないだろうなどと、つまらないことは言いたくない。アクチュアリティーがなければ、この映画は生命力を失う。そこは覚悟の上と見た。革命期の国際都市ヴェネツィアという設定は揺れ動く時代、場所で映画に可能性を開き、最大限保険をかけているが、それはもはや気にならない。
ポジティブなフェミニスト映画として見ても失礼ではないだろう。見て何か元気な気持ちにしてくれる。
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垂直でなく水平の音楽と歌
エドガルド・モルターラと同じ時代背景。でも中心は若い女性達。家族や仲間を失い教会の孤児院で子どもの頃から一緒に育った。音楽を愛し演奏し歌う才能溢れる室内音楽メンバー。彼女達の音楽は神様に向かってとか天から降ってくるような垂直音楽ではない。仲間や小さい子どもも一緒に、みんなが笑顔と涙で優しくなって心がとかされる水平方向の音楽。幸福に満たされてみんなが嬉しい。しなやかで自由な音楽。
事実をベースにフィクションで作り上げたこの映画には監督の優しく強い気持ちが詰まっていた。教会権力が弱体化し世俗権力が台頭すると共に「人」は自由になる。その自由が全ての人に享受されるまでにはまだまだ本当に時間がかかる。それは今の日本、世界を見ればすぐわかる。でも前を向く勇気をくれる映画を作った、シンガー・ソング・ライターである女性監督に感謝の気持ちでいっぱいだ。
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