「アメリカの縮図? そうかも知れないが・・・」ラ・コシーナ 厨房 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの縮図? そうかも知れないが・・・
予告編を観て、まず白黒映像というのが作者の拘りを感じたところ。何やらコミカルな空気にも興味もそそられた。でも上映館、上映回数も少ない中、最後に鑑賞の決め手になったのはお気に入り女優ルーニー・マーラの出演が有ったから。
【物語】
アメリカ・ニューヨークにある大型レストラン「ザ・グリル」。ある朝前日の売上金のうち約800ドルが消え、店のスタッフ全員に疑いの目が。 オーナーの指令で犯人捜しが始まる。マネージャーはスタッフを一人ずつ呼び出し、面談を行っていた。
一方、厨房(ちゅうぼう)では慌ただしく開店準備が進められていた。 大勢のスタッフの中には様々の国からの移民含まれている。メキシコ人料理人のペドロ(ラウール・ブリオネス)もその一人だった。白人ウエートレス、ジュリア(ルーニー・マーラー)はペドロの子供を身籠っていたが、その日人知れず中絶することを決めていた。ペドロは仕事を抜け出してはジュリアにちょっかいを出し、子供を産むように迫るが、ジュリアの決心は揺るがない。
やがて開店し、厨房にいつもの喧騒が訪れるが、あることからさらなる大混乱に陥る。
【感想】
ちょっと肩透かし。
冒頭、ある若い女性が、厨房で働く男を頼りに店を訪れる。 どうやら店で働かせてもらうのが目的らしい。
「これから何が始まるのかな?」
という興味をそそられる、なかなか良い滑り出し。
が、期待通りだったのはそこまでだった。
まず、この店を訪ねた女性が主人公的ま位置づけなのかと思いきや、その後も時々顔を出すもののその頻度は尻すぼみ。後から思うと、冒頭だけの主人公扱いは何だった? 後の展開を考えれば、彼女のシーンは1/4くらいで良かった気がする。
そして、俺の気分を下げたのがホントの主人公的扱いのペドロという男。「職場で何やってんだ」と言いたくなることばかりして、働かない、働かない。狭量な俺は映画でも、カス・クズを見せられ続けるとすごくイライラしてしまう。 そういうシーンが序盤に延々続くのでげんなり。
後半の大騒動も笑えなかったし、作品を通して何を言いたかったのか俺には良くわからなかった。
横柄な店のオーナーが居て、オーナーには逆らえず、スタッフには威張る中間管理職的マネージャーが居て、貧しいスタッフ、その中には居住継続にも不安を抱える多くの移民がいる、それが社会の縮図? にしても、あんまり伝わって来るものが無かった。
実際にアメリカ社会で暮らす人(トランプに怯える移民とか)は感じ方が違うのかも知れない。
唯一の救いは目あてのルーニー・マーラーで、「やっぱり美しい」と久しぶりに観た彼女のアップシーンだけは心が洗われる思い。
それだけだった。