「日米安保を揺るがす大作」沈黙の艦隊 シーズン1 東京湾大海戦 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0日米安保を揺るがす大作

2024年2月18日
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鑑賞方法:VOD

興奮

知的

原作のコミックは未読。昨年公開された映画の内容しか知らないので、原作を愛する人にしたら「違う」と言うのだろうが、そこは、一つのエンターテイメントとして、映画の続きを観たいと思い、シーズン1を鑑賞した。

映画を観終えた時は、それほどの感慨も無かった。しかし、そこで語られていたのは、本シリーズのほんの前振りであり、その先に、日米安保を揺るがすような、こんなにも深く、重い内容になるとは予想もつかなかった。揺るぎない同盟国の日本とアメリカが刻一刻と戦闘状態となっていく緊迫感の中、『独立国やまと』の海江田が施す奇策に手に汗握り、一気見で呑み込まれていった。

戦争アクションではあるが、戦闘シーンは海中での魚雷による攻撃のみ。むしろ、海江田がなぜ反旗を翻したのかというその思惑と、そこに対応する日米の鬩ぎ合いが中心に描かれたヒューマン・ドラマの色彩が濃く描かれている。そしてその根底には、手段は違えど『平和』への強い思いが滾っているのは確かなのだろう。

また、沈着冷静な海江田とは全く正反対な『たつなみ』艦長・深町との過去を引きずる確執と男同士の絆も、人間味があるシーンとして、ドラマチックに盛り上げている。とにかく、海江田を演じた大沢たかおは、『キングダム』の『王騎将軍』に通じる圧倒的な存在とカリスマ性で魅了する。そこに対して、玉木宏が演じる深町の熱き思いが交錯する中、深町に寄り添う副館長・早味役の水川あさみもいい味を出していた。そして何と言っても、ベテラン笹野高史が演じる内閣総理大臣の、頼りない中にも、平和を求める確固たる態度は、胸を打つ。

日本ドラマも、外資系のAmazonがバックとなって製作すると、映像的には不可能とも思われる内容も、これだけスケールの大きな壮大なドラマに仕上げることができるのだと感じた。多分、日本のテレビ系列の映画では、ここまのでは描けなかったと思う。但し、映画では、あまり気にならなかったアメリカの戦艦のCGが、テレビで観ると{「いかにもCG」と分かってしまう粗さが目立っていた。甲板に人の動きや角度を変えた映像などを駆使したら、もう少し本物らしく見えたと思うのが残念。

とにかく、シーズン2の配信が、今からとても楽しみとなった。

bunmei21
asicaさんのコメント
2024年2月25日

外資資本だと日米安保を揺るがすほどアメリカ悪役がアリで、日本国内資本だと無理だったろうというのがありそうで頷きしかないのですが考えたら逆だろ!ってなるところに我が国の悲哀がありますよね。

asica
かせさんさんのコメント
2024年2月25日

手前に大きめのミニチュアがあれば…とか爆発をもっと高速撮影してゆっくり再生すれば…とか思いながら見てしまいました。
そこも含めて、総じて凄くいいポリティカルフィクションだなとも思いました。

かせさん