「「お魚くわえたドラ猫」実写版」五香宮の猫 おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)
「お魚くわえたドラ猫」実写版
映画冒頭、集音マイクに抱きつきながら、マイクカバーのスポンジをむしゃむしゃ食べようとする猫が可愛すぎて、映画開始数秒でノックアウト。
一部の人が野良猫に餌を与え続けた結果、町中猫だらけで、序盤はそんな野良猫たちの生態を観察するような作り。
映画を観ながらずっと、顔がにんまりしていた自覚あり。
野良猫が釣り人の魚をくわえて持ち逃げしていく場面は、リアル『サザエさん』。
すぐに食べるわけではなく、そのまま魚をくわえたままどっかに行ってしまったと思ったら、思いもよらない行動に心がほっこり。
魚が置いてあるトラックの荷台に、脅威の跳躍力で忍び込むことに成功する猫に驚愕。
君たち、いったいどこにそんな身体能力、隠し持っていたんだ。
釣りをしている人の足元で、猫が突然ゴロニャーンと寝転び始めて可愛さアピール。
あざとくてけしからんですなあ。
そんなわけで、とにかく序盤は猫にメロメロ。
猫の映像でのぼせ上がっていたら突然、住民による野良猫捕獲作戦が開始され、平穏な空気が一変。
檻に閉じ込められて暴れ回る猫の、今まで聞いたことがない断末魔の叫び。
YouTubeの猫動画では絶対に観ることがないであろう、ショッキングな映像の数々。
この時点ですっかり猫に洗脳されている身としては、人間側に敵意しか感じなかった。
糞の被害が大変なのはわかりますが、どうにか上手く猫と共存できないものか、と思って観ていたら、幼い女の子が同じようなことを言っていて、「だよねー」と思った。
中盤からは猫の出番が激減。
代わりに描かれるものは、限界集落の人々の生活。
「猫観察映画」から「高齢者観察映画」にチェンジ。
高齢者の話を聞かされる場面が多く、正直退屈だった。
「そんなことより早く猫を見せてくれ」と思っている自分は、釣り人に近寄って魚を欲しがる野良猫と変わらない。
台風の日、とある猫の行動がドラマチックすぎて、まるで映画のワンシーン。
心許した相手の前で見せる野良猫の寝姿が、破壊力抜群。
猫を葬る場面。
こちらはこの映画を100分以上観続けた結果、猫に思い入れたっぷりの状態。
ここで涙しない人っているのだろうか?