「観客の想像の斜め上を行く展開。」デストラップ 狼狩り レントさんの映画レビュー(感想・評価)
観客の想像の斜め上を行く展開。
森の中で自然と共存して暮らす家族の身にある日突然シリアルキラーとはぐれ狼の脅威が襲い掛かる。家族は孤立無援の中、自分たちだけでこの二つの敵と戦わねばならない、いわゆる定番のバイオレンスサバイバルアクション。という内容を予告編を見て普通は想像する。
本編は90分程度の尺、前半でお父さんが森の中で案の定惨殺死体を見つける。しかし、彼は警察にも通報せず、その現場にわなを仕掛けてそのまま連絡が途絶えてしまう。残された母と娘は二人だけでなんとか食料を確保しながら父の帰りを待つ。
後半にやっと新たな登場人物が現れる。ターミネーターシリーズで最も頼りなく不細工なジョンコナーを演じたニックスタールだ。
この作品の尺ならこの時点でシリアルキラーの正体は絞られる。このニックかあるいはお父さんのどちらかだ。ニックが犯人だとひねりがなさすぎるのでお父さんが犯人だと思ってた。
この森での生活にこだわり都会に出たがらないのは猟奇殺人をやめられなかったからで家庭を持ったのもカモフラージュのため。はぐれ狼が再び戻ってきて自分の狩場を荒らし被害者の肉を食い散らかしていたから、狼を捕まえるためにわなを仕掛けてたみたいな。
でも結局はニックが真犯人。本作はそれがわかるまで引っ張ること。サバイバルアクションの要素はほとんどありません。
父から習ったハンティングの技を駆使して娘がニックを倒すということもなく、はぐれ狼も途中でどっか行っちゃいました。
伏線も何もあったもんじゃない。と思ったらちゃんと伏線回収ありましたね。まさか皮はぎが伏線だったとは。長々と前振り見せられてオチが普通だったら許せなかったところ、このオチ見せられたら鑑賞中の不満も吹っ飛びました。これはこれでいいんじゃないかな。結局この監督はこのオチをやりたいがために映画撮ったのかな。