劇場公開日 2024年8月23日

「変人とは"なる"ものではなく"なっている"ものである。」箱男 南雲さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5変人とは"なる"ものではなく"なっている"ものである。

2024年9月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

寝られる

人を変人かどうかを決めるのは自分では無く他者、周囲の人々である。日本は同調圧力が強く枠組みから外れる事を異常なまでに恐れる反面、人とは違う自分だけの特別な人生を歩みたい"何者"かになりたいと願う人間が大勢いる。特別な自分が平凡な人生を送る人々俯瞰して"観察"するという理想に反し、現実は世間から変人というレッテルを貼られ、置いていかれ、社会に参加出来ず、観察する事しか出来なくなるのである。自室という"箱"に引きこもった若者がどうなるのか、大半はそのまま引き篭もり続けるのである。昭和の小説である箱男には鬱屈した人間に対してもまだ希望が感じられる、平成を経て令和に至った今、小説より残酷な未来が待ち受けているのだ。

コメントする
南雲