「いまこそビーキーパーの出番だ。」ビーキーパー レントさんの映画レビュー(感想・評価)
いまこそビーキーパーの出番だ。
舐めてた相手が殺人マシンだったムービーの最新版、舐めてた養蜂家が殺人マシンだった。
ジェイソン・ステイサム版イコライザー、あるいはジョン・ウィック。どちらかというとジョン・ウィックに近い。ただ、悪役がフィッシング詐欺集団というしょぼい連中かと舐めてたらなんとその黒幕がスケールのでかいこと。まさに舐めてた黒幕が大統領だったムービー。
こういう勧善懲悪の娯楽作品ではいかに悪役を憎々しく描けるかがポイントになる。その点では最初こそ子悪党ながらもその不愉快さでこいつらはぶっ殺すしかないと観客に思わせたらそれで勝ち。そんな悪党どもをバッタ、バッタと成敗していく主人公の姿に観客はカタルシスを得られる。イコライザーや犯罪都市シリーズ同様に本作はその点で十分成功している。
工夫を凝らした殺し方もよい、前半の子悪党を車ごと海に突っ込ませるシーンには爆笑させて貰った。端役ながら彼は最高のダイブを見せてくれた。アクションも御年57歳のステイサムの動きを上手いカット割りで工夫して彼の衰えを一切感じさせない。
悪役にジェレミー・アイアンズを起用するというキャスティングの豪華さもプラスに。これはステイサム映画の中ではかなりの上位のレベル。
ミツバチは群れを守るためなら群れにふさわしくない女王蜂を殺すという。アメリカという群れにふさわしくないのなら大統領でさえもその針の毒で殺すビーキーパー。
今のアメリカこそ、その針の毒が必要なのかもしれない。民主主義の根幹にかかわる多様性を否定し法秩序を破壊する群れの女王(王)蜂、病んだアメリカのキングに毒という強すぎる薬が今こそ必要な時なのかもしれない。あくまでもお灸をすえるという意味で。
クライマックスで大統領の邸宅を守る手練れの連中がなぜだかチャラい格好していて、いかにもトランプ支持者の極右過激集団プラウドボーイズを連想させるのは作り手が意図したものだろう。