「群れを守る」ビーキーパー とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
群れを守る
To BEE or not to BEE
この腐った世の中には養蜂家が必要だ。法律が役に立たないときは俺の出番だ!ちょっと引いちゃうくらい誰彼構わず殺っちゃうあたり生ぬるくなく容赦ない残酷指数高めの怒れるステイサムによる自警団モノ始動。つまりマッコールさん & ジャック・リーチャーであり、ジョン・ウィック & ジェイソン・ボーンですらあり、何ならコマンドーにもなっちゃう?そんな破壊力で文字通り向かうところ敵なし。毎度ながら決めるところは決めるシュッとした正装(ジャケット&パンツのセットアップ・スーツ姿)に着替えたステイサムに陥落できない城は無い 仮想"ホワイトハウス・ダウン"?だから本作を見たみんなも「二度と弱者(一生懸命働いてきた人々)からお金を盗みません」と約束しよう!!
善悪の話。果たして法律のために戦うのか、正義のために戦うのか?他人が汗水流して一生懸命稼いできたもの・積み上げてきたものを、"ラクして稼いで遊びたい"などといった私利私欲のために奪い去る連中は、皆厳しく罰せられるべきだ。そりゃ沢山の家族・友人知人に囲まれて金持ち悠々自適なセカンドライフを送れている高齢者もいるだろうけど、多くの高齢者は少ない年金でやり繰りしたり、それだけでは生活が成り立たず働くことを余儀なくされている世の中で、そんな一生懸命働いてきた老人から平気で全財産掠め取るなんて許せるわけないだろ(老後の貧富差もそれまでの積み重ねであり結果自己責任の"自助精神"ではあるが)。『イコライザー3』を観たときは本編最後に明らかになるマッコールさんの渡航理由に正直「やり過ぎだろ…」と思ったけど、世の中のリアルが見えるほど、全くもってやり過ぎなどではないことが痛いほどわかる。年金は少なくなっていき、自分たちの世代になる頃には貰えないかもしれない。全くもって他人事などではない、耳が痛くお先真っ暗になるような怖い話だ。
コールセンター部門が"あんなところで働きたいか?絶対疲れるだろ"と言いたくなるようなバカみたいな紫色ライトで、如何にもな感じが映画表現として嫌いじゃなかった。大喜利ネタ「こんなコールセンターはイヤだ。どんなコールセンター?」。あと、始終ブチ切れて己の使命に徹するステイサムに変わり、コメディリリーフみたいな役割を担うFBI捜査官がこれまた始終つまらないけど、息抜きという意味ではそれでいいのだ。ガッツリ笑わせてしまったら、上述したようなそうしたプロットの真面目さが損なわれてしまいかねないから。(トム・クルーズが出演作内で軍の地位向上に貢献して性をもらっていたのとは対照的に)敵側の参謀ジェレミー・アイアンズに「ヘタレ(pussy)」等と呼ばれる陸軍・海兵隊上がりの特殊部隊まで残酷に命を奪っちゃう辺りは本作のいただけないポイント。あと、母ちゃんがバカ息子の顔を褒めた後に「神は二物を与えない」っていうの、間接的に「バカ息子」って言ってるよね?
新年一発目映画館鑑賞はステイサムでキマり!…と言いたいところが真面目で、それほど景気のいい作品ではなかったかな。デヴィッド・エアーが、まだ観客を楽しませる鋭い針を失っていないことを証明している。そして、本作の場合、それは上記の通り観客の目だけでなく心にも突き刺してくる現代の問題。かといって、王道に楽しめはするものの『エンド・オブ・ウォッチ』のような名作感は無く、爆発シーンなど時折CGが芳ばしかったりして、午後ローっぽさもある。水泳の飛び込み選手であった彼らしく最後の退場の方法までステイサムをわかっているステイサム映画。
P.S. "真ん中座りたい族"な隣の人が上映中何度もする手についたポップコーンの塩を叩く音が"拍手してんのか?!"ってくらいやたらうるさかったし、上映後劇場内が明るくなったらコッチ側にまでポップコーン落としていて、劇中みたいに指詰めの刑にしてやろうかと思いました。