「暗い風刺も不思議とポップ。」見えざる手のある風景 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
暗い風刺も不思議とポップ。
とぼけた笑いのオフビートな学園ラブコメディ、のように見せかけて、宇宙人に占領(武力ではなく経済的に)された近未来のアメリカを、風刺と皮肉満載で綴っていく。あれ?これってつまり、格差社会の底辺や、経済大国に搾取されている貧しい国々の境遇を、強制的に体験させられることになったアメリカ人中産階級の話よね、と気付かされてからは、もうなにひとつ他人事ではなく、ああ、やべえ、明日はわが身、と思いながらラストにたどり着いていた。不思議なのは、すっかりしょんぼり落ち込みそうなのに、皮肉にもあまり意地悪さを感じないのと、宇宙人の造形や動作がよすぎて、終始楽しく観られてしまうこと。描かれてることが絶望だけど気持ちは朗らかで、大変ありがたかったです!
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