「もうひとつのブーヴィエ」グレイ・ガーデンズ 追憶の館 jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
もうひとつのブーヴィエ
「フュード/確執 カポーティ vs ザ・スワンズ」を観て
スワンズと呼ばれた、あの時代のハイソサエティの女たちに興味を持った
そのうちのひとり、リー・ラジウィル
(ジャクリーン・ケネディ・オナシスの妹)を調べていたら
彼女の父親の妹に Big Edie、その娘として Little Edie が存在していて
彼らのドキュメンタリーを観て、驚愕
トレンドセッターでソーシャルクライマーでもあったリーやジャッキー
そして「フュード…」の中では、スワンズが
安定した生活の確保のために結婚する
自分たちが文化を作っている、とも語り合っていた
あの頃に教育を受けた恵まれた女性
あるいは気の利いた女性がめざした社会進出の場は
女性向けの商品に焦点を当て始めた女性誌や店の「モデル」
ファッション担当の「編集者」「コラムニスト」
あるいは「女優」なんかが多いみたいだった
やっぱりスポットライトの当たる場所
結婚が破綻したあと再婚をしなかった Big Edie と
結婚をしなかった Little Edie が没落していった姿も描かれる
彼らは生活のために次の男を捕まえよう、という発想は
あんまりなかったみたいな…
そして男性から見ても、無鉄砲で規格外かも…
グレイガーデンズをゴミ屋敷にしてしまい
そこで平然と暮らしてしまう二人に、あ然
「歌手」になりたかった母親と「ダンサー」を夢みた娘に
現実逃避も感じられるだろうか
誇り高くうんちくを述べているが
世渡り下手な、世間を知らない、お嬢さまの脆さも感じるし
世間に迎合する気のなさ、も感じる
お嬢さま気質や芸術家気質なんだろうか
ドキュメンタリーの方には正視するのが辛いような処もあるが
これをラストに救いのあるドラマやミュージカルにしちゃうのは
ふたりに芝居っ気みたいなものも感じられるから?
そして Little Edie はジャクリーン・ケネディを意識してたかな
身を持ち崩したリーとジャッキーの父親もぼんやりと連想させられます
が、女性の意識の変化の片鱗も伺えます