Valimo
2007年製作/4分/フィンランド
スタッフ・キャスト
- 監督
- アキ・カウリスマキ
2007年製作/4分/フィンランド
これは夕飯なのか、夜勤途中の朝飯なのか、
時計が「6時」を指すが、午前なのか午後なのかは不明というシチュエーション。
24時間、溶鉱炉の火なんてものは消えないのだから、仕事には夜も昼も関係無し。終わりなき労働に仕える男たちなのだ。
宝くじだか、キネマトグラフの切符だかを買って、男たちは不味いサンドイッチを噛みながら詰まらん映画を観ている。
これは
リュミエール兄弟の撮った「工場の出口」というフイルムらしいが、皮肉だ。いつになったら彼等はいまの状況から出ていったりできるというのだろう。
トーキーなのに、無声映画のように誰ひとり口を開かず生きている。
たった4分の尺とは思えない、人生の縮図をまんまと見せられた気がする。
女も老人もこんなに疲れ果てているから
全員がどこにも生気がなくて、それが却って可笑しいが。
夜勤明けに観賞。
カウリスマキは変人である。
Valimoはフィンランド語で鋳物工場、たった4分のドキュメンタリー風ショートフィルム。
アキ・カウリスマキ監督は、少ないセリフ、無表情な登場人物の演技と、どこか人を喰ったような作風が特徴でカンヌ、ベルリンはじめ世界の映画賞をとっているフィンランドの奇才監督、兄のミカ・カウリスマキもまた映画監督です。
舞台が工場で昼休みに工員たちが観ている映画が世界初のスクリーン上映と言われる映画の開祖フランスのリュミエール兄弟の「工場の出口(1895)」です。勿論、当時はサイレントで一分足らずの短編でした。作っているのは鋳物ではありませんでした(写真製品)が工場が舞台の短編、カウリスマキもまた映画監督兄弟という共通性、アキ・カウリスマキはデジタル映画が嫌いで自身も工場労働者だったこともあり労働者階級に同情的だそうだからリュミエール兄弟へのリスペクト、いわば映画の原点回帰として似たようなものを作ったのでしょうかね・・。
鋳物工場で働く労働者たちがお昼(朝ごはん?晩御飯?時計は六時を指してる)の時間になったので昼飯のサンドイッチのようなもの食べながら、活動写真(マルクスブラザーズのポスターがあり、キノというう映画館に入る。愉快だね)を見るというショートフィルム。
私にとって理解できないのはこの時代背景。労働者が昼休みに見ている活動写真にクルーがあると思って調べてみた。フランスのLumière brothersの最初の活動写真、Workers Leaving the Lumière Factory(1895) というのを見ているらしい。ルミアー兄弟という活動映画の父と言われている兄弟の映画であると書いてあった。しかし、これが時代背景になるかどうかわからない。それに、なぜ、この活動映画をカリスマキが使ったのかもわからない。ルミアー兄弟の制作した仕事が終わり工場を出ていく労働者の男女は活気に満ち溢れていて幸せそうだ。でも、カリスマキの作ったショートフィルムには明るさの微塵も見かけられない。鋳物工場でのマンネリ化した労働に幸せの微塵もない労働者を啓蒙したく、ルミアー時代の活気に満ちた動きを見せてるのか。それとも、労働改革を提議しているのかわからない。カリスマキが撮影したフィンランドの社会背景も知らなくては深さがなく、ありきたりのレビューに終わってしまうか,孫引き(引用から引用)の 著作権侵害をしたレビューになってしまう。