「楽奈の過去編」BanG Dream! It's MyGO!!!!! 前編 春の陽だまり、迷い猫 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
楽奈の過去編
テレビシリーズとは異なる視点で、謎が多かったギタリスト要楽奈をフィーチャーして、シリーズを見つめ直して新鮮な視点を提供した。SPACEのオーナーもがっつり登場し、そういう風にアニメ一期ともつながりがあるのね、と。
改めて見直してみて、『MyGO!!!!!』の物語は優れているな再確認。バンドの崩壊から、愛音と楽奈の2人を媒介にして、元メンバーの思惑が錯綜していき、ぎこちなく新たなバンドが結成されるが、目的意識がバラバラなまま。キャラクターたちの想いの矢印が別々の方向を向き続けていて、一度観て知っているからこそ、より高い緊張感で観ることができた。
このシリーズは映像演出的にも結構攻めたものが見られるのも楽しい。主人公の完全主観のエピソードや、ライブ前の楽屋の定点観測的に見せるあたりなど、アニメではなかなか難しい芝居作りに挑んでいる。セルルックCGの表現の進化もはっきりと見て取れる。クローズアップの時はCGの上から作画しているのだが、そのチョイスは正解だと思う。より繊細なドラマ展開が求められるので表情芝居の進化は、物語の要請でもあるだろう。後編はがっつりライブシーンがあるだろうから楽しみ。
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