「秘密のプールで秘密のデートだったけど、ジェットコースターはそこまで加速しなかった」ナイトスイム Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
秘密のプールで秘密のデートだったけど、ジェットコースターはそこまで加速しなかった
2024.6.11 字幕 イオンシネマ京都桂川
2024年のアメリカ映画(98分、G)
プール付きの豪邸にて起こる不可解な出来事に巻き込まれる家族を描いたホラー映画
監督&脚本はブライス・マクガイア
物語の舞台は、アメリカのどこかの郊外の住宅街(ロケ地はカリフォルニア州アルタデナ)
メジャリーガーとして活躍してきたレイ(ワイアット・ラッセル)は、ケガによって現役引退が仄めかされるようになっていた
妻イヴ(ケリー・コンドン)に支えられ、娘イジー(アメリ・ホーファーレ)、息子エリオット(ギャビン・ウォーレン)らと睦まじく過ごしていたレイだったが、本格的に療養を始めるために、郊外に邸宅を借りようと思っていた
不動産屋のケイト(ナンシー・レネハン)からいくつかの物件を見せてもらったものの決め手に欠け、その帰り道に「ある売り物件」を見つけてしまう
購入は視野に入れていなかったが、プール付きの豪邸で値段も手頃だったことから、レイたちはそこに住むことに決めた
物語の冒頭は、この家で起きた事故の様子を描き、そこではレベッカ(Ayazhan)が水難事故に巻き込まれるのだが、その事故物件の概要は次の入居者には伏せられ続けてきた
レイたちもそんなことを知らずに購入し、不動産屋も契約当初もそのことは知らなかった
異変に気付いたのは、イジーが水泳部のローニン(エライジャ・J・ロバーツ)と深夜デートをしていた時で、子どもたちの方が何かを感じ取っていく
レイはプールが自然由来であることを知り、そこでケガの回復が進んでいくことからプールへと固執していく
だが、妻はそのことが逆に不気味に思え、警戒心を強めていくのである
夜に泳いだら何かが見える系のホラーだが、いきなり出てくる腐乱死体のようなノリがワンパターンなのでそこまで怖くはない
それよりも、排水溝に手を突っ込むなどのシーンの方が我が事だと置き換えやすいので、そちらのほうが怖かったように思えた
これまでに数々の家族が犠牲になったのに取り壊しにならないのはアレだが、連鎖を断ち切ろうとして、プールを埋める決断をしたことはよかったのではないだろうか
いずれにせよ、そこまで怖い映画ではなく、ホラー映画としては控えめな表現が多い
家族が巻き込まれる系のパニックホラーであるものの、家族内の不和が起こらない優しい世界なので、心理的な怖さもそこまでではない
最終的には人間が怖いという話にもならないのだが、いわくつきとわかって平然とパーティーに参加し、そこでぶちまける不動産屋が一番怖いように思えた