「WARNING」ドリーム・シナリオ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
WARNING
他人の夢の中に自分が現れ、最初はただ見ているだけだったのに、夢の中で徐々に危害を加えていく…とネットでのバズりで陥る現象を立体化させたような作品でした。
クリストファー監督の前作が整形によって有名になり、それと同時進行で自分が沼にハマっていく「シック・オブ・マイセルフ」だったのでそのテーマを扱うという点では信頼しかありませんでした。
夢に出てくる男という共通点では「THIS MAN」が真っ先に浮かびますが、あれは夢に見たら速攻で殺しにくるので即効性がありすぎます。今作は遅効性です。
いや〜生々しい生々しい。
有名税とはこういう事だというのを突きつけてくるような作品で、バズりを経験したことのない自分でもそういう物事の擬似体験をスクリーンを通して味わっているようで体が妙に重かったです。
SNSで他人の褌(既存の映像を投稿しただけとか、バズった投稿を真似たり)でいいね稼ぎしてる輩の気持ちが全く理解できないですし、簡単に素性をバラしてしまって特定されたりとかされて怖くないのかな?としょっちゅう考えてしまう中で自分は何もやっていないのに世間から注目されて日常生活が壊れてしまったポールは察するにあまりあります。
生徒が怖がるから教壇に立つなとか、保護者の意見もあって娘の発表会に来るなとか、飲食店にいるだけで他の客が怖がるから帰れとか、ぶん殴られたりだとか、とにかく不憫な目に合いまくっててそればっかりは怒っていいよと思うのと同時に変装とかはしないのかな?と思うところもありました。
ポールの人間性にもしっかり問題があり、もちろん可哀想な目に遭ってるので共感できるところはありつつも、持て囃されたらしっかり調子に乗っちゃうのはまだしも自分優先で動いているあまりに家族に迷惑をかけてしまっているのは本末顛倒だよなと思うところがありました。
プライドが高すぎるあまり、謝罪動画に見せかけて俺は悪くない!悪くないぞー!と声高らかに動画で全世界に発信してしまったもんですからそりゃ家族から顰蹙を買うわなと思いました。
不本意とはいえ娘の学校の教師に危害を加えてしまったのが吉と出たのか凶と出たのか、ポールは夢に登場しなくなり、夢に登場するというものに着想を得た頭のえらーい奴らが他人の夢に登場する事ができるアイテムを作るというなんたる発想力。
夢フルエンサーが出てきたり、脳内に直接広告を届けるといった形を生み出しており、ポールが負のイメージを背負ってるだなんだ言ってみたりとこれまた他人の褌でどすこいどすこいしてますし、絶対に悪用するやつ出てくるじゃんとは思いつつも目の前の事が成功しているから周りは別に見ないかと不思議と納得してしまうのは現代人だからでしょうか。
ポール自身もそのアイテムを使ってみては良くない夢を見てしまって散々な目に遭いつつも、家族と過ごす時間を描きながら最後はプカリプカリ…なんとも不思議な終わり方はこの映画らしくて良かったと思います。
A24にしてはまだ見やすい作りでしたし、SNSを日常的にやってる人はかなり頷きが止まらない作品なんじゃないかなって思いました。
鑑賞日 11/25
鑑賞時間 15:50〜17:45
座席 H-3