ソウルの春のレビュー・感想・評価
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緊迫の124分
124分、緊迫感が途切れること無く続く。
テンポよく一気に見てしまう。
反乱軍vs鎮圧軍の2極対立構造で見せ、俳優が個性的で一目で誰か分かって混乱が少なく、複雑な状況を説明するのに地図を出したり俯瞰で捉えたりと、複雑になりがちな内容をわかりやすく見せる工夫があり、最後まで迷子になることなくついていけた。
多少のフィクションはあるのだろうが、こんな甘い計画のクーデターが成功するわけないと思っていたら、あれよあれよという間に反乱軍が首都を制圧してしまった。
政府や軍の高官の無能っぷりに呆れる
反乱軍を余裕で鎮圧できる場面がいくつもあったのに、都度鎮圧側の高官たちの判断ミス(事なかれ主義、無責任、腰抜け)でせっかくの機会を逃し続けて、よもやのクーデター成功、ひとり獅子奮迅のイ・テシンの無念さいかばかりか。チョン・ドゥグァンを排除しようとした一派が拷問されるところで、「タクシー運転手」で描かれたような光州事件につながっていくのだ、と暗澹たる気持ちになった。
朴大統領の暗殺から、民主化に向かえるかと思えた「ソウルの春」が潰えて、新たな暗黒時代の始まりになってしまった。
イ・テシンを心から応援していたので、見終えてやりきれないもやもやが残ったが、史実なので仕方ない。
非常事態での争いは、エゲつない方が勝つのだとつくづく思った。
ハナ会の組織力をフルに活用、ルール無用狡猾さむき出しの強引な爆走が故に、チョン・ドゥグァンは勝った。
また、リーダーのカリスマ性は、すごく大事なのだとも思う。
強烈な唯我独尊、自らを恃み先輩もコケにする高慢さとキレッキレの頭脳。
窮地に陥るたびに、おたおたするどころか不敵に笑い、次の手を繰り出すチョン・ドゥグァンは、手探りで進まざるを得ない人々には正直頼もしい。清廉潔白な人ではできないような発想で切り抜けどんな手を使っても勝ち抜きそうに見える。ふてぶてしさ憎々しさが逆に効果的で、この人についていけば大丈夫と思わせるところがある。
この嫌なやつをファン・ジョンミンが演じきってスゴい。
チョン・ウソンのイ・テシンにもカリスマ性がある。
ブレないところ、ひとりでも立ち向かう不屈の意思、信念と頭脳と人間性に惹かれて着いていきたいと思わせるものが大いにあって、高官たちが腰抜けじゃなければ勝ってたのになあ
チョン・ウソンとファン・ジョンミンの、演技が圧倒的。
このふたりががっつり組んだところが、映画の見応えを特上にしていると思う。
重厚な韓国の1番長い日的な作品
スリリングで素晴らしい作品でした。実際に起きた大統領暗殺事件後の「粛軍クーデター」「12.12軍事反乱」を映画化。クーデターを起こす反乱軍の首謀者の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官(後の大統領)を悪として描き、首都警備司令官イ・テシンを高潔な正義の軍人として描く。わずか45年前の出来事なのに日本ではあまりにも知られていない韓国の黒歴史。クーデター成功後はチョンと仲間達で大統領など政権や軍内の要職をたらい回しにし汚職疑惑にまみれた韓国。日本の明治維新はクーデターでは無く維新ですがその後、政権をとった薩長同盟を中心とした人達の中にも伊藤博文、井上馨などチョン司令官的な人たちもいました。
大変興味深くは観たのですが‥
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、今作を非常に興味深くは観ました。
この映画『ソウルの春』は、1979年12月12日に韓国で起きた粛軍クーデター(12.12軍事反乱)を題材に描いた物語です。
1979年10月26日に、当時の事実上の独裁政権(民主主義選挙の現在と違い、統一主体国民会議による代議員選挙で野党候補のいない単独で選ばれた大統領制)を執っていた朴正煕 大統領が、KCIA部長・金載圭 氏(後に絞首刑)に暗殺されます。
その後に(おそらく史実通りに映画の設定でも統一主体国民会議の代議員により)チェ・ハンギュ(モデル:崔圭夏(チェ・ギュハ)大統領/役:チョン・ドンファンさん)が大統領に選ばれます。
そして、朴正煕 大統領の暗殺を契機に国民から民主化の要求が高まり、映画の中でのチェ・ハンギュ大統領のモデルとなった崔圭夏(チェ・ギュハ)大統領も民主化にこの時、舵を切ろうとしていました。
そんな中で、チョン・ドゥグァン保安司令官(モデル:全斗煥(チョン・ドゥファン)後の第11・12代大統領/役:ファン・ジョンミンさん)が、チョン・サンホ陸軍参謀総長(モデル:鄭昇和(チョン・スンファ)氏/役:イ・ソンミンさん)と対立します。
チョン・ドゥグァン保安司令官は、チョン・サンホ陸軍参謀総長に大統領暗殺の共犯容疑をかけ逮捕します。
これが映画でも描かれた粛軍クーデター(12.12軍事反乱)の始まりです。
チョン・ドゥグァン保安司令官は、自身が中心となり形成した軍隊の中の秘密組織「ハナ会」のメンバーを駆使して、クーデターを成し得て行きます。
そしてチェ・ハンギュ大統領は、チョチョン・ドゥグァン保安司令官が求めたン・サンホ陸軍参謀総長の逮捕の承認を当初は認めませんでしたが、結局は(映画の最後にも描かれたように)事後承認的に認めることになります。
当時は、暗殺された朴正煕 大統領の半ば独裁政権だった流れの中にあり、クーデターを後に成功させたチョン・ドゥグァン保安司令官のいる軍部にチェ・ハンギュ大統領が反旗を翻すことはほぼ不可能で、チェ・ハンギュ大統領によるチョン・サンホ陸軍参謀総長の逮捕の事後承認も致し方ない面もあったでしょう。
この粛軍クーデター(12.12軍事反乱)で今作の中でヒーロー的に登場するのが、イ・テシン首都警備司令官(モデル:張泰玩(チャン・テワン)氏/役:チョン・ウソンさん)です。
イ・テシン首都警備司令官は全く道理に合わないチョン・ドゥグァン保安司令官のクーデーターを批判し、クーデターの阻止に邁進します。
そして映画では、イ・テシン首都警備司令官を”善”、クーデターを起こしたチョン・ドゥグァン保安司令官や「ハナ会」のメンバーや毅然とした態度をとれない軍部上層部を”悪”として、善悪を明確に分けて描いている印象を受けました。
一方で、それぞれの熱演を含めて面白さも感じながら、私的には、この善悪を明確に分けて描く描き方に多少の引っ掛かりは感じました。
もちろん、クーデターを起こしたチョン・ドゥグァン保安司令官のモデルとなった全斗煥(チョン・ドゥファン)保安司令官は、この後、光州事件で、国民の民主化運動に銃を向けて民間人を射殺などし、150人以上の民間人死者を出した責任もあり、民衆を圧迫し弾圧した当時の振る舞いからしても、私的にも”悪”だと思われます。
しかしながら、イ・テシン首都警備司令官や(チョン・ドゥグァン保安司令官に逮捕された)チョン・サンホ陸軍参謀総長は、軍隊の影響が色濃い独裁的政権が継続していた当時、特にそれらを改めて民主主義の国にすると言う主張は見られず、あくまでチョン・ドゥグァン保安司令官の暴走を軍隊の規範の中で止めようとしたという職業上当たり前の行動をしていただけに思われ、”善”との持ち上げ描写はやや演出過剰には感じました。
個人的には、第2空輸特戦旅団(史実は第1空輸特戦旅団)が行ったり来たりするなどの滑稽さや、「ハナ会」などのクーデター側とそれを阻止しようとする首都警備司令部側の対立や、軍部上層部や、盗聴などを交えながらの描写も興味深く面白さはありました。
しかしながら、この映画の善悪がきっぱりと分かれた描写は、果たして本当の歴史の姿を描いていたのかは疑いはあるなとは思われました。
また映画では、チョン・ドゥグァン保安司令官や「ハナ会」のメンバーたちが軍部の中で異端的な描写もされていましたが、軍部の影響が色濃い独裁的な政権が当時、続いていた中で、チョン・ドゥグァン保安司令官の(現在からしても全く間違った考えですが)さらに独裁的政権を継続させようとする考えの方が、当時の軍部の中では主流だったのでは?との疑念は持ちました。
今回の点数はその感想も加味しました。
ところでこの映画では明確に描かれなかった背景にある、韓国の軍部が独裁政権的な政治体制を作れた要因に、【緊急措置権(国家緊急権)】があったことが歴史的に分かります。
当時の韓国は、【緊急措置権(国家緊急権)】を利用して、大統領選における民主選挙を止め、メディアなどを統制し、半ば誘導する形での国民投票による憲法改正で、政権がコントロールできる形(統一主体国民会議による代議員選挙で野党候補のいない独裁者の単独候補で選ばれた大統領制の)大統領選出の方法や(議会の1/3の議員を大統領が推薦し選ぶことで)議会のコントロールをすることを可能にしました。
韓国は元々、民主主義による大統領選であったのに、暗殺される前の朴正煕 大統領が【緊急措置権(国家緊急権)】を利用して民主選挙による大統領選の権利を国民から奪いました。
日本人からすれば、当時の韓国は【緊急措置権(国家緊急権)】の乱用により独裁的政権が誕生し、今回の映画で描かれた事柄も起こっている危険性も、日本で今後「緊急事態条項」の議論をする時によくよく考えておく必要があると、今作からも思われました。
緊張で汗を握る
どのぐらいフィクションであるか分からないが、かなり緊迫し目が離せずずっと引き込まれる作品。
登場人物多く、テンポ早めにストーリーが進む中、飛び交う韓国名と顔も覚えられず、どのくらい理解できたのかも怪しい。とにかくストーリーを追うのに精一杯で、それでも首都警備司令官イ・テシンの最後が悔やまれる。
これを観るまで、その歴史を知らなかったので、最後までイ・テシンがチョン・ドゥグァン保安司令官を制すると思っていた。
チョン・ドゥグァン保安司令官率いる秘密組織「ハナ会」がそこらじゅうに紛れ込んでいる中、ソウルをチョン・ドゥグアンの手中に治めまいとイ・テシンは奮闘する。が、その作戦はその潜んでいるハナ会に阻害され、二転三転していきどんどん不利になり追い込まれてしまう。
それでも最後までソウルを守るべく立ち向かうイ・テシンが頼もしかったのに。
なぜ正義が勝たないのか。
どうして悪が蔓延ってしまうのか。
いつの世も、正直で実直な方が報われないのは如何なものか。
最後は何とも残念でいたたまれない、理不尽に思う作品だった。
でも、他の皆さんのレビューのように、数ある中でも勉強になった作品でもある。
ファン・ジョンミン扮するチョン・ドゥグアンが恐ろしかった。あんな奴に国を牛耳られるなんて地獄でしかない。
ファン・ジョンミンに見えないぐらいの役作りが天晴れだと思った。
142分あっという間だった〜!!
なんとなくテレビで昔名前を聞いたことあったかな?ぐらいしか知らなかった隣国の大統領の話、これは見応えあるかも、と見に行って大正解でした!!
物語が進むにつれ勿論イ・テシンさんのほうにめっちゃ肩入れして「頑張れ、反乱軍から国を守るんだーー!!」と思うわけですが、
(映画の中ではイ・テシンさんのほうが応援したくなるいかにも真面目なイケメンで、反乱軍のトップはどうにもこういけ好かないおっちゃんに見えるように仕組んでるのが、いや演出してるのが上手い。)
演出が望むようにまんまとイ・テシンさんに肩入れしてるにも関わらず、どんどん形勢が不利になってゆくと
「駄目だ駄目だせっかく説得に応じて帰投した第2空挺旅団、戻って攻めに来ちゃ駄目〜~うわ~!!!」
と、情報戦で命令に右往左往する第2、第8、第9とかの各部隊の動きが手に汗握る〜~~おのれ盗聴部隊、お前が余計なこと言わなければ全ての橋を封鎖出来たんじゃ〜~と、心の中は思いっきりイ・テシンさん側に。
盗聴の見せ方含め、上手い。演出上手い。
何台もの戦闘車両を前に、たった1人で道に立ちはだかるイ・テシンの兄貴、ばりカッコ良かった!!そうだよこれが国を守る真の軍人のあり様だよ!!と感動(涙)
逐一、「何時何分 ◯◯を制圧」とか出るのが分かりやすい。各軍人さん達は初めて見る名前でも、あぁイ・テシンさん側の人だ、反乱軍側だ、と大体分かるので特に予習してなくても見れました。
しっかし、、首尾良く次の大統領、その次の次になったのが同じ写真に写る友達同士とか、そうやったんか〜~!と驚き。
「こんなヤツが大統領だったら嫌だ〜~!」の大喜利に出てきそうな人物がまんまと権力強奪に成功するのってもう〜~なんだかな〜~でも歴史で世界史にあるのはこういうことの繰り返しだったりするしな~~とも思い。
ともかく見応えありました!!
まさかの国辱
久々に、こんなに胸糞悪い映画観ました。
褒めてます。
私利が正義を駆逐するなんて、
最後まで
「そんなのアリかよー😭」
と嘆いてましたが、
ラストの集合写真で腹落ちしました。
多少フィクションと言えど、
コレは史実なんだと。
でも史実だとして、
こんな俗っぽい人たちに治められていた韓国国民の悲哀たるや計り知れない。その悲哀の鬱憤を今作で晴らしている様な気になれば、この映画は意味がある。実際2023年の韓国国内No.1の動員という事実が、国民の気持ちを表している。
ただ実際には、
その当時の国民はそんな裏側の真実など知る由もなく、
民主化を進めた名大統領と讃える人もいたとか。
彼の晩年は、
今作で細かく描かれている暴挙を精算する様な、
悲しい晩節となった事だけが、
今作で鬱憤が溜まった自分には
溜飲を下げてくれる事実になる。
ファンジョンミン、チョンウソンが出てる、
だけで観ると決めました。
流石名優のお二人、迫真の演技に手に汗でした。
とても憎らしいファンジョンミンは、
「アシュラ」の時同様、名人芸でした👏
主要人物で50人くらいいるけど、鑑賞中に混乱しないのは見せ方(字幕も)がうまいから
2024.8.27 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年の韓国映画(142分、G)
1979年に起きた「粛軍クーデター」の顛末を描いた史実ベースの伝記映画(一応、フィクション)
監督はキム・ソンス
脚本はホン・ウォンチャン&イ・ヨンジュン&キム・ソンス
原題は『서울의 봄』で「ソウルの春」、英題は「12.12: The Day」は「12月12日(決行された日)」という意味
物語の舞台は、1979年10月26日の韓国・ソウル
陸軍本部に集められた官僚、将校たちは、大統領暗殺に関する報告を聞くことになった
動揺が広がる中、暗殺事件の合同捜査本部長にチョン・ドゥグァン(ファン・ジョンミン)が選ばれ、元中央情報局のキム・ドンギュ(チャ・ゴヌ)を拷問にかけることになった
大した情報が得られない中、ドゥグァンは秘密裏にある計画を実行しようと目論み、それは彼が所属する秘密結社「ハナ会」のメンバーへと伝達された
ソウルでは厳戒態勢が敷かれ、防衛参謀長のチョン・サンホ(イ・ソンミン)は、首都警備司令部の司令官にイ・テシン(チョン・ウソン)を抜擢した
この動きに対し、ドゥグァンはノ・テゴン(パク・へジュン)を推すものの、サンホはその申し出を跳ね除けた
そして、12月12日の夜、ドゥグァンは偽の宴席を設けて、テシンたちを誘き出し、その隙をついてサンホを誘拐しようと目論む
その作戦は成功するものの、ドゥグァンが宴席に来ないことで不信感を抱いたテシンは、独自のネットワークにて情報を募った
映画は、粛軍クーデターの最初から最後までをきちんと描き切り、ほぼ史実をなぞらえているように思える
とは言え、冒頭では「史実を元にしたフィクションです」と銘打っているように、登場人物の全てが「ほぼ仮名」のようになっている
クーデターを企てるチョン・ドゥファンは「チョン・ドゥグァン」で、その右腕のノ・テウは「ノ・テゴン」だったりする
首都護るチャン・テワンは「イ・テシン」で、こちらは少し配慮がある感じだが、参謀総長のチョン・スンファは「チョン・サンホ」となっている
隠すつもりがあるのかないのかわからないが、最後の集合写真は実在の集合写真の通りに並んでいるし、ほぼそっくりさん大会になっているので、実物を知っている人からすれば「攻めていること」はわかるのではないだろうか
物語は、首都ソウルを守るために双方が動かせる駒を動かすというもので、最後の決め手となったのが国防大臣(キム・ウィソン)の演技というのが慎ましい
国を守るための軍隊が機能せず、のちに光州事件を起こす軍事政権を誕生させることになっていて、これらは韓国の黒歴史として語り継がれている
軍事政権が誕生する国はたくさんあるが、本作における軍事政権は、完璧なまでの根回しとシンパによる包囲網が奏功し、そこまで多くの衝突がないままに終わっている
いつどこで戦闘が勃発するかという緊張感で張り詰めているので、140分があっという間に過ぎていったように感じた
いずれにせよ、かなり登場人物が多いのだが、中心になっているのはクーデターの首謀者ドゥグァン、腹心のテゴンで、防衛側はテシンとジュンヨプが認識できればOKだろうか
パンフレットには組織図&人物相関図があるので、スムーズに理解したい人は事前に読んでも良いと思うが、おそらく覚えきれないと思う
それでも、映画を見ていてそこまで混乱はしないので、これだけ登場人物が多い内容でも、映画鑑賞中に混乱させないのはすごいことだと感じた
韓国のいちばん長い日
史実に基づく臨場感、軍隊内部での対立、刻一刻と変化する情勢、全編を貫く緊迫感と、どこかで観たことがあるような映画だなと思ったら、「日本のいちばん長い日」だった。
それにしても、クーデターは、最初に大統領の署名がもらえなかった時点で、あっさりと失敗するのだろうと思いきや、そこからの往生際の悪さと巻き返しが凄まじい。
ここで鍵を握るのが、上官たちの無能さで、特に、事なかれ主義の副参謀総長のせいで首謀者を逮捕できずに取り逃がしたり、策略に引っ掛かって反乱軍を首都に入れてしまったりといったシーンや、日和見主義の国防大臣のせいで乾坤一擲の砲撃のチャンスを逸するといったシーンでは、相当にフラストレーションがたまってしまった。
厳格な階級社会の軍隊では、政治家を含めて「上に立つ者」の資質がいかに大切かということを痛感できるし、これは、一般社会にも当てはまることであるに違いない。
その一方で、クーデターが成功したのは、軍内に「ハナ会」なるものの信奉者が多かったからだろうが、それが、一体何を目的とした組織なのかが今一つ分からなったところには、釈然としないものが残った。
劇中では、如何にも士官学校閥であったり、「出世や栄達を実現するための集まり」のような描かれ方をしていたが、多くの軍人を惹きつける以上は、それなりに魅力的な主義主張や国家観のようなものを掲げていたのではないだろうか?
それが説明されなかったせいで、クーデターを起こした軍人たちが、単に私利私欲にまみれたせこい連中にしか見えず(実際にそうだったのかもしれないが)、物語が薄っぺらく感じられてしまったのは残念だった。
あるいは、こうした描き方は、全斗煥らには一片の同情の余地もないという、この映画の決意表明なのかもしれないが・・・
一発逆転で最後に正義が勝つに違いないという期待を見事に裏切る、何のカタルシスもないバッドエンドについては、これはこれで、史実なのだから仕方ないのだろう。
ただ、後味の悪さを和らげ、劇場を後にする時の足取りを少しでも軽くするために、せめて、この歴史的事実を教訓として、二度と同じことを繰り返さないようにするためにはどうしたらよいのか、あるいは実際にどうしているのかといったことを示せなかったものかと、少し残念に思ってしまった。
1979年12月12日9時間の攻防!
韓国映画のファンですが、私には近くて遠いお国でして。。
歴史に疎くお恥ずかしいのですが。。
「タクシー運転手」「1987 ある闘いの真実」を観た時に、光州事件や六月抗争に興味がわき、少し調べた時期がありました。
軍事政権から民主化への流れ。。
本作はそれより前の1979年12月12日の9時間の出来事を史実を交えて描いた作品です。
流れは大まかに知っていたので、まだこの時代だと、ラストはそうなるとわかっているのですが、やはり悔しく苦しく大きなため息が出ました。
自国の負の歴史(汚点)にここまで踏み込んだ作品が、大ヒットする韓国ってすごいなと思うし、これを日本でも公開してくれる事に驚くばかりです。
日本だったら、国家の闇に切り込む作品はなかなか作られないし(なくはないが、まだまだかなという印象)
出来たとしてもミニシアター上映止まりでしょう。
日本の映画界も恐れずもっと本気を出して欲しい!
と、書いてみたものの、私は知識が足りないので安易な事は書き辛い。。
右でも左でも上でも下でもwない人間なので、突っ込まれると困ってしまう。
いつまでも厨二病を患っているし、ネバーランドに住んでいるので、あまり攻撃しないで下さいm(__)m
お断りを入れたので、少し感想を書いてみますよ。
独裁者になりたいなんてどーして思うのか理解出来ない。
チョン・ドゥグァン(ファン・ジョンミン)がハナ会のメンバーの心をコントロールしていく様子が気持ち悪い。
が、"飴と鞭"で、自分より上官の人物でさえも上手く転がし操る姿はある意味見事。
又、自分の思い通りにならない人物には豹変する恐ろしい一面も併せ持ち、その強い権力欲は底知れない。
こんな人間がトップに立つなんて絶対に阻止しなくては。。
そんなドゥグァンの行動に危機感を持った実直な軍人イ・テシン(チョン・ウソン)
彼を止めようと立ち向かう姿が熱く胸を打つ。
あの時逮捕出来ていれば、あそこで逃げられていなければ、あの誘いにのらなければ。。
タラレバの連続。。
いつの時代にもどこの国にも、名ばかりの官僚や上官は存在する。
自らの保身優先で誤った判断を下す。
巻き込まれる部下や国民はたまったもんじゃない。
全ての歯車が少しずつズレていき、新たな独裁者誕生までの道のりを見せられるのは正直しんどかった。
観客が望むエンディングは迎えない。
勝てば革命、負ければ反逆罪。。
勝つ?負ける?戦争じゃん。
時代と社会を正しさへ導こうとする強い信念と覚悟は折れる事はなかったテシン。
最後までドゥグァンは彼には勝てなかったのだと思う。
だからこそ、勝利したはずの彼がその後見せるあの複雑な表情が印象的だった。
1人トイレに行き、放尿(緊張からの緩和?)しながら徐々に喜びを噛み締めるあの笑いのシーンは何とも言い難い余韻を残した。
寒さ厳しい12月の夜、あの銃声を聞いていた市民はどんな気持ちだったのだろうと考えながら帰宅した。
プラハの春。ソウルの春。
韓国、変われて良かった。
142分はなげーよ。
途中から始まる室内の銃撃シーンがループしてるんじゃないの?と思うくらい同じシーンが続いて何度も腕時計を確認してしまった。
あれだけの銃撃戦なのに、ほぼ死傷者がいなかったみたいだったけど史実だったのでしょうか?90分くらいにまとめていたなら満足したけどいかんせん長すぎる。
韓国映画好きな人でも満足はできないと思います。
ソウルは冬に。
1979年韓国大統領暗殺…、その暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官の話。(実話に基づくフィクション交え)
独裁者の座を狙い秘密組織を率いてクーデターを起こし暴走するチョン・ドゥグァン、そのチョン・ドゥグァンの暴走を阻止しようとする首都警備保安官イ・テシンだったが…。
本作ちゃんと観れてれば面白い作品だとは思うんだけれど、ちょいちょい眠気がきてしまって…。
話の流れ的にはイ・テシンにヨイショしてどうにか暴走止めろとは思うけど…、結局力だったりズル賢さが勝る展開で自分が求めてた流れとは真逆の終わりだった。
ちゃんと観れてればもっと高評価のはず!
クーデターの裏側
一応フィクションだが、手に汗握る史実に基づいたリアルな映画に仕上がっている。
最後の方の不利な状況の中、イ・テシン少将の「国を反乱軍に渡すのか?」と戦意の落ちた部下に語る姿が切ない。
韓国映画らしくテンポも良く構成もしっかりしていてとても面白かった。中々上手く纏めていると思う。
“韓国の 歴史の裏側 知らずんば 驚くばかりの 軍事エンタメ” 期待度○鑑賞後の満足度◎ リピート:韓国の歴史を勉強してから シェアしたい度:韓国の歴史に詳しい人と
①こんな結末になるとは思わなかった。ヒーローが破れて敗者になる映画も珍しい。
②史実を元にしたフィクションとの事だから、どこまでが真実かどうかわからないけれども、「勝てば官軍」「軍隊を制するものが国を制する」というのは本当だな、ど思わされる。
日本はこういうことが(太平洋)戦争後は起こらなくて良かったな。韓国の人には失礼だけど)日本に生まれて良かったな、としみじみ思わされた。
③イ・テシン司令官カッコ良すぎ!と思ったが、実在の人物であればその後再評価されているのでしょうか。
④どこの国でもだいたい同じだろうけれども、地縁血縁を優先するもの、無能な上官、風見鶏、大局的にものが見えない輩、自己保身のみを考える者たちのせいで無念の敗北を喫するイ・テシンが可哀想。奥さんも…
【“悪貨は良貨を駆逐する。そして軍事独裁政権は継続された。”今作は全斗煥が起こした12/12軍事反乱を苛烈に描く、韓国映画陣の自国の負の歴史をエンタメ作品として製作する気概に感銘を受けた作品である。】
ー ご存じの通り、歴代の韓国大統領の多くが悲惨な末路を辿っている。全斗煥が起こした12/12軍事反乱のきっかけにもなった、朴正煕大統領が側近のKCIA部長に拳銃で撃たれ死亡した事件(この事件の経緯は「KCIA 南山の部長たち」で詳細に描かれている。)を始め、今作で権力欲に取りつかれた方の主役のモデルとして描かれる全斗煥は今作のクーデターや光州事件(この事件は「タクシー運転手 約束は時を越えて」で詳細に描かれている。)の責任を追及され逮捕、無期懲役刑を受けているし(但し、後年特釈。)、全斗煥の右腕だった盧泰愚も同様に有罪判決を受けている。
更に、廬武鉉は収賄疑惑により飛び降り自殺をしているし、李明博も賄賂授受の嫌疑で逮捕、朴正煕大統領の娘である朴槿恵も収賄、職権乱用などで重刑を言い渡されている。
では、何故に韓国大統領はこのように悲惨な末路を迎える人が多いかと言うと、一言で言えば大統領になると巨大権力を手に出来る政治システムが背景にあるのである。-
◆感想
<Caution! 一部、敢えて役名を実名に変換して記載しています。又、やや内容に触れています。>
・今作の魅力は数々あれど、朴正煕暗殺事件の捜査本部長に就任した全斗煥保安司令官(今作では、チョン・ドゥグァン:以下敢えて全斗煥と記載する。)を演じたファン・ジョンミンの権力欲に憑りつかれた男の、豪胆さや強かさ、そして人間臭さを見事に演じた姿である。
彼が、年上の役職者たちを”先輩”と呼びながら、腹の中では馬鹿にしつつ陸軍内の秘密組織”ハナ会”の中で頭角を現していく姿や、時に見せる人間臭さの演技は見事である。
・一方、高潔な軍人として描かれるイ・テシン首都軍事司令官を演じたチョン・ウソンも見事である。
全斗煥が着々と多数の軍を手中にしていく中で、正に孤軍奮闘する姿にはドンドン観ていて肩入れしていくのである。彼が追い詰められた時に僅かな自分の軍勢に対し鼓舞する言葉や、全斗煥に対し、”軍人としても、人間としても貴様は失格だ!”と言い放つ言葉も胸に沁みるのである。
そして、彼の妻が彼を気遣う姿が、ラストの彼の悲劇を暗示させる演出も巧いのである。
- この映画は、韓国映画界の名優ファン・ジョンミンと、チョン・ウソンの二人に余りに対照的な人物を演じさせたキャスティングの妙も、魅力なのである。-
・朴正煕の後釜になった崔圭夏も、統率が取れずに度重なる全斗煥の陸軍参謀総長(イ・ソンミン:「KCIA 南山の部長たち」では、朴正煕大統領を演じている。この人も名優である。)を朴正煕大統領暗殺の責任を取らせる署名をするように要求する姿に、屈服するのである。
但し、最後の抵抗として署名の後に事後承諾の意味を込めて、署名日時を入れる所もミソで、この日時のサインが後年全斗煥と盧泰愚をクーデターの罪で有罪にするのである。
・更に、状況を見て右顧左眄する国防部長官の姿や、全斗煥の口車に乗って12/12軍事反乱に加担する軍部の幹部たちの姿が観ていると非常に腹が立つが、この映画ではラスト、彼らを断罪するかのように彼らの”集合写真”を大スクリーンに映し出し、一人一人の当時の役職と名前を映すのである。
■この映画は12/12軍事反乱を忠実に描いているので、観る側の希望通りには終わらない。
だが、それが逆に全斗煥及び彼に加担した者たちを大悪党に見せる効果にもなっているのである。
<今作は、朴正煕暗殺の後に民主化が進むと思われていた時期に、裏で起きていた12/12軍事反乱の際の、二人の軍人の攻防を緊張感溢れる数々のシーン満載で、ぬ軍事独裁政権を新たに維持した"男"に対する激しい怒りを持って描いたポリティカル映画なのである。
又、韓国の負の歴史をキチンとエンタメ映画に昇華させる、韓国映画製作陣の気概を改めて感じさせる作品でもあるのである。>
韓国のいちばん長い日‼️
私は韓国の歴史にあまり詳しくないので知らなかったのですが、79年に独裁者といわれた大統領が暗殺され、新たな独裁者を狙う軍の司令官チョン・ドゥグァンによるクーデターと、それを阻止しようとする首都警備司令官イ・テシンの戦い・・・‼️てっきりドゥグァンの野望は阻止されるのかと思いきや、悪の隆盛を描いた物語だった‼️カタルシスが味わえないため、後味は悪いのですが、2時間22分、緊張感と緊迫感を持続させた演出は見事です‼️ハラハラドキドキ、時間が経つのを忘れてました‼️
明治維新も、薩長のチンピラが起こした武力クーデターだったのでは?
映画を観ながら思った。
『明治維新も、薩長のチンピラが起こした武力クーデターだったのでは?』
国を心配した若者が立ち上がり、黒船に狼狽える徳川幕府を終わらせ、良い事をした美談になっているが。。。
明治維新を、愚劣な暴力クーデターとしてとらえた映画を見てみたい。
映画自体は、良く出来ていて、良い者が負ける所が好き。
軍の幹部の身柄をとったり、やっている事は薩長と同じ。
天皇の事を『ぎょく』と呼び、ぎょくをおさえれば、こっちが官軍と
錦の御旗。 アホな慶喜は おじけづいた。
悪こそが正義なのか
朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が暗殺されてからの政治的不安を抱えた韓国で起きた粛軍クーデターをフィクションを交えながらストーリーにしている。
18年間もの間続いた軍事的な独裁政権は終りを迎えたが、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官は新たな独裁者の座を狙うため、軍内部でハナ会という秘密組織に在籍する将校達を動かし、12月12日にクーデターが起きてしまう。
一方で、私利私欲が殆ど無いことでも知られていたために重職である首都警備司令官を任されることになったイ・テシンは部下の中にハナ会のメンバーがいる等不利な立場に置かれながらも軍人としての信念を貫き通した。
ソウルを守るためにハナ会に立ち向かうもハナ会の持つ力の大きさには敵わずイ・テシンは逮捕され軍事裁判にかけられてしまう。
結果、チョン・ドゥグァンが引き起こしたクーデターは成功するに至る。
映画では、チョン・ドゥグァンがクーデターに成功して喜びを示す一方で、チョン・ドゥグァンの暴走を止めようとしたイ・テシンがハナ会に捉えられるのだが、ハナ会の味方として動いた官房長官もだが人間ってこんな薄情な生き物なのかと思っちゃう。
「粛軍クーデター」または、「12・12軍事反乱」と言われる韓国の事...
「粛軍クーデター」または、「12・12軍事反乱」と言われる韓国の事件を、モチーフにした映画。
この事件を全く知らないので、韓国の歴史の一端を学べるかもしれないと思って、観てきた。
「ソウルの春」とは、パク・チョンヒ大統領暗殺に端を発し、国民の民主化ムードが隆盛した政治的過渡期を、チェコスロバキアの「プラハの春」になぞらえ呼称したもの。
この国民の民主化ムードを、木っ端微塵に打ち砕いたのが、チョン・ドゥグァン。
チョン・ドゥグァンのクーデターは、国民のことをこれっぽっちも考えていない、ただただ自分が次の独裁者になるための、欲望剥き出しの暴走だった。
やりかたが想像以上に、汚なかった。
クーデターを食い止める、首都警備司令官イ・テシンが次々に打つ手は、的確だった。
しかし、情報網を全て掌握する「ハナ会」に電話を盗聴されて、イ・テシンの指示は、筒抜けだった。
それでもイ・テシンは執念深く、他の手を打っていく。
イ・テシン側と、チョン・ドゥグァン側の一進一退の攻防は、終始緊張感があり、見ごたえがあった。
最後の最後まで、イ・テシンは死力を尽くしたが、9時間あまりで決着を見た。
陸軍内部の「ハナ会」の勢力が、思った以上に強大だった。
チョン・ドゥグァンは、憎ったらしいだけでなく、カリスマ性もあわせ持っていた。
イ・テシンの徹底抗戦にビビり、チョン・ドゥグァンに味方した事を後悔し始めた先輩達に、
「人間というものは、強いものに導かれたいと願っている!」
「失敗すれば反逆者だが、成功すれば革命だ!」
と言って、鼓舞した。
クーデターを起こすような奴は、肝っ玉が座っているな、と感心した。
黒澤明監督の名作、「悪い奴ほどよく眠る」を観た時の、後味の悪さを思い出した「ソウルの春」だった。
忠誠!(チュンソン!)
クーデター
語源はフランス語(coup d'État)
で一般的には暴力ないし武力による
政治的変革を意味する
国家の統治とはつまりは
国軍の統帥権(指令する権利)の掌握と
言え政権が軍部を掌握しなければ
ならないが発展途上国や情勢が悪化している
国家においてはしばしば政変は
クーデターによって起こることが多い
それほどに軍隊の実質的権力は強いのである
暴力装置という表現も間違いではない
今作はあくまで
フィクションと謡っているが
明らかに大韓民国の朴正煕暗殺後の
1979年10月から翌年8月にかけての
プラハの春になぞらえた「ソウルの春」
を題材にしその後発生した
12.12「粛軍クーデター」をモデルにし
その中心人物だった
全斗煥(チョン・ドゥファン)や盧泰愚(ノ・テウ)
クーデターに立ち向かった張泰玩(チャン・テワン)
らを一部名前を改変しているがほぼ展開は
史実通りの実録系作品
どうだったか
いや非常に面白かった
軍の存在や政治体制の成り立ちが
日本とは異なる部分は新鮮だったし
ディティールや緊迫感も素晴らしく
誰もが感情移入する側をぶった切って
終わるラストは唖然とさせられます
って史実なんですけども
韓国の歴史を
少し復習すると
1950年の朝鮮戦争後
南北を38度線で分断され
朝鮮戦争は終わらないまま
(ちなみに今でも終わっていません)
韓国は米国ら同盟国と軍備を整え
睨み合いが続けていましたが
国家としての機能が進まぬうち
軍の腐敗等が進んだことで
日本名「高木正雄」も持つ軍人
朴正煕が1961年に「5.16クーデター」
を起こして軍事政権を樹立
日本から「日韓基本条約」
として戦後補償と引き換えに
技術支援などを取り付け
(この条約は後に政治的に反故)
「漢江の奇跡」と言われるほどに
急速に発展した
しかし1979年その朴大統領が
KCIAの職員に暗殺され韓国全土に
戒厳令(軍部が三権を掌握すること)
が敷かれたがここに吹いた世界的な
民主化運動の風と共に再び
騒乱が起こったのである
暗殺事件の捜査の代表保安司令官
チョン・ドゥグァンは軍内部の
極秘派閥「ハナ会」に属し
5.16クーデターも関わった野心家
ハナ会は軍内部で勢力を拡大する
秘密組織でも陸軍師団を指揮する
ノ・テゴン将軍と共に重要な存在
政治側にも国防長官に賄賂をしていたり
工作を危惧し軍部と政治を切り離す
方針でいた陸軍参謀総長チョン・サンホは
軍の中でもハナ会に属さず堅物な
イ・テシンを首都警備司令官に打診し
ドゥグァンを左遷する方向で動きます
それを察知したドゥグァンは
チョン・サンホを暗殺事件の加担者
としてでっち上げると共に
陸軍司令部を乗っ取って政権を
奪取する一大クーデターを
1979年12月12日に実行するのである
簡単に説明すると
・大統領に参謀総長取調べの認可を得る
・陸軍司令部を占拠する
・ハナ会のネットワークを最高に駆使する
という算段である
最も大きいのは鎮圧に動く側の通信を
保安部あがりのクーデター側が
完全に盗聴しており行動を封じられて
しまったことにある
そして何より38度線に前方部隊を
集中しているのだからソウルは南側から
反乱を起こされると軍備が常に足りない
ただでさえ大統領暗殺という混乱状況
である
様相的にはクーデター側に有利な条件が
揃っているように見えて映画上の序盤では
なかなか大統領の許可取りがうまく
いかなかったりイ・テシンの機転で
阻止されたり非常警戒警報「珍島犬1」
が発令されたりといったヒロイックな
展開が進むので観ている側はテシンに
感情移入していくところがうまい
しかしテシンの努力も事態を理解していない
陸軍上層部に再三阻止され
ドゥグァンの土壇場からの工作によって
あれよあれよ形勢は逆転していき
テシンはソウルに迫撃砲を打ち込んででも
と最後の手段のように持っていくが
すんでのところで司令官を解任
クーデターが成功に終わってしまいます
これには観てる側は( ゚д゚)ですが
これ史実なんですよね
実録系映画って結末はわかっていても
そこまでにどうハラハラさせるかが
カギですからこれは見事でした
「藁にもすがる男達」でも
幸薄い役を演じたテシン役のチョン・ウソン
そして何より前髪を後退させてまで
ドゥグァンを演じきったファン・ジョンミン
(全斗煥の写真見ると再現度ヤバい)
よくできていました
韓国の政治の歴史も知れて良かった
おすすめで
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