「1979年12月12日9時間の攻防!」ソウルの春 ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
1979年12月12日9時間の攻防!
韓国映画のファンですが、私には近くて遠いお国でして。。
歴史に疎くお恥ずかしいのですが。。
「タクシー運転手」「1987 ある闘いの真実」を観た時に、光州事件や六月抗争に興味がわき、少し調べた時期がありました。
軍事政権から民主化への流れ。。
本作はそれより前の1979年12月12日の9時間の出来事を史実を交えて描いた作品です。
流れは大まかに知っていたので、まだこの時代だと、ラストはそうなるとわかっているのですが、やはり悔しく苦しく大きなため息が出ました。
自国の負の歴史(汚点)にここまで踏み込んだ作品が、大ヒットする韓国ってすごいなと思うし、これを日本でも公開してくれる事に驚くばかりです。
日本だったら、国家の闇に切り込む作品はなかなか作られないし(なくはないが、まだまだかなという印象)
出来たとしてもミニシアター上映止まりでしょう。
日本の映画界も恐れずもっと本気を出して欲しい!
と、書いてみたものの、私は知識が足りないので安易な事は書き辛い。。
右でも左でも上でも下でもwない人間なので、突っ込まれると困ってしまう。
いつまでも厨二病を患っているし、ネバーランドに住んでいるので、あまり攻撃しないで下さいm(__)m
お断りを入れたので、少し感想を書いてみますよ。
独裁者になりたいなんてどーして思うのか理解出来ない。
チョン・ドゥグァン(ファン・ジョンミン)がハナ会のメンバーの心をコントロールしていく様子が気持ち悪い。
が、"飴と鞭"で、自分より上官の人物でさえも上手く転がし操る姿はある意味見事。
又、自分の思い通りにならない人物には豹変する恐ろしい一面も併せ持ち、その強い権力欲は底知れない。
こんな人間がトップに立つなんて絶対に阻止しなくては。。
そんなドゥグァンの行動に危機感を持った実直な軍人イ・テシン(チョン・ウソン)
彼を止めようと立ち向かう姿が熱く胸を打つ。
あの時逮捕出来ていれば、あそこで逃げられていなければ、あの誘いにのらなければ。。
タラレバの連続。。
いつの時代にもどこの国にも、名ばかりの官僚や上官は存在する。
自らの保身優先で誤った判断を下す。
巻き込まれる部下や国民はたまったもんじゃない。
全ての歯車が少しずつズレていき、新たな独裁者誕生までの道のりを見せられるのは正直しんどかった。
観客が望むエンディングは迎えない。
勝てば革命、負ければ反逆罪。。
勝つ?負ける?戦争じゃん。
時代と社会を正しさへ導こうとする強い信念と覚悟は折れる事はなかったテシン。
最後までドゥグァンは彼には勝てなかったのだと思う。
だからこそ、勝利したはずの彼がその後見せるあの複雑な表情が印象的だった。
1人トイレに行き、放尿(緊張からの緩和?)しながら徐々に喜びを噛み締めるあの笑いのシーンは何とも言い難い余韻を残した。
寒さ厳しい12月の夜、あの銃声を聞いていた市民はどんな気持ちだったのだろうと考えながら帰宅した。
プラハの春。ソウルの春。
韓国、変われて良かった。
今晩は。
嬉しいコメントを頂き、ありがとうございます。
褒められると伸びるNOBUです!
今作は、キム・ソンス監督が言っているように、このクーデターを経験した人達や、このことを親世代から聞かされていた人たちが熱く支持した事が良く分かる作品ですよね。
日本ではポリティカルムービーは仰るようにミニシアター系が多いですが、少し前に藤井道人監督が公開した「新聞記者」がシネコンで掛かった時は、感慨深かったですよ。
台風被害が最小限になることを願いつつ。では。