「骨太な歴史劇」ソウルの春 ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
骨太な歴史劇
朴正煕による18年間の軍事独裁政権後の、全斗煥による軍事クーデターに至るごく短い期間(メインは1979年12月の一夜) を描いた骨太な歴史劇。
結果がどうなるかは知っているのに二転三転する情勢に本当にハラハラするし、欲と執着に正義が敗れ去る展開も残念ながら納得させられた。なりふり構わず、欲も隠さず、嘘でもなんでも手段を選ばない相手に正論がいかに無力かというね…
そしてこれこそまさに「おじさんの詰め合わせ」ながら、みんな実に良い。なんといっても主役の2人、特に全斗煥を演じたファン・ジョンミンの熱演がスゴい。彼ほど、欲望に忠実な悪党を魅力的にみせることが出来る役者はいないね…
1980年代以前は日本映画でも「日本のいちばん長い日」とか226ものとかいろいろあった気がするが、もうそういった作品が出来るような体力はないよね…
その点韓国映画はスゴい。
朴正煕政権を終わらせた暗殺を描いた「KCIA 南山の部長たち」。その後の全斗煥クーデターを描いた本作。全斗煥による民衆弾圧である光州事件を描いた「タクシー運転手」。韓国民主化への最後の戦いを描いた「1987」と最近製作された映画だけで韓国の現代史の流れを理解できるからね。
大事なことだと思う。歴史修正主義にまみれた日本から見ると、実に羨ましい…
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