「約10か月ぶりのバルト9」ランサム 非公式作戦 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
約10か月ぶりのバルト9
『最後まで行く』のキム・ソンフン監督、劇場映画に絞ると案外寡作な監督ですし、やはり最新作となれば気になってはいたのですが、、残念ながら公開規模はあまり大きくなく、私の行動範囲だとバルト9一択。新宿かぁ、と思って躊躇していたのですが、毎週聴いているライムスター宇多丸さんの映画評の対象作品にもなったことで、えーいっ、と踏ん切りをつけていざ参戦です。会員サービスデイの午前回、平日の割には結構入っていたと思います。
さて、本作は1986年にレバノンで実際に起きた外交官拉致事件をモチーフにして作られたフィクションです。と言うことで「実話ベース」には違いありませんが、ちゃんと“面白く”作られたクライムサスペンスになっています。
命知らずの犯罪集団を相手に、普通の人である外交官ミンジュン(ハ・ジョンウ)とタクシー運転手パンス(チュ・ジフン)が立ち向かうという荒唐無稽さも、相性のいい二人の掛け合いはテンポがあって引っかかることなく観られます。また、既視感のあるアクションアイディアも、ちょっぴりふっくらした感のあるハ・ジョンウがやることでチャーミングに見えたり、それでいてちゃんとハラハラする緊迫感もあり飽きることなく観続けられ、きっちりエンターテインメントに仕上がっていて流石です。
なお、非常に細かいところですが、前半のシーン、ミンジュンが後輩に出世を追い越された腹いせにするある「行為」。その後に映るそれがちゃんと「ある変化」を起こしていてちょっと吹き出しました。美術さん、グッジョブ。
と言うことで、総じて楽しめる映画に仕上がっていますが、劇場鑑賞必須かと問われれば、、ご都合や熱量次第では配信待ちでもいいかもしれません。もう少し観やすいとなぁ、、クロックワークスさん、すいません。