「友情も信念も、全部ぼやけたまま」ブリックレイヤー としちゃん(≧∇≦)さんの映画レビュー(感想・評価)
友情も信念も、全部ぼやけたまま
『ブリックレイヤー』、最初はけっこう期待してたんだけど、観終わったあとに「結局なんで?」っていう疑問ばっかり残った。
アクション映画としてはテンポも悪くないし、映像もそれなりにカッコいい。だけど、肝心の“心の部分”が見えてこないんだよね。
まず気になったのが、ラデックとヴェイル。
親友同士だったはずなのに、なんで最後は殺し合うことになったのか。
映画の中でそれっぽい説明とかヒントは出てくるんだけど、どれも断片的でぼんやりしてる。
ヴェイルがラデックを撃つ直前に「二人を守れなくて悪かった」って言うシーン、あれも意味深ではあるけど、結局どういうこと?ってなる。
娘と妻の死が関係してるっぽいけど、その経緯もちゃんと描かれないから、感情移入しづらい。
ラデックの過去に何があったのか、家族がどうして亡くなったのか、あのあたりをもっとしっかり描いてくれたら、ラストの対決にも重みが出たと思う。
今のままだと、「とりあえず悲しい過去がありました」っていう設定止まりで終わっちゃってる感じ。
あと、途中でタイの立場や態度が変わるところもよくわからなかった。
お金のため?信念?どっちなのかはっきりしなくて、ただ話を転がすための展開に見えちゃった。
全体的に、内容が薄くて広い。
CIAの陰謀もあるし、個人の復讐もあるし、仲間との絆もあるし──とにかく詰め込みすぎて、どれも深掘りできてない。
せっかく「元CIAのレンガ職人が再び戦場に戻る」っていう面白い設定なのに、それを活かしきれてないんだよね。
アクションはそれなりに迫力あるし、主演の存在感も悪くないんだけど、
見終わっても心に残るものがなくて、ただ「うーん…で、結局どういう話だったんだろ」っていうモヤモヤだけが残る映画だった。
人間ドラマに踏み込みきれず、アクションにも全振りできなかった中途半端さが惜しい一本。
“親友同士の決裂”をもっと深く描いてほしかった。
