「一番の謎は、ジヨンがさゆりに何を言われたのか、のような気がしますね」告白 コンフェッション Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
一番の謎は、ジヨンがさゆりに何を言われたのか、のような気がしますね
2024.6.6 一部字幕 イオンシネマ四条畷
2024年の日本映画(74分、PG12)
原作は福本伸行&かわぐちかいじの同名漫画(講談社)
雪山で遭難した親友の告白を巡る心理を描いたスリラー映画
監督は山下敦弘
脚本は幸修司&高田亮
映画の舞台は、日本のどこかの山岳地帯(原作では尾張、ロケ地は長野県伊那市)
かつての山岳部員仲間のさゆり(奈緒)が事故死してから18年、当時の部長だった浅井(生田斗真)と部員のジヨン(ヤン・イクチュン)は、慰霊登山のために思い出の地を訪れていた
だが、生き慣れたはずの場所なのに、山小屋を前にして身動きが取れなくなってしまう
悪天候に加え、ジヨンが足にケガをしたことが原因で、彼は覚悟を決めていた
浅井に一人で山小屋に行けと言うものの、彼はジヨンの元に留まり続ける
そこでジヨンは、かつて起きたさゆりの事故についての真相を語り始める
それは、浅井とさゆりが恋人関係であることを知ったジヨンが彼女を殺したというものだったが、浅井は冷静に「18年前のことだ」と表情を変えなかった
ジヨンは変に思うものの、このまま死ぬと感じていたので、何も言わずに時を待った
物語は、それでも生きようとする浅井が山小屋を見つけ、そこに避難してしまうところから動き出す
ジヨンは助かり、救助隊に連絡を入れるものの、ある疑念が拭えないままでいた
浅井もその話題にふれることもないのでだが、かえってそれが不自然になってしまう
そんな中、浅井が高山病にかかってしまい、視野が悪くなってしまう
そして、ジヨンに殺されるのではないかと畏れる浅井が、奇怪な行動を取り始める、という感じで描かれていく
原作はかなり昔の作品で、オチと人物設定を変えまくっているので、「死ぬと思って恋人を殺したと告白をしたが生き残ってしまった」という設定だけで別の映画を作っている感じになっている
告白者が韓国人になっているため、浅井が言葉を理解できないシーンがいくつかあるが、映画では字幕がついたりつかなかったりと統一されていない
浅井目線の恐怖を描くのなら、字幕はすべてなしでOKだし、その後にジヨン自身が日本語で言い直しているシーンもあるので、何の意味もなさない演出になっていた
映画はかなり短いのであっという間に終わるが、中オチは賛否両論というよりは「否」の方が多いと思う
あそこまで精神が錯乱しているのなら、「ジヨンが何を言ったのかも忘れている」ぐらいの方がよくて、後半は「告白を覚えていないのに襲われる」というものでも良かったように思えた
いずれにせよ、原作未読でも問題なく、シチュエーションだけを知って観ても問題ないと思う
とは言え、それで良いのか感も強く、スリラーと言うよりは「閉鎖空間パニック&ホラー」のようなものなので、ホラーテイストがダメな人は避けた方が良いと思う
面白いかどうかはわからないが、色々と突っ込みどころの多い作品なので、コメディ(鬼ごっご)だと思って、映画館で涼むというのならアリではないだろうか