「監督はB級ホラーのつもりで作っているので観る側もその体勢で」告白 コンフェッション ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
監督はB級ホラーのつもりで作っているので観る側もその体勢で
ワンシチュエーションで上映時間も短い、短編映画のような見応えの作品だ。
物語の前提は冒頭の浅井の独白で説明され、さくさくと避難小屋での主役2人の睨み合いに入っていく。あとはちょっとしたB級ホラーのノリで、大暴れするジヨンが急に姿を消しては突然現れてびっくり、といったようなジャンプスケアの繰り返しだ。
PG12とはいえ、上限ギリギリを攻めてこられるとグロ苦手な私は耐えられないかも、と心配していたが、生々しいグロ描写はほぼなかった。ジヨンが自分の足を刺すところと、脛が折れてしまう場面はCGっぽさ、作り物っぽさが強かったので全く問題なかった(問題ないのか?)。
上映前に鑑賞特典のクリアファイルをもらって、マキシマムザホルモンの主題歌の歌詞を眺めていた時の方が想像が膨らんで怖かった。「まるでナポリタンな遺体!」とか、「穴という穴から液体!液体!」とかの映像を見せられるのかと戦々恐々としてしまった。
あとで山下監督のインタビューを読むと、監督自身この作品をB級ホラーだと思っているそうで、これじゃB級ホラーだなという印象はどうやら監督の思惑通りらしい。
この思惑とあまりに違う期待を抱いて観るとがっかりするのかもしれない。
主演2人の演技の熱量が一番の見どころ。
映画を観た後に原作漫画を読んだら、ジヨンの役は原作では日本人という設定だった。わざわざ元留学生という設定に変えてヤン・イクチュンを起用しているのだが、あの静と動のコントラストのすごい演技を見て、この役にあてたくなるのもわかる気がした。
激情のデフォルメがすごすぎて、途中から2人が闘ってる理由なんてどうでもよくなってきて、ハイスピード匍匐前進のシーンなんかはちょっと笑ってしまった。死にそうだったのに、玉ねぎスープだけでめっちゃ元気やん。
生田斗真は上手いので安心して見られたが、結局さゆり(奈緒)を殺したのは浅井でした、という話であれば、もうちょっと終盤に浅井の腹黒さを前面に出してもよかった気がする。序盤でジヨンの殺人の告白を聞いた時、浅井は本当は自分が殺したのにあんな白々しいことを言えるような人間だし。妊娠したから殺すなんてまさにクズだし。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」での源仲章のようなキレキレの腹黒演技(本作とは方向性は違うが)が生田斗真はできるのだから、どうせならそこまで振り切ってもらって、浅井の表と裏みたいなものも見てみたかった。
夢オチはよくない展開のように言われることが多いが、本作終盤の夢オチ、というか1回目のどんでん返しは嫌いではない。ジヨンとの格闘という幻は、浅井の中にあるさゆりを殺した罪悪感が見せたものということだろう。そういう想像の余地が加わるのも乙なものだ。
細部のアレンジはあれ、展開はほぼ原作通りの作品だが、このラストだけは原作と違うものになっている。
(以下、原作のオチを書きます)
原作では2人の格闘は全て現実で、終盤に浅井が石倉(本作のジヨン)に追い詰められさゆり殺しを告白したあと、自分が殺したのではないと安心して油断した石倉を救助隊が来る前に殺害、遺体を雪原に放置。救助隊に、石倉とは途中ではぐれたと嘘をついて自分だけ救助されて終わる。
腹黒いですねえ。映画ラストの血塗れで死んだ目の生田斗真もいいけれど、原作準拠パターンでごりごり腹黒さを見せるのも捨てがたい。でも多分監督は、ラストを血と狂気で盛り上げたかったのだろう。
(原作のラストは、そうなんですか?)
こんばんは。
私はめちゃ気に入りました。
むしろ夢オチの浅井が山荘に閉じ込められて、
救助隊が置いていってしまう・・・みたいな
Blackも良かったか?とかおもいました。