劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」のレビュー・感想・評価
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主役ジャングルポケットに敵はアグネスタキオン
ウマ娘のジャングルポケットとアグネスタキオンにスポットを当てたストーリー。
マンハッタンカフェや他のウマ娘はこの映画ではいくら強くても脇役です。それを推しは知って見たほうが良い話。
全部想いはタナベ調教師とフジキセキのところに来たジャングルポケットの3歳のジャパンカップまでのお話だ。良く出来てる。敵役のアグネスタキオンはダービー前に無敗で休養。だからダービー獲れた。いや、速さに脚が耐えられない走りをしていたアグネスタキオンはダービーに出てもレース中に故障して予後不良にされていたかもしれない。けど、そんなことは知らなかったジャングルポケットはタキオンの背を感じたままダービーを獲る。話はポッケとタキオンで進み、最後ジャパンカップでテイエムオペラオーをジャングルポケットが倒してタキオンと同じ速さの世界に到達して話は大団円。キレイにまとまったという感想です。
だからテイエムオペラオーもダンツフレーム、ナリタトップロードもマンハッタンカフェも今回は話の脇役です。決して推しウマが活躍しなくても、活躍するのはまた別の話と割り切ってジャングルポケットの話をみんな観てくださいね。
本当の競馬の話を知れば知るほど、よく出来てるストーリーです。現実は素晴らしい。それになぞらえたウマ娘のストーリーも良かったと言える。
突き刺さった
めちゃくちゃ刺さった。合計7回観に行きました。
そんなに観るなんてウマ娘ファンなのかなと思われそうですが、
当方、元々は競馬好き(題材の当時の話は聞き齧った程度)で、
ウマ娘はゲームを数日プレイし、アニメは数話視聴したかな?(いまいち刺さらなかったけど…)という程度です。
映画も最初は付き合いで観に行っただけでした。
初見の印象は、「映像と音ヤバすぎ、特にレースシーン激アツ」「タキオン何言ってんのかよくわかんねー」「フジさんとタキオンのラスト良かったね」でした。このとき評価をつけていたら星3.5くらい。
そんな映画の2回目を観に行ったのは、時間が経つにつれ「あの映像と音、もう一度浴びたいかもしれない」という思いが湧いてきたからです。
もっかい見たらタキオンの言ってること分かるかな〜という気持ちも無きにしもあらず。
そして2回目。1回目に見えなかったあらゆる部分が見えてきて、この作品の凄さをまざまざと見せつけられました。
レースシーンはもちろん迫力充分ですが、それ以上に暗喩や対比、モチーフの扱い方、史実と独自の展開を上手くミックスさせた脚本が素晴らしいです。
考察好きなので、わざわざフレームインさせてるもの全てに意味があるレベルで凝ってるこの映画は、何回見て咀嚼しても足りないくらいです。めちゃくちゃ面白い。
タキオンの言ってることもよく分かりました。タキオンが愛しくなりました。
ストーリーの大筋自体は正直よくある感じ、ザ王道なので、何も考えずに見ても普通にアツい物語として楽しめます。レースシーン激アツですし。
あと音楽がすごく好みでした。
主張はそこまで強くないですが、すごく心に入り込んでくる音楽で、初見のときは最初のフジさんのレースシーンの音楽に感動して泣きそうになったり、タキオンのレースシーンの音楽が狂気的すぎて、タキオンに不気味なイメージ持ったり、音楽にだいぶ心を揺さぶられました。
今まで一度も買ったことなかったサントラまで買いました。
劇中には音楽がない場面もあって、夏合宿の場面とか海の波音とクリスタルの音しかしなかったり、セミの声しか聞こえなかったり、雰囲気出てて良かったです。
競馬ファン的にグッとくるセリフが散りばめられていたのも刺さったポイントです。
当方も特定の競走馬を応援している身なので、ナベさんフジさんからポッケへ、そしてナベさんからフジさん、フジさんからナベさんに向けられた言葉の数々が、応援している馬と自分に重なり、うるっときてしまいました。
以前はウマ娘のことを見くびってましたが、恐れ入りました。
映画館でもうすぐ浴びれなくなるのが惜しいです。円盤出るなら買います。
映画を観てウマ娘が好きになりました
unextでシーズン1のみ鑑賞し今作を観た。アニメとは異なるスタッフの力量を感じる色使いとレースでの展開、精神と肉体が一体になり走りに繋がる表現力に感動。品川で観ましたが、レースのラストシーンでシートから重低音がゴーと迫力あり、アトラクションに乗っているみたいな体感でした。ウマ娘たちの集う『トレセン学園』に入ったポッケは、フジキセキを育てたタナベトレーナーのもと、一生に一度しか挑戦を許されないクラシック三冠レースに挑む。
待ち受けていたのは、ポッケをもしのぐ実力をもつ同世代のライバルたち。ファイナルではお互いを認め、必要とする美しい情熱。
ウマ娘の魅力は、ダークな部分が無く、純粋な想いを描き、楽しい、嬉しい、悔しい、日本人の心を表現しているところだと思う。幼い子供から高齢者まで楽しめると思う。
土曜、朝イチに鑑賞したが、お客様がエンディングで振り付けをまねしていたり、熱いファンやウマ娘を愛する雰囲気が良いと感じた。
ずーと続いて欲しい。
競走馬を擬人化したゲームとそのメディアミックスとしてのアニメーション映画
ゲームより先に放映されたアニメの1,2期は評判が良かった。2期は、私もよく知っている競走馬が多くて、やはり、多少の違和感というか、現実として知っている競走馬が脳裏にちらついてしまうのは仕方なかった。同世代の人よりはアニメ等のオタクコンテンツに触れてきている分、擬人化アニメ作品なども抵抗も少ない方ではあるのだが。
アニメ3期は評判が芳しくなく、それを受けての劇場版。本作の2001年のダービーを争った世代には、あまり思い入れもないし、前評判としてもそれほど盛り上がってもおらず、見るかどうか正直悩んだが、休日に特に予定もなかったので、物は試しに、と観てみた。
映像の印象はテレビアニメと違って、その場所の空気感というか、温度や湿度が感じられるような雰囲気がまずよかった。湿気の多い夏の雰囲気とか、私の好みの映像だった。
レースシーンなどの表現は、臨場感がこれまでのウマ娘アニメ作品より増していて、劇場で見ないともったいない出来と言っていいだろう。
ストーリーは主役のジャングルポケットを中心にして、前半はライバルとなるアグネスタキオンとのレースでの挫折、後半はそれからの立ち直りに、新たな強敵としてのテイエムオペラオーとのレースが主体になる。いわゆる、スポ根もののノリと、ストーリーだ。
個人的には、マンハッタンカフェが勝利した菊花賞のレースも、もう少し尺をとって見せてもらいたかった。前半のアグネスタキオンとの勝負が、一種異様な雰囲気を醸し出していて、後半のオペラオーとのレースはそれを超えるほどではなかったように思うので、後半はやや尻すぼみな印象をもった。
最後に、ライブを行って終わったところは、ああ、そういえば、こういうコンテンツだったな、と我に返ったようなところもあった。ウマ娘というコンテンツに触れてこなかった人には、このシーンが異様というか、唐突に感じる人が多いようだ。インド映画の様、というのは言いえて妙か。
上映館の多さなどから、興行的には期待されていたようだが、それに見合うほどの成績ではないものの、馬を美少女に擬人化したゲームコンテンツのアニメ映画作品、という、興味のない人からは敬遠されるだろうタイトルとしては、そこそこヒットしたように思う。ネット上ではやたらとネガティブキャンペーンを張っている人も多いようだが、課金のあるアプリゲームに、元は馬券という金のかかった競馬の競走馬の擬人化という、金が絡んだネガティブ要素も持っている故に、非難を受けがちなのかもしれない。
最初の期待値が低かったので、想像以上に楽しめた映画だった。人に勧められるかと言えば、少々微妙でもあるが、”ウマ娘”という存在を受け入れられるか否かで評価は変わるだろう。
王道のスポ根物
ウマ娘をプレイしている身なので多少の補正はあるかと思うが、出来は良いと評価していいと思う。
作画は終始綺麗で、演出もゾーンの描写やレースが多めのキャピキャピした萌えアニメ然とした、何にもならないくだらない描写はほとんどなかった
シナリオとしてはちょっと時間が足りないのか、他のライバルの掘り下げが物足りないかなという感じ(マンハッタンカフェの扱いがあんまりなかった気がする)
スポ根ものとしてありがちなイップスの描写もよくこの時間の中でまとめたなぁと思う
映画一本でウマ娘の世界観を味わうにはちょうどいい作品
満足感は得られると思う
期待し過ぎたかも
公開日初日に観に行き、次の週も観に行って飽きました。1回目の時点であんまり面白く無いなと思いました。予告まではオペラオーがカッコ良くてすごくワクワクしていたので観た後はガッカリしました。脚本が悪いのか監督が悪いのかつまらない。新時代の扉はどの辺の事なんでしょう?
主役のジャングルポケットがあまり魅力を感じず、中盤から終盤までずっとウジウジとしていて何でこの娘を主役にしたのか疑問です。タキオンが引退したらいじけて、ダービーにで1着になったのにタキオンが居たらとか考えて今度はウジウジして、しまいには否定的な自分の幻影を作り出すし、そのネタはカフェだけでいいよ。夏合宿シーンも特に必要ない。ポッケはもっとダンツフレームやマンハッタンカフェだけでなく現役で走っているウマ娘と交流があったらいいのに全然そんなシーンはない。同室にナリタトップロードが居るのにちょっと並走しただけだし、ラストのジャパンカップで対決するオペラオーとも作中に繋がりが無いからただただ虚しい。
オペラオーの扱いも雑過ぎる。映画のグッズでポッケやタキオンらと同じ扱いなのに出番が少な過ぎる。オペラオーの出番も少ないからメイショウドトウも全然登場しない。オペラオーのレースも最初と最後だけで覇王を感じられ無い。序盤のレースシーンも作画が凄いだけでレース自体は他と変わらず、負けたライバル達もモブ扱いで盛り上がりに欠ける。
3人のモブウマ娘も物語に居なくてもいいほどなのにしゃべり過ぎ。
OPの曲もRTTTに比べたらイマイチと感じました。
パンフレットも最悪。何で芸人のコメントが載ってんだよ。
諸手を挙げて喜ぶ程かと言うと…
アプリやTV1〜3,RTTTと見てきて、初回の映画特典を読んで感じたのが、
「これ、映画でやるほどか?やってこのキャラの使い方なのか」
というところ。デザインや演出は申し分無いものだったと思う、素晴らしかった。ただ、ストーリーやキャラクターの使い方としてどうだろう。腑に落ちなった所が何点かある。
確かに、主人公であるジャンポケとタキオン、またフジキセキやトレーナーの関係性も良くできており、言い方はアレだが所謂「最強を目指し、時に挫折し周囲に激励され立ち直り勝利し、ライバルをも立ち直す」という「王道」だ。別に王道が悪いと言うわけではない。タキオンの「自分が」で無ければ意味がないという気づきから、走り出すシーンは感動した。
ならばどこが、腑に落ちなかったか。
まずは挫折という部分だ。そう、落ち込みへの展開が軽いと感じたのだ。上映中、主人公が挫折していたのはおよそ何分だっただろうか。上映時間の中での割合としてはとても少ないのだ。挫折し苦悩する姿は確かに苦しい。だが、そこで主人公の苦悩に共感できなければ、その後の復帰の感動が薄くなる。だというのにハイライトのように負けたレースは過ぎ去る。その苦悩中の期間が長く続くはずであるのに、それに対する周囲のフォローという描写もない。隠し通すにも限度がある、周囲の人間関係が希薄と捉えられてもおかしくない。だからこそ、フジキセキがジャンポケを立ち直らせるシーンが「まあそう出てきますよね」位の感動で私は終わってしまった。もっと挫折の展開が深ければフジキセキの勝負服での登場は「待ってました!」と思えたはずだ。
次点、予告編で登場したキャラクター、マンハッタンカフェの存在感だ。
予告編で散々と登場したカフェの存在感は凄まじかった。だが鑑賞後は違和感であった。はっきり言ってしまおう、「いる意味があったのか」だ、申し訳ないがあれではモブだ。そこも使い方としてガッカリとさせられた。菊花賞でさえ前段の「挫折中のジャンポケのワンシーン」として終えられてしまった。一体、ストーリーに対してどれだけ関係していたのか。予告編に登場させるほどであったのか、微妙な心にさせられてしまった。
3点目は、トレーナーとの関係性だ。
今までのトレーナーとウマ娘の関係は、二人三脚と言った強い絆があるイメージを持っていた。今回の映画においては、フジキセキに憧れてトレーナーについた訳だが、ナベさんなりにジャンポケを気にかけている描写があるのだが、ジャンポケからのナベさんへの描写が薄く感じられた。最後まで「フジキセキのトレーナー」である感じがしてしまったのだ。もっとナベさんと絡んでも良かったと思う。そう言った意味で前段の挫折の描写が不足していると感じるのだ。
そして、最後は初回特典の存在だ。初回の鑑賞後、アドマイヤベガ視点のRTTT後日談を読んだ。ただ、感想としては「え、RTTTとここまでやって映画の登場はアレなの?」だ。ここがとてもガッカリさせられた。
ただでさえ鑑賞時、「まあ本編じゃないし、ワンシーンだけの登場になるけど、これじゃタダのヤベーウマ娘やん」とまで感じたのだが、初回特典を読んだ後は、そうですらなくなった。
特典として出しておいて「ふわふわ」だけとはいかがなものかと思ってしまった。せめて、ナリタトップロードがジャンポケに併走する前、トプロとアヤベが並走していて、「あなたはどうぞ」とアヤベが去っていく程度のシーンがあった方が、あの特典が何倍も面白くなるはずだ。
まあそれはそうと浴衣アヤベありがとうございますそこだけで生きていけます。見たすぎて8回も見たぞ。こんなん初めてや。みんな絶対見ろよ。動くアヤベの浴衣やぞ。絶対見ろよ。
ここまでダラダラと書いたが、別に「つまらなかった」訳ではないのだ。爽快な部分や熱い部分もある。ただ、やはり王道な話であるならば、きちんと掘り起こしてほしい部分が私にはあり、この位もしくは掘り起こしてTV4期として放送しても良かったのでは?と感じられたというだけだ。
繰り返すが、評価とかいいから動く浴衣のアヤベを観に行くんだ、いいね?
映像が良かったのになぜ星3.5にしたのか
煽り構文で感情的に、過激に、低評価の感想や多方面を誹謗中傷している方のレビューが散見されて、
「なんだかなぁ」と思ったので、可能な限り理性的にレビューをいたします。
最初に言わせていただきたい。
別に低評価のレビューは騙そうしているわけではないし、
必ずしも「低評価レビュアー=読解力のない人間」でもない。
自分の好きな作品を少しでも悪く言うやつは全員間違い! 敵! と、
他者を攻撃するようなあまりに過激な発言は、
却ってこの作品の品位を著しく損なうので勘弁していただきたいです。
好きなら、ただ好きって書けばいいんです。ここは煽りあい上等の掲示板ではないのです。
映画の感想を共有する場なのです。
初めに自分の立場を明確にすると、現役のプレイヤーで、アニメ1、2期、RTTT視聴済みです。ウマ娘、大好きです!(3期だけまだ見れてなくてすみません…)
その前提のもとでこの映画の一言の感想を書くと、
「映像作品としては面白かったけど、脚本はイマイチだったよね」です。
映像は文句なく100点だと思います。背景の美しさ、レース中のカメラワークなど。程度を超えたギャグ演出は個人的には微妙でしたが、全体を通して、アニメ映画の中でもトップレベルだと思います。
新海誠や宮崎駿の作るような「世界の美しさ」を映像として描いた、素晴らしい作品だったと思います。
その上で、なぜ高評価とは言い難い評価なのか。これは前述のとおり、脚本が40点くらいしかないからです。
そしてその最たる理由は、
「レースシーンなどの山場が多すぎて、どのシーンが視聴者にとって大事なのかが非常に分かりにくい」
これです。ちなみにこれは、
「史実をもとにしているのでお話が作りにくい」
「映画だから尺が限られている」
「ソシャゲが元で色々なウマを出さなければならない」
など、映画製作においてウマ娘が不利な点に目を瞑ったうえでの話となります。
起承転結でも序破急でもどちらでもよいですが、映画には構成があります。
そしてそれは、「映像のメリハリ」という点でも同様です。
そういった視点でみたときに、この映画を両手放しで褒められるかというと、私は難しいと思います。何故か。
皐月賞、日本ダービー、ジャパンカップ。
どのレースも、個々に見れば圧巻です。最高です。
手に汗握るレースシーン、ド派手なカメラワーク、気迫迫るウマ娘たちの形相。
そう、どのシーンも「良すぎた」。これが脚本最大の失敗です。
どのレースも凄すぎたせいで、映画全体で映像にメリハリがなかった。だから、どのレースの印象も希薄になります。
どのレースがよかった? という質問に、
「日本ダービーだよね。」
「私は皐月賞だった。」
「俺は日本ダービーのジャンポケが印象的過ぎた。」
なんて、間違ってもなってはいけないんです。
お話のクライマックスは絶対に日本ダービーで、一番の盛り上がりはここで、そこに向かって盛り上がっていかなくてはいけない。同じような山場が複数あっては、絶対にならないんです。
ジャンポケが自分の幻影を打ち破った程度では、映像単体で見ても、他のレースに全然勝てていないんです。(なんなら皐月賞のほうがよっぽどド派手で印象的なシーンだった)
ちなみに今はレースの話をしましたが、お話もそうです。
タキオンの引退シーンとジャンポケの最後の幻影を破るシーンが同じような気合の入れ方(おそらくどちらも全力)で描かれているので、どっちも大事なんだと思うのですが、ジャンポケの最後のシーンが霞んでしまっています。
分かりやすく、名探偵コナンの映画で例を出します。
コナンの映画では、序盤で事件が起こり、小さないざこざやアクシデントを経て、最後に序盤の事件を解決します。
それが、序盤中盤終盤で、それぞれ同じくらいの事件が発生し解決していたらどうでしょうか。
とてもじゃないですが、両手放しで面白い作品だとは言えないと思います。
この映画は、残念ながらそういった構成になってしまっています。
レースシーンは見ごたえがあり面白いです、ですが同じようなレースのシーンを3度も4度も見せられたら、飽きるし疲れます。
それはお前だけと批判されてもかまいませんが、少なくとも面白いとされる映画はそういった構成にはなっていません。
事実、この映画は公開から24日で10億と好成績を収めていますが、IPや映像のクオリティの高さから考えると少なすぎます。もちろん説明不足やキャラクターの扱いの雑さもあるかとは思いますが、それにしても少なすぎるんです。この映像のクオリティなら、もっと売れていていい。
こういったわかりやすい理由から、私は星3.5を押しました。
脚本周りが怪しかったので、次の映像化の際には、この点が克服された作品だと嬉しいです。
(長文注意)2回観に行きましたが、期待外れでさめました。
TVアニメ1期でファンになり、それがきっかけで競馬の現地観戦も嗜むようになり、先日に欧州アイルランドを旅行してそこでのGⅢ競走も観に行くほどに至ります。
アニメ版は全て一周はしています。
私個人としましては、残念ながら全体として及第点ではないと感じられました。
「ウマ娘シリーズ初の劇場版作品」として物足りない箇所が多く、悪い意味で既存の一部ファン向けになってしまっておりました。
・説明不足が過ぎる。
本作品では、ウマ娘達によるレース、その学生リーグであるトゥインクルシリーズ、養成機関のトレセン学園の他、レースの上位入着選手によるウイニングライブの存在、そして彼女達の指導者であるトレーナー職について丁寧な説明が皆無でした。
劇場版である本作品は元々一定の視聴者層に限定したOVAや配信アニメではありませんし、地上波の民放でも大体的にCMを流しておいてこれでは新規ファン開拓の機能が果たしません。
作中で登場するレースについても、ただでっかく会場やコース距離などのテキストを出すのはお粗末です。
特に日本ダービーとジャパンカップは、実際の競馬競走として我が国でも格式の高い歴史ある存在です。
コースの形態や試合展開の傾向についても簡潔な概要でもいいので、トレーナー職やスタート前の実況に説明をさせるべきでした。
TVアニメ版で共に東条ハナトレーナーが率いるチームリギル所属であったフジキセキとテイエムオペラオーが本作品ではそうではなかったため、これまでのアニメ版とは異なるパラレルワールドの話である事が観に行ってから確実に判明しました。
フジの担当だというタナベトレーナーの存在が公式メディアに発表された時点でなんとなく「そうだろうな」とは思ってはいましたが、開発とリリースが難航していたアプリ版に先駆けて放送されたTVアニメ版第1期は全体として高評価を受けてアプリ版ユーザーとなるファン獲得に大貢献したとされており、そのオールドファンへの配慮として公開前の案内で大体的に説明して欲しかったです。
これまでのアニメ版ではトレーナーの執務室やチームの部室は校内にあり、練習場も校内にきちんと整備されたものを使用しています。
本作品でタナベTの執務室兼チームの部室がなぜ多摩川の河川敷にある木造のボロ小屋で、なぜか河川敷の草むらに設けられた練習コースもなぜよく使っているのかについてもスルーされていました。
本作でも駿川たづな役の方によるナレーションが序盤のみにありましたが、その内容は作中世界での神話の一つのようなものでふわふわしたものです。
その後もたづな役としての出演はありませんでしたので、どうせなら
「この世界には「ウマ娘」と呼ばれる女性の人達がいます」
↓
「その人達の身体能力に特化した芝やダートコースのレースがあり、「トゥインクルシリーズ」という中高生リーグがあります」
↓
「トゥインクルシリーズではレースだけでなく、ウイニングライブも重視されます」
↓
「そんなウマ娘達を指導するトレーナーという職種があり、彼らの多くは親・兄・姉のような感情をもって、教え子と一緒にレース活動に臨んでいます」
↓
「東京都府中市にはこの学生リーグの選手養成期間である通称トレセン学園があり、今日も生徒とトレーナー達が切磋琢磨をしております」
……というような語りでの導入部があって良かったと考えます。
中盤の集団夏合宿につきましては、実際の国内競馬事情に合わせて芝のGⅠレースのない時期に行われている、という設定の描写がなく、他の方のレビューで「ウマ娘を知らない同行の友人が「唐突に始まってついていけなかった」」などの意見も見受けられました。
・主要キャラの掘り下げが浅いorない。
アプリゲーム版で育成未実装であったジャングルポケットを主役をするのであれば、彼女のパーソナリティの根幹となる幼少期や家庭の話などのバックグラウンドに触れるべきでした。
なぜTVアニメと配信版のRTTTでもやってきた流れを踏襲しなかったのかが疑問です。
またポッケがお守りのように持っていた水晶のようなアイテムについて一歳触れられなかったのは、創作全般としても論外です。
今作でポッケと共にメインキャラとしてパンフ絵などに描かれたアグネスタキオン、マンハッタンカフェ、ダンツフレームについても物足りなませんでした。
ポッケの因縁の好敵手となったタキオンについてはある程度の出番や見せ場はありましたが、アプリ版で僅かながら言及されていた家庭環境やサイエンティスト気質については触れられていません。
カフェにつきましては、タキオンの皐月賞、ポッケのダービーと共に菊花賞でクラシック三冠を仲良く分け合った大功績者のはずなのに、本作で菊花賞の栄冠はあっけなくダイジェストとして流されたため何の余韻もございませんでした。
「おともだち」というイマジナリーフレンズ?の存在についてもスルーされており、ポッケとは決して仲違いはしていないが特に友情を思わせるようなやり取りもありません。
ダンツに至ってはアプリで育成未実装のためポッケと同じく丁寧に紹介されるべきであったのに、結局ウマ娘としてどのようなパーソナリティとアビリティの子なのかがわからずじまいでした。
・フジキセキの扱い方のズレ。
フォーカスがされた内容の時間と内容の密度的にも、本作品の事実上の準主人公はフジです。
パンフ絵でも最後のライブシーンでもポッケの隣にいるべき立ち位置でした。
私個人としてもフジはお気に入りのウマ娘の一人であるので、本作品である程度以上の尺が割り当てられた事自体は良かったです。
ですが、TVアニメ版やアプリ版とは異なるパラレルワールドかつモデル馬の史実準拠とはいえ、大怪我でクラシック路線を離脱した事にはやるせない気持ちでいっぱいでした。
幸いにも引退まではしていなかった事と戦力自体は失っていなかった事が救いではありました。
フジは公式設定で有名舞台女優の母を持つ元子役であるので、他のウマ娘達と比べてもエンターテイナーとしての意識が人一倍高く、よく手品を披露するのもその現れです。
また学生寮の一つである栗東寮の監督生たる寮長も務めており、世話好きで特に下級生からの人望も厚いです。
これまでのアニメ版では上記の要素が描写されており、本作品でも上手く反映させて学園生活自体は問題なく送っている事を強調して欲しかったです。
また人知れずにリハビリに取り組んだり、小さなレースには出走していたりする様子などに触れる描写があっても良かったと考えます。
・引き立て役にされた実装ウマ娘へのケアの無さ
本作品ではポッケのモデル馬のキャリアに合わせて、ナリタトップロードやメイショウドトウ、そしてテイエムオペラオーなどの育成実装ウマ娘が対戦相手として登場しました。
ですがレース後に前向きにリベンジを誓う様子やそれぞれのトレーナーからの労いを受ける場面はありませんでした。
特にオペラオーに関しては、モデル馬のキャリアとしては自分の時代の引導を渡された敗北ともされているほどなので、アニメ版でのハナに代わるトレーナーを登場させて心のケアをしてあげて欲しかったです。
・ストーリーのテンポが悪い
特にダービーからジャパンCまでの夏合宿を中心とした期間についてが非常に停滞しており、「チケット代返せ」と言いたくなるようなレベルでした。
大目標であったあのダービーを優勝したにもかかわらず、タナベTの心のケアも結果として無駄になってしまったとも言えるようなポッケの独りよがりな葛藤をダラダラと見せつけられるのは苦痛でした。
代替案のアイデアを出せるのであれば、育成未実装のダンツやクラシック三冠の最終戦である菊花賞を制するカフェのバックグラウンドにフォーカスをし、ジャパンCを控えるポッケにとっては前向きな「気づき」のための時間に充てた方が良かったのではないでしょうか。
・トレーナーの存在意義。
ウマ娘の活躍はトレーナーの適切なサポート無くしては成立しません。
そしてプレーヤーがトレーナーとなって担当ウマ娘と二人三脚でトゥインクルシリーズに挑戦し、モデル馬が成し得なかった記録も達成する事ができるのも、このシリーズで中核となるアプリゲーム版の醍醐味です。
そしてこれまでのアニメ版でも沖野Tや沖田トレーナーなどオリジナルのトレーナー達が登場し、地道なレースや対戦相手の分析、時には風変わりなトレーニングメニューの編成、そして教え子達への労いや心のケアなどが、丁寧に描かれています。
本作品のタナベTは、大ベテランだからこその重みのある言葉でポッケ達と接していたのは非常に良かったです。
しかしながら、作中での役回りは傷心の主人公を労る父親や祖父のような印象にとどまり、沖野Tや沖田Tのような具体的なトレーニング指導等は描かれませんでした。
何故カタカナ表記なのか?、トレーナとして今までどのような成績を残しているのか?、そして過去の回想シーンに登場した彼の師匠と思われる人物は一体何者なのか?
とにかく謎が謎のままで終わってスッキリしませんでした。
また先述に触れたオペラオー達のトレーナーだけでなく、タキオンやカフェ、ダンツ達のトレーナーも出して欲しかったです。
特にタキオンに関しては、これまでのシリーズ作品とは異なって自己中心的で不遜な言動が非常に目立っており、ポッケやカフェ達に愛想を尽かされた直後に研究室の外から聞こえてきたモブのトレーナーとその教え子達のやりとりを茫然としながら聴いていたかのような姿には、ただただやるせなさを感じられました。
問題のある態度を注意したり、故障後の本人の意思を尊重しながら見守ったり、復帰の決意を後押しをしたりするような指導者がいても良かったと思います。
またカフェとダンツについては、中盤以降ポッケ達と共にタナベTの指導を受けていたので、同じチームなのかどうかをはっきりとさせるべきでした。
・なおざりにされたウイニングライブ。
ウイニングライブはウマ娘コンテンツにおいてレースと同等の重要要素です。
アプリゲーム版でも、その存在意義について取り上げた育成シナリオが実装されています。
コンパクトにまとめてでも、TVアニメ版のようにその華やかさや練習風景も丁寧に言及して欲しかったです。
・作画崩壊。
TVアニメ版までの表情の温かみと安定感のある作画が好きなので、ポッケのアメーバー化や、8、90年代のギャグ漫画のような変顔、レース中の目ん玉が飛び出るのではないかレベルのエッジの効き過ぎた作画は自分の肌には合いませんでした。
・音楽編成のズレ。
OPにはフェンではない一般層にも比較的知られている『うまぴょい伝説』を、EDに今作の主題歌を充てて締めるべきでした。
うまぴょい伝説は良くも悪くも結局は「電波ソング」で、今作では出番の少なかったウマ娘役の方々も集めた大合唱型式でした。
2時間近くも拘束されてのこのエンディングでさらに興ざめになりました。
・キャラクター作品としての物足りなさ。
ウマ娘シリーズは、とにかく多くのウマ娘を実装してそれぞれのファンを獲得しているスタイルです。
最初のアニメから6年、アプリ版リリースからは3年も経ちますので、少なくとも本作品の制作時点で実装されたウマ娘を全員何かしらの形で登場させるご配慮ぐらいはあっても良かったと思います。
セリフについても、もちろん声優さん方のご事情で新規収録ができなかったにしても、可能であればこれまでの作品の録音音声での参加という方法もあったのではないでしょうか。
また背景が暗幕のままであったEDロールで、これまでに実装されたウマ娘の姿と名前をワンシーンでもいいので全員分載せて流した方が良かったです。
そもそも論になってしまうのですが、TVアニメ版のように特定の一陣営のみを中心とするのではなく、第1期のOVA『BNW』とRTTTのように複数の陣営にも焦点を当ててサブのキャラクターも多く出しやすい群像劇にした方が、多くのファンの印象も良かったと思います。
以上です。
好きなものは好きと言っていい
低評価の理由が自分の好きなキャラが活躍していない、元ウマ娘アプリ民で重課金圧により反転アンチに回った、3期が酷い、ブルアカ民だからサイゲが嫌い、だとするならそれは見当違いも甚だしい。
私はカヤが好きなブルアカ民だし、3期はネット競馬かウィキペディアの表層だけなぞって物語としての体を成してないじゃんとか、アプリはお前オルフェのキャラクリ変えるんかい、それで阪神大賞典どうする気なんだよとか中立の立場にある。
それはそれとしてそれが理由でこの映画を批判しているのであればそれはあなた自身の読解力の欠如であり、あなたがオタクの悪いところ、斜に構えるというクソみたいなネット民の性質を継承しているとしか思えない。いい加減周りの評価が良いからいい、周りの評判が悪いから悪いという評価方法はやめろ。言ってやるがアニメも1期は良かったと思うが2期もあれ史実のトウカイテイオーが良いだけでアニメとしては良くなかっただろ(個人の感想です)
話を本筋に戻したい。これはジャングルポケットの物語であって、あの01年世代の話ではない。もし世代の話だとすればタキオン→ジャングルポケット→マンハッタンカフェで継承する話になるだろう。あの世代の代表は意見が分かれるが重賞の勝利数などからしてマンハッタンカフェに軍配が上がるだろうから。最後の有馬で覇王に引導を渡す、それで完結だ。
だがそれはそれである。繰り返すがこれはジャングルポケットの物語である。たしかにマンハッタンカフェの話が薄かったのはわかるが仕方がないとしか言いようがない。小倉唯は好きだがそれとこれとは話は違うのである。
また結構この映画は難しかった、それは思う。とはいえそれは情景描写、本来の意味での伏線と回収という映画を楽しむにはある程度鑑賞する側にも教養が必要であるという程度である。上から目線で啓蒙する映画には辟易とするが別にこの映画がそうだとは思えない。すべてをセリフにして説明する今のアニメ美少女動物園しか理解できないのであればそれは見る側が悪い。(露悪的に書いている。不快に思われたのであれば申し訳ない)
この映画は尺不足だと言われることもあるが、逆に言えばこの映画は全てにこだわりがあって作られているように思えた。光の描写による、心理描写の模写、サンキャッチャーを適宜出すことによる心理描写の具現と変化のわかりやすさ、フジキセキ、タキオンと描写をリフレインすることでこれが変えられない運命であること、しかしそれは走りたいというウマ娘の衝動を抑えきれるものではないということ、だからこそジャパンカップで運命を打ち砕こうとするカタルシスが生じるのではないだろうか。
それら全てが合わさって物語を補完している。
いいところは既に誰かが語っている。私は反証に留める。
初夏に見るアニメ、夏を感じさせる非常に良いアニメ映画だった。本当に良かった。
絶対劇場で見た方がいい傑作
これまで漫画やアニメ等でも展開していたアプリゲーム作品であるウマ娘プリティダービーが、初めて映画作品として世に出した本作
出来栄えとしてはアニメ映画として十二分に出来の良い傑作でした。
※以下内容紹介(少しネタバレあり)
主人公のジャングルポケットというウマ娘(モデルは2001年に活躍した競走馬ジャングルポケット号、以後ウマ娘にはモデルの競走馬がいる)が競走場で出会ったウマ娘フジキセキの走りに魅了され、ウマ娘を育成する「トレセン学園」に入学し最強のウマ娘を目指す。
その中で出会う同期の仲間たち(ダンツフレームやマンハッタンカフェ)、ジャングルポケットを上回る速さで幾度となく彼女を打ち負かすライバルのアグネスタキオンとの出会いや勝負の中で、壁にぶつかり悩んだりしながらも、周囲の励ましや自分自身の努力で克服して行き、最強のウマ娘の座をかけて当時最強だった「世紀末覇王」テイエムオペラオーに挑む
...という、ストーリーとしては王道的なスポ根ものの内容となっていて、ウマ娘を知らない、ゲームも何もしたことがない人でも物語内で「ウマ娘とはどんな存在なのか?」とかちゃんと説明しているので、ウマ娘初見の方でも楽しめるようになっています
元々ウマ娘はテレビアニメやYouTubeで何作か出ていますが、今作はテレビシリーズではなくYouTubeで無料配信されている
「ウマ娘プリティダービーRoad to the Top」全4話
(以下rtttと略)
の続編となっていて、映画でも出てきたナリタトップロードや前述したテイエムオペラオー達が中心となって話が進んでいく作品です
こちらは無料で配信されてるので、映画を見る前でも見た後でも、未見であるのなら是非ご覧になってください。
映画が更に面白くなります
新時代の扉は予備知識がない方でも楽しめる王道スポ根アニメとしてできていると思います。
そういうのが好きな方は是非見ることをオススメします
良作だと思うが、自分には合わなかった
なにやら賛々否両論という割合でいろいろ投稿されているようで、辛辣なレビューも多く、他者レビューに対して攻撃的なレビューが出てくる始末。そういったものも、いくつか楽しく拝見させていただいている。
私の感想はタイトルの通りなので是非とも私の粗悪な感性をご指摘していただきたいのだが、どうやってもコメントが有効化できない…。チェックを入れてもコメント無効設定になってしまうためこのまま投稿させていただく。本当に申し訳ない。
結論から申し上げると、個人的には良いところ7割、気になるところ3割くらいの良作だったなという印象。
良いところはファンの諸君らが他レビューにて熱く語ってくれているのでそちらを拝見されたし。一度しか観ていない私よりも鮮明かつ詳細に語られているので一読の余地ありだ。
なので個人的に気になったポイントを。
まず、非常に申し訳ないが、藤本女史の芝居の拙さだ。一部はとても素晴らしく、殆どの箇所は良いと思うが、一部においては確実に至っていなかった。脇役ならいざ知らず、主演であのようなお芝居がちらつくと気が散ってしまう。他の主演級の方々のお芝居にそういった点があまり見られなかったので、彼女だけ特に気になってしまった。どんなに良い構成・演出の映画であっても主演がこれでは満点はつけられない。良くて4.7だ。
次に、演出がやりたいことに対して、劇中での理由付けが曖昧な点だ。よく槍玉に挙げられるクリスタル?のようなもの。あのアイテムが心情を補完してくれていることはよくわかる。ジャングルポケットに至っては導入から中盤、終盤に至るまでこれでもかと見せてくれる。
その上で私が気になっているのは、なぜジャングルポケットとアグネスタキオンの2人が持っているのか、だ。私の推論から申し上げると、「ジャングルポケットとアグネスタキオンの2人が主人公で、それを暗喩するために持たせた」というストーリー外の演出側の都合であり、ストーリー上ではこの2人だけが持っている理由はない気がした。
これがジャングルポケットしか持っていないのなら理解できる。序盤から持っており、フジキセキが写り込むなど幾度となく彼女の心情のメタファーとして登場しているからだ。なので途中まであのアイテムは「ジャングルポケットにとって渇望などの心情を表す大事なアイテム」だと思って鑑賞していた。しかしアグネスタキオンも同じものを持っていたら「なぜ同じものをこの二人だけ持っているのか」と疑問が湧いてしまう。ジャングルポケットが手渡したわけでもない、流行りのアイテムという描写もない。所持している者の心情を表すという役割は理解できるが、あのアイテムがなぜ2人の手元にだけあるのかはついぞ語られることはない。あの二人の視点ではどういうアイテムなのかと掘り下げ始めると、演出側が主人公だから2人に持たせた、以上の理由が見当たらないのだ。そうなるとあのアイテムは「劇中のジャングルポケットにとって大事なアイテム」から「演出側が心情を表すメタファーとして主人公らにわざわざ持たせたアイテム」に成り下がってしまう。お話を楽しんでいるとそこが非常に気になった。
私個人の趣向であれば、ありていに言ってしまえば、タキオンにあのアイテムは必要ない。無くてもお話は通じるからだ。映画を通して鑑賞していればアグネスタキオンも主人公であることは問題なく読み取れるし、それまでのシーンで様々な悩みや葛藤があるのは容易にくみ取ることできる。だが演出側は、それでもあのアイテムをアグネスタキオンにとっても心情描写のアイテムとして持たせたかったし、彼女も主人公であると念入りに示したかったのだろう。加えて、きらきらと反射して雑多な部屋に光が差し込む絵、その後陽が当たらないようにカーテンを閉める絵をどうしても作りたく、そのために所持させたのだ。そのせいで、なぜアグネスタキオンも持っているか、その理由付けに劇中無理が出てきていると感じた。(実はアイテムは一つしかなく、ジャングルポケットが渡していた描写があったのであれば、大変申し訳ない、ただただ私が見逃していただけである。)
他にも、皐月賞後のアグネスタキオンの電車のシーン、こちらも同様に不要だ。あれだけ無理をしたという描写をして、足を気にする素振りのあとにレース場から去ろうとするのだから、すぐに引退の描写に入ってもなんら問題はない。逆にあのオシャレな描写を挟むことで「大きなレースと説明されていたG1開催日の電車が無人?」とか「勝負服着たまま帰るんだ」とか、余計なノイズが入り気になってしまう。もちろん理由はつけられるが、無駄に気になる。
そういった「やりたい演出に対してストーリー上の根拠が曖昧」なものが見られたように感じてしまった。
あとは、表現が重複している箇所も多かった印象だ。上記の2シーンもさることながら、スランプの表現をしながらクリスタルに傷が入っているシーンも被せるのは、同じ表現をしているので片方は無くても実際問題ない。この映画はウマ娘たちが表情豊かに表現されているので、十分読み取ることができるはずだ。
むしろここまでくどく描写されるということは、我々鑑賞側が演出側から信頼されていない証左なのかもしれない。君らでは1つじゃわからないでしょ、と。なんならオシャレ演出いれとけば「エモい!」とはしゃいでくれるとすら思われているのかもしれない。若干悔しい。
しかしその割には1シーンだけ説明されただけで、裏付けとして実感の薄い展開もあった気もする。強さや優しさ、抱擁さや不屈さなどはシーンをまたいで何度も描写することで厚みが増し、我々の実感として刷り込まれるので、そういった情報はシーンをまたいで何度も伝えてほしい。しかし私の印象としては、1シーンに1つでいいところが直後に重複しており、シーンを跨いで重ねてほしいところが1シーンしかなかったので、ちぐはぐさを感じたのかもしれない。
とはいえやはり100分では難しいのだろう。情報を詰め込み、感傷に浸らせる時間も確保するためには、ある程度の鑑賞側への信頼は不可欠だ。……やはり悔しい。そういった尺の都合で念入りに描写できなかったシーンもあったのだろうから、思い切って我々を信頼していただくか、いっそOVAなどの方がそういった無理はなかったかもしれない。なんとも難儀な話である。
以上が気になったポイントだ。
ここまで語っておいてなんだが、総じて楽しかったし、ポップコーン片手に観ることの出来る最高の映画だと言えるだろう。ファンなら観に行ってなんら問題ない。是非劇場でご鑑賞いただきたい。そしてここにレビューをしていただけると盛り上がってなお嬉しい。
余談だが、感じ方は人それぞれなので、自身と異なる感想をいただいた他人を攻撃するのはナンセンスだ。好きなものは好きと言ってよいし、微妙だと感じたならそれでよいと思う。数多の感性を否定するべきではない。低評価レビューに対してお気持ち表明している高評価レビュアー諸君は、マウントを取りにかからず、この映画が素敵な作品でありウマ娘は魅力的なコンテンツであると伝える活動の方にいそしんで欲しいと強く願う。
以上。
絶対に映画館で観たほうがいい作品!!!
今年になってから公開されたアニメ映画いくつか観ていますが、一番好きです。見終わった後、素直に「良い映画を観た」とちょっと脱力しながら思い、またすぐに見たくなってしまいました。(6回見ました)
ちなみに、ウマ娘は1期2期RTTTと3期を途中まで見たアプリユーザーですが、今回の映画でメインとなるジャングルポケット世代の競走成績等はまるで知らなかったです。(アプリも育成キャラはタキオンしか持っていない)そのため最後までレース結果はドキドキして観れました。中盤のポッケが落ち込んでる期間のシーンが少し雰囲気が重く、何度か繰り返し観るともう少し短くていいのでは?とか、カフェのお友達って?と気になる点も少しありますが、初見時は終始飽きずにドキドキハラハラわくわくしながら見れて感情が忙しかったです。
なにより映画館で観る意味のある作品で嬉しいです。音が贅沢。テレビシリーズとは比べ物にならないくらい、蹄鉄の音も風を切る音も走る地響きも吸い込む息の音も、リッチな体験ができました。音響の整った劇場でこそ真価を発揮するタイプの映画なので、円盤化や配信をまったりせず、絶対に映画館で観てほしいです。
以下、好きなシーンです。
・冒頭のフジキセキの弥生賞。ここから既に「この映画好きだ」と直感し、気付いたら泣きながら、笑顔で走るフジキセキに魅入られていました。ポッケと観客がリンクする、美しく素敵なレースシーンになっていたと思います。G2なので勝負服ではないのですが、最後にお辞儀をするフジキセキの所作すべてが美しく好きです。
・伝説の有馬記念、「テイエムは来ないのか!」の実況からゴールし手を突き上げるまでのテイエムオペラオー。かっこよすぎます。プリティーダービーであることを忘れます。ふだんおっとりしているドトウちゃんが、必死な顔で競り合ってるのも本当にかっこよくて、何度観ても手に汗握るシーンになっています。オペラオーが好きで良かった。
・皐月賞の、同期を絶望に叩き落とすほどのタキオンの圧倒的な速さ。加速の際のスキル発動したような演出。ゴールする瞬間の満足そうな笑顔。疾走感の描き方と、同時にどこか不穏な雰囲気。すべてが良かったです。ふつう、セオリーなら修行後の再戦は勝つと思うんですけど、更に突き放す実力を見せつけるのがたまらなく良いですね、史実をうまくストーリーに昇華している。3回目くらいでポッケが3着なことに初めて気付くくらいタキオンに目を奪われました。
・日本ダービー!レースの迫力でいうとこことラストのJCとどっちも同じくらい描写演出が最高でした。ダンツちゃんの「勝ちたい!」が声から絵から音楽からすべてから伝わってきて、だからこそポッケとの一騎打ちが一際白熱したものになっていたと思います。2人ともかっこよくて興奮しながら観て、ゴールの瞬間が観客席のフジキセキ視点だったのも意外性があって良かったです。
・フジキセキとの早朝レースシーン。すべてが良かったです。フジキセキが大好きになりました。作中好きなシーンここに書ききれないくらいありますが、一番好きかもしれない。勝負服は元々知っていたので驚きはありませんでしたが、改めて見ると目のやり場に困るなとは思いました。
・JCの自分の幻影を打ち砕くジャングルポケット、ライバルたちを讃えるテイエムオペラオー、走りたいという自分の気持ちをようやく認めて走り出すアグネスタキオン……映画制作に携わったすべての方に感謝を述べたいです。こんなに素敵な映画を作ってくださってありがとうございます。
ファンだからこその虚しさ
映画のレビューをするのは初めてです。
ウマ娘には月に数万、コンスタントに課金しています。
3期は評判が恐ろしく観れていませんが、1期からRTTTまで視聴済み。
史実も好きでこの世代の映画化をとても楽しみにしていました。
まず、回想と場面転換が多すぎる。
あっちに行ったりこっちに行ったりするから、物語を観ている気分になれません。
とにかく詰め込んでるなという印象。
一人一人のキャラの掘り下げが浅い。
誰にも感情移入ができません。
とにかく中途半端だし、フォーカスが下手すぎる。
どう考えてもカフェの菊花賞もっと描写あっても良かっただろ…。
夏合宿省いても良かった。そんなことしてるならもっと別のところを掘り下げてくれ。
終わらせ方もなに、あそこでライブ入れるならあの4人で走らせてくれよ。
作画はいいんですよ。
まぁ、正直あんなに気合い入れた作画のレースを何回も見せられると、エフェクト入れすぎだろ、白飛びしすぎだろとは思いますけど、かっこよかったですよ。
だからこそストーリーとの乖離がすごい。
中身のない神作画のレースダイジェストを見せられた感じ?
残るものが何も無さすぎてショックでした。
あんなに楽しみにしていたのに。
ウマ娘、もっとできるよ。
もっと面白いよ。
お願いだから初見さんはテレビシリーズみて(3期は除いて)
劇場版観るくらいなら2期を見て欲しい。
ちゃんと学園要素もあるし丁寧だしスポコンだし。胸熱、泣けるし。
なんかもう、同行者が今後ウマ娘に触れることは無いんだろうなっていう虚しさよ。
共に見に行った人が面白いね、ゲーム触れようかな?アニメシリーズ観ようかな?となれる映画を観せてほしかった。
少なくともウマ娘って学園ものなんだ!?ってびっくりされるようなことあかんかったんよ。
全体的に初見には説明不足。史実知ってて原作プレイしてても、尺があるのはわかるけど詰め込みすぎて何が描きたいかわからないよーってなる。
ジャンポケとタキオンの関係性で泣けないの終わってるでしょ。
あとこれは個人的な感想なのですが、ジャンポケの演技に違和感がある。
棒読みに近く感じてしまう。
雄叫びだけじゃなくて、どちらかと言うと通常の会話の発音が聞きにくい。
主人公だから他のメンツとの演技差が悪い意味で目立ってしまった。
声優さんには頑張って欲しい。
あと、テイエムオペラオー推しの方にはおすすめ出来ない。
予告で出演シーンの殆どが出尽くしています。
主要人物っぽく見えるけど全く出演シーンはありません。
強さの掘り下げも特になく、彼女のどこが最強なのかという描写がほぼないので最強が伝わりにくいです。
初見の方や史実に興味無い方には、最強の癖にポッケにすぐ負けてしまうという印象しか残らないのではと思います。
(案の定、同行者はオペラオーの印象が皆無でした)
オペラオー単独の予告編が出たので出番があることを期待しましたが、これならフジキセキの予告編を出した方が良かったんじゃない?と思います。
フジキセキの方が出番が100倍多い準主役のような立ち位置なので、なぜオペラオーの活躍を期待させるような予告編を出したのか謎でしかありません。
RTTTの続きで2000年の覇王無双観れると期待して行くとがっかりすること間違いなしなのでお気をつけて。
最後に、色んなキャラを見せたいのは分かります。
でも、今回の映画に置いてはノイズにしかならないんですよ。
電車のシーンであのキャラがいた、学園であれがいた、ここにあの子がいたとか多すぎる。
そんなところで視線誘導させないでくれ!
あのね、描くことを1本に絞ってください。まずは。
色んなところに分散しすぎている。
本当に悲しい出来だよ。なんでこうなっちゃったの?
マジでショックです。
重複しますが、ウマ娘はもっといいです。
もし劇場版で???となった初見さんがいらっしゃいましたら、どうかアニメシリーズを見てください。
ここでウマ娘を諦めないでください。
こう感じてしまう私の意見が少数派でありますように願っています。
素晴らしい
当時はまだ競馬やってなかったかな。
馬自体は後から知って、歴史は知ってる。
良いスポ根アニメですね。
レース知ってるから、結果は分かってるけどやっぱり熱いんだよね。
まぁ正直これまでのアニメで良いところはやってるから、若干物足りない感はあるんだけど、それでもレースは良い出来。
競馬知識なくても楽しめるのでは無いかしら。
自分が競馬やってた時期はそこまで熱い展開無かった気もするからアニメになるかは微妙だけど…
実際の競馬でも熱くはなれるんだけど、違う意味で何だよね。
競馬でこうも感情揺さぶられることになるとはねw
直線勝負
初めてみた。
そして、なぜかレース毎に涙ぐむ。
戦う女性は好きだけど、まさかウマ娘にまで適用されるとは…。
なのだが、脚本は王道で野望や情熱、勝利と敗北、ライバルとか憧れとか、挫折やら諸々盛りだくさんにしっかりと詰め込まれててラストには歌まで歌ってくれる。
作画もいい感じで…特に疾走シーンなんかは素晴らしい。第4コーナーを回った直線に入ってからは、画面も実況も大盛り上がりだ。
…そして涙ぐむオッサン。
いや、おかしいだろッ!とセルフツッコミをせずにはおれない。
競馬が好きなワケでもなく…そう言えば親父が大の競馬好きで、ゲームに縁のない人だったんだけど、ウィニングポストってゲームにどハマりして、独自の攻略ノートとか作ってたなぁ…親父が生きててこの「ウマ娘」にもしもハマってたとしたら…いや、ありえんなw
身の毛もよだつ想像しか出てこん。
スポ根モノとよく似てる作りではあるが、圧倒的に違うのは彼女(?)達がプロである事。
勝ち負けにアイデンティティが直結してる事である。なのでゴール前の狂気じみた表情、勝ちに向かう貪欲さが浮き彫りになる表情なんかはグッとくる。
頑張れとか応援してるわけじゃない。ただただ、何かと被る。それが涙の理由なのだと思われる。
実際、ウマ娘の事何にも知らないし、コレを機にゲームをやる事もないと思う。
でも、最後の直線、心臓が張り裂けようが足を止めないのであろう気迫と、ゴールを見据えるガムシャラな眼差しには惹かれ、とても引きづられる。
あと、なんかエンディング曲が面白かった。
1回観て微妙だと思った君たちへ
自分はウマ娘のコンテンツは一通り追ってる身ではあるが、1回目の鑑賞では正直に言って期待した程ではないと感じた。
この評価に落ち着いてしまったのは、この作品の前日譚であるROAD TO THE TOPが面白すぎるからとも言える。
ウマ娘の作品に初めて触れる人には映画ではなくこちらをオススメしたい。エンタメとして純粋な面白いものを観たいと思うのであれば、RTTTは映画に勝っているといえるだろう。
各配信サイトや今であれば公式のYouTubeチャンネルから全4話を観ることができる。纏まりが非常に良く理解もしやすい。映画から初めてウマ娘に触れた人にこそ是非観てほしい。頼む、観てくれ。
先程にも言ったように純粋な面白さではRTTTに分があると感じている。
しかし!新時代の扉はそれを超えていると自信を持って断言したい!
それにこの作品は2回目の鑑賞によって真価を発揮することを伝えたい!
もし君たちに余裕があるのであれば、ジャングルポケットの持つアクセサリーの意味や放つ言葉の一つ一つ、それぞれが勝った時の演出に意識を向けて、再度映画館に足を向けてほしい。
一度映画を観た君たちならそれぞれの演出の持つ意図に気付けるはずだ。それらを改めて解釈することによって評価が一転することを約束したい。
ここからは私個人の感想、というか解釈を述べていこうと思う。
これらを読む前に是非2回目の鑑賞に向かえるのであれば向かってほしい。他人の解釈を一度意識してしまうと、これはそういうものだという正解を持ったうえで観ることになってしまうためだ。
まず、この映画は本当に”よくできてる映画”と言いたい。
急にガキっぽい感想になったなとか何様のつもりやねんなどと思われるだろうが、本当にこの映画はよくできてるんです。いやマジで。
映像作品として本当に凄い。演出の一つ一つにちゃんと意味を持たせている、そしてそれが非常に丁寧であると。それをウマ娘というコンテンツでやるんだから凄いとしか言いようがない。
その中でも印象的かつ象徴的なのはジャングルポケットの持つアクセサリー、あれがもたらす意味について。
アクセサリーが何を意味するか、ここは各々の解釈に依ってくるが、私はあの中にジャングルポケットにとっての”最強”を象徴していると考えている。
最序盤、ポケットはフジキセキのレースを観てトゥインクルシリーズにおいて最強を目指すことを心に決める。
アクセサリーに反射したフジキセキこそがポケットが初めて見出した”最強”であり”憧れ”なのである。
アクセサリーを空に投げそれを掴み取る様子はまさしく、これから最強に向かって突き進む覚悟と憧れに並び立たんとする意識が見て取れる。この時点で後半のフジキセキとの併走を示唆しているようにも思える。
その後、アグネスタキオンにフジキセキと同じく最強を見出し、最強への第一歩としてタキオンに勝つことを宣言するも、願い叶わずタキオンのレース無期限出走停止。つまるところ、ポケットは最強への第一歩を踏み出せないまま、日本ダービーに勝利することになる。
日本ダービー勝利後、明らかにアクセサリーが翳っている様子が映し出される。また、夏祭りにおいてアクセサリーを象徴するような描写がいくつか見受けられる。
スーパーボール掬いでポイが破れる場面や、ラムネの中のビー玉の無機質で一片の輝きもない様。
僅かに付いた炭酸の泡が取れてしまう様子を見ると、ラムネ片手にした会話の中で最強であり憧れであるフジキセキが再び走るという僅かな希望が無くなるようにも見え、ポケットの心情が事細かに映像で示されていることが分かるだろう。
菊花賞での敗北を経て自販機前での語らいののち、フジキセキとの併走、預かられていたアクセサリーをレース開始の合図として空に放り投げ渡す。
改めてポケットが最初に感じた”最強”をフジキセキ自ら示し渡すことによって、タキオンの幻影を払い初心を思い起こさせることができた。
ここでのレース結果は明確に描かれてはいないが、ポケットが勝利したのではないだろうか。
ここに来てタキオンに対して切った啖呵、最強の第一歩目に倒すというものをフジキセキが代わりに担うことによってポケットは改めて最強への一歩目を踏み出し、見事ジャパンカップにて最強になることができたのだ。
更にだ。ポケットが持つアクセサリー、これをアグネスタキオンも所持していることに2回目の鑑賞を経た君たちであれば気付いたことだろう。
それはタキオンの研究室、窓の横に吊り下げられている。
さてタキオンの持つアクセサリーが意味することはポケットと同じであろうか?
いや違う。タキオンがアクセサリーに見出したものは”ウマ娘の可能性”、”限界を超えたその先”であることが作中を観ていれば容易に想像がつく。
そこで窓の横に掛かっているという点がとてつもなく活きてくるのだ!!!これ本当に凄い。自分で気付けて本当に良かった。
タキオンは最初から一貫してウマ娘の持つ可能性を探ることに重きを置いている。それは自分が達成しても他者が達成しても良いものだった。
つまりはアクセサリーを窓の横に置くことによって、窓を通して外にいるウマ娘が達成しても構わないことを示しているのだ!!!
これはすごい演出ですよ…。
しかしジャパンカップ前、ポケットが研究室を訪れジャパンカップに出ることを宣言した後、タキオンは窓のカーテンを閉める。
これが示すことは言わずもがな、他者が達成することへの拒絶である。そして間もなく研究室から出ていくのである。
ここでタキオン自身が”ウマ娘の可能性”に対してのスタンスに思い悩んでいる様子が描かれているといえる。ただ悩んでいる描写は菊花賞の映像を観ているときの様子や部屋の片付け具合からも察せられることではあるが。
アクセサリーだけでこんだけ言えることがあるんだよ。いや凄くないかこの映画。正直軽い論文なら書けるんじゃないかこれ。
他の演出もまた細かい!
ポケットが自販機前でフジキセキに悩みを吐露する場面。タキオンに敗北した際のことを思い出しているときに飛行機の音がする。タキオンが勝利した場面でもまた飛行機が飛んでいる。
映像にはポケットしか映っていないが、敗北した光景をフラッシュバック、トラウマとして思い起こしている様を飛行機の音のみで表現しているのだ。
また日本ダービーでポケットが勝った時の雄叫び。正直1回目の鑑賞ではどうにも違和感があった。いまいち伸び切らないというか勝利の感覚がないような印象を受けた。実際それが正しかったと思い知るのは映画を全部鑑賞してからになる。
改めて2回目を観に行った際、ポケットが最強ではないという意識のもと、日本ダービーを勝ってしまったという認識で雄叫びを聞いた際、声優さんの凄さを思い知った。
あの雄叫びは勝利の雄叫びではなく、自身が最強ではないということを思い知ったうえでの叫び、どうにもならない感情の発露だと理解すると、ポケットの心情が直に伝わってくるような感覚がした。この雄叫びを聞いた瞬間、2回目を観に来て正解だったなと心からそう思った。
まぁ長ったらしく自分の解釈を書いたわけではありますが、最後に本当にすごい作品だなと。それぞれの心情を画面で、音で、映像で、しっかりと描いている。その上で、レースやストーリー的にも面白い!
演出をしっかりと噛み砕いてみると、それぞれがパズルのピースとして役割を果たし、ちゃんと噛み合ったときの心地よさがとてつもなくある作品だなと感じています。
ただやはり、一回観ただけで伝わるような情報量ではないこともまたいえるでしょう。ウマ娘好きであればあるほど、間に挟まる小ネタやキャラクターに気を取られ見逃すことも多くあるかと思います。
だからこそ! ぜひ2回目を! 観に行きましょう!
1回観ただけでは貴方はジグソーパズルのパッケージを一通り眺めて終わっただけに過ぎません!
2回目を観ることによってパズルをはめる感覚、伏線を一つ一つ拾い、嵌めていくことで、初めてこの作品のすべてを楽しんだといえるでしょう!
レビューを書くのは初めてだったため纏まりも悪かったとは思いますが書かずにはいられませんでした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
貴方が2回目を観たことを信じて、次は3回目を観ましょう!
自分は4回目を観に行きます!
粗さはあるけど、良さもあった
まず、マイナス点を上がると、無駄な描写がちらほら散見されるところですね。
トレーニング中やレース前の些細な描写で細かい振動などの描写は正直入れずに完全に『静』の表現としてやった方が良かったと思います。
ただ、逆にキャラクターの心理描写の絡むところは中々良かったと思います。
例えば、タキオンのレース休止時のポケットの動揺の様子を席を大ぶりにゆっくり揺らしていくのは、動揺で視界が定まらない描写や場面の色彩描写も相まってより、精神的動揺がわかりやすくなっていました。
また、特に細かく描写してたのはやはりレースですね。
序盤に振動を比較的緩やかにすることでどのキャラクターも序盤は様子を見ている様子を表現したり、スパートに入った時にちゃんとウマ娘ごとで振動の種類や強さが違ったりもそうですが、ポケットがタキオンに抜かれた時などは、それまでの強く荒々しい走りがガタガタになったり、日本ダービーの競り合いの時などはより、力強い走りの表現になっていました。
その中でもジャパンカップは国内外の有力な選手の出走ということもあって、力強くも安定感のある走りだと感じるくらい振動が強いんですけど、安定してるので、それまで競ってきた相手とは別格というのがよく表現されてました。
その中でも、最後のオペラオーとの競り合いまでの流れは他の選手が強く安定感のある走りの表現がされていることで、よりジャングルポケットの力強い走りがラストでさらに強くなることで精神的な成長も落とし込んでたと思います。
なので、ウマ娘が好きで通常とは違う表現の仕方を楽しむなら、個人的に見る価値はあると思います。
ちぐはぐな表現が目立つ、妄想を見るのはやめよう
この文章にはアニメ1期のネタバレが含まれます。
率直な感想として「伝えたいことは分かるが、それを活かして心を動かすには尺が足りていない」を挙げたい。
全体として比較的低い評価になるが、まずはこの映画の勧められる点を挙げる。
まず、レース表現としての豪華さは映画館で鑑賞することも相まって相当な迫力となっている。煌びやかなレース演出、固有スキルの再現のような表現は大画面で見るのに最適で圧巻だった。
また、110分という短い尺の中にこれでもかとウマ娘を詰め込んでおり、自分の推しが映画に出ているという事実をファンに与える分にはいいことだと感じた。
また、全体として話の構成は競馬やウマ娘に詳しくない人でも理解しやすい、比較的平易なものになっていたと感じる。そのため、映画をきっかけにウマ娘コンテンツに触れてみよう、という人は見て楽しめるものだと思う。
一方で、この映画には大小さまざまな構造的問題を孕んでいると考えている。
まず、キャラクターの心情を言動に落とし込むのがかなり不十分だと感じた。タキオンに関してはこれの例外で、Bプランに移行した後でも抑えきれない自らの走りへの欲求を様々な点から精緻に表現し、最後にはA'プランに向かうという昇華が出来ていると感じた。ポケットに関してもある程度の表現がなされており、例えばレース後のどこか虚しさを感じる咆哮や心の奥底にへばりついた諦めから来る影の自分など、ライバルと自分の能力に板挟みにされながらも成長していく心情をよく表していると感じた。
しかしながら、それ以外のキャラクターの心情は多少表面的には示されていようとも、それが言動に表れることが少なく感情移入することが出来なかった。全体としてセリフは少なく、今回新たに出たダンツフレームに至っては「自分には武器はないけど諦められない」以上の表現がなされていなかった。これでは、「そうなんだ」以上の感想は得られないだろう。
対極の例としてここではアニメ1期のサイレンススズカを挙げるが、スズカが故障後に最初に行ったレースで選んだ脚質は追込で、その心中も細やかに表現されていた。私はここに、史実を超えあの大ケヤキの向こう側に生き残り、仲間に支えられながら新たな世界に進む様を見出して大いに感動した。今回はそのような表現は(タキオン以外に)特になく、「走りへの想い」一辺倒というのが残念なところだった。
次に、タイトルにあるように表現がちぐはぐ過ぎた。例えばマンハッタンカフェの弥生賞は、あれだけヘロヘロな走りの表現をして史実ベースの順位だと4着である。5位以下のウマ娘は散歩でもしていたのか。同キャラの話をすれば、夏合宿期間から調子を上げて菊花賞に間に合わせたという表現だが、出走枠獲得のためのレースには出ていないようだった。この世界、もしかして6人くらいしか走っていないのではないか(ジャパンカップは沢山走っていたのでそんなことはないが)。
それだけならまだ描写の都合で省いたと言えるかもしれない。個人的に最も大きな問題として挙げたいのはジャパンカップの所謂モブウマ娘の所作である。作中、全員が勝つために全力を尽くしていることの表現かは分からないが叫び声を上げ始めるシーンがある。しかしその場面のレースは第二コーナーを抜け向こう正面に入ったばかりである。一体どこで本気を出し始めているのか。レースの演出を良くするのは分かったが、謎の場所で謎の気合を見せつけられても、観ている側からしたら困惑するだけである。
そして最後に突然歌い踊り始める。ウイニングライブであることはゲームやアニメを通じて当然理解しているが、何を伝えたいか分からぬまま歌が始まり、終わる。インド映画ならいいが、ウマ娘に求めているのはそれではない。GIRL's LEGEND Uと共に実装されたグランドライブシナリオであれば表現されていた歌に込める想いもそこにはない。アニメ1期であったスペのライブ失敗から来る、ちゃんとファンに感謝を伝えるための練習をしていたんだなという描写もない。一体何を伝えたいのかが分からないライブ映像だった。
この件に関する総評は、映画全体として存在するこのちぐはぐさが、没入感と高揚感に針を刺ししぼませて来るせいでテンションが上がることもなく、ただ困惑しながら豪華な演出を見ていた、と言える。
最後の問題点としては、とにかくウマ娘ファンを楽しませようとしたのかは分からないが、無駄に登場するキャラクターが多すぎた。足りない尺の中、二桁のキャラクターにセリフが付き十数秒の描写が大量に入るのであれば、もっと人数と時間を削りメインストーリーに(映画自体も客側も)集中できるようにするべきだと感じた。時たまその足りない尺を脳内で補間して無限のストーリーを生み出す方々もいるようだが、あくまで映画館では映画を見るのであって妄想を見るのではない。ストーリーを際立たせてのめりこませられるよう、いらぬ要素は削り前述の問題点であるメインキャラの心情描写を増やし、誰もが(妄想以外で)楽しめるようにするべきだと感じた。
総評として、まず尺が足りないこと、演出は豪華だが内容が軽薄でちぐはぐであることが目についた。ストーリー自体も焼き増しされた内容(これ自体は悪いとは思っていないが)であることから特に機微な内容に目が行き困惑した。妄想を見て無い内容を生み出せれば楽しいかもしれないが、映画を見に行ったのでそれらの記述には納得がいかず、それらがまた映画のちぐはぐさを思い起こさせた。決して手放しでお勧めは出来ないが、映像としてのクオリティは高いのでそちらに注目してみるのが正解なのかな、と思う。
全85件中、1~20件目を表示