「失われる恋心」不死身ラヴァーズ サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
失われる恋心
「ちょっと思い出しただけ」はたまたま万人受けする作品だったけど、本来松居大悟監督の映画はかなり癖が強く、ミニシアターの中でも彼は異色の存在。でも、青春時代の複雑な感情を切なくも明るく描く、素晴らしい感性をもつ唯一無二の監督でもある。今回は、ここ数年の監督作の中でも1番節が炸裂し、最も風変わりな青春ラブストーリーだった。ファンタジー色の強い物語だけど、映画らしく、邦画らしくてすごく面白い。原作気になる。
恋の魅力を熱弁する主人公とそれを片耳で聞く友達。この構図、言葉に出来ないけどなんかいい。恋を読み解く。答えは出ないけど、そこが面白い。「恋は光」を彷彿とさせるね。
運命の相手と結ばれるために全力疾走する主人公・りの。基本こういうキャラは、うざくて面倒臭いやつだと描かれがちなのに、この映画では違う。何があっても走り続ける彼女が、強くてカッコよく映されている。そのひたむきさ、真っ直ぐな心意気。それまでも好きだったのに、最後の伏線回収でもっと好きになる。
恋の儚さ、寂しさを伝える映画はいっぱいあるけど、恋を楽観的に捉えて恋は面白いんだ!と明るく伝える映画は稀有。不思議だけど、言いたいことはシンプル。今日を楽しく生きよう!「キルミー」を選曲するセンスの良さよ!この曲の歌詞、人生突き進んでいるりのにピッタリだ。
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