「舞台っぽさが色濃く残るものの、結婚と人生の関係について考えるには良い機会なのかも」アバウト・ライフ 幸せの選択肢 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
舞台っぽさが色濃く残るものの、結婚と人生の関係について考えるには良い機会なのかも
2024.3.9 字幕 MOVIX京都
2023年のアメリカ映画(95分、G)
原作はマイケル・ジェイコブスの戯曲『Cheaters』
あるカップルの結婚問題の解決のために巻き込まれるW不倫両親を描くコメディ映画
監督&脚本はマイケル・ジェイコブス
原題は『Maybe I Do』で、「もしかしたら、するかもしれない(多分しないけど)」というニュアンスの意味
物語の舞台は、アメリカ・ニュージャージー州モントクレア
ある映画館にて、妻・モニカ(スーザン・サランドン)と仮面夫婦を続けているサム(ウィリアム・H・メイシー)は、一人映画の内容に咽び泣いていた
その様子を心配したグレース(ダイアン・キートン)は彼のそばに寄り、映画館を出て、どこかで語り合おうということになった
サムはいきなり安モーテルに飛び込むものの、受付の男マニー(マイケル・コストロフ)に諭されて、近くのダイナーに向かう
だが、そこは人目も多く会話に集中できず、やむを得ずに再び安モーテルを訪れることになった
一方その頃、モニカはハワード(リチャード・ギア)と高級ホテルの寝室にいて、猛烈にセックスアピールをするものの、ハワードは「残りの人生はこんなもので良いのか?」と悩んでいた
結局のところ、セックスをすることなくハワードは去り、モニカはホテルの受付嬢ソフィア(ナタリー・オルテガ)に文句を言って家路へと向かった
さらに別の場所では、友人ジョナ(ダズマン・スティル)の結婚式に参加するアレン(ルーク・ブレイシー)とその恋人ミシェル(エマ・ロバーツ)がいて、ジョナの妻オーロラ(アズリエル・パトリシア)はミシェルにブーケを投げる手筈になっていた
ジョナは「二人の結婚は計画されている」と不適な笑みを浮かべ、アランはオーロラが投げたブーケをジャンピングキャッチして横取りしてしまう
その行動はミシェルを激怒させ、「私たちの子どもはもう産まれることはないのね」と悲嘆に暮れた
物語は、アレンとミシェルの結婚どうするか問題を解決するために、それぞれの両親を交えた食事会をすることになるのだが、実はこの両親がそれぞれの相手の両親と不倫関係にある、という構造になっていた
ハワードの家に落ち合うことになるのだが、そこからは「子どもたちにも配偶者にもバレないように」と慎重な会話を続けていく
だが、この空気を壊したいモニカによって暴露され、それぞれが悲痛な思いを抱えることになったのである
構成としては面白いのだが、基本的に会話劇で、結婚に向けてのそれぞれの哲学のようなものが提示されていく
舞台劇が原作なので舞台っぽさがあって、字幕を必要としない人向けの内容のように思える
セリフが膨大で、常に字幕が画面を埋めているのだが、それを全部追っていると演者の表情や仕草などを見逃してしまいようになる
なので、吹き替え版があった方が良かったのではないかと感じた
仮面夫婦と接しているアレンが結婚にに否定的で、夫婦仲が良いと思っているミシェルが肯定的という感じにすれ違っている
また、体をも充実させたいモニカは、会話を楽しみたいサムと折り合いがつかず、それによってモニカがハワードを捕まえるのだが、彼も「それで良いのか」と悩んでしまうという流れになっていた
グレースもサムを不憫に思っているものの、セックスよりも会話を楽しみたいので、この二人は合う夫婦のように思える
だが、グレースはサムとの会話を楽しみながらも、根底では夫を愛しているので、それ以上の関係にはなれないのである
いずれにせよ、結婚観は両親が作るという内容になっているものの、子どもが見ている両親はほんの一部だけという感じに仕上がっている
個人的には「全部の関係が破綻する」と思っていたのだが、良い意味で裏切られた感じになっていた
一応はハートフルコメディのように作られているので、そう言ったほんわかとした話が好きな人向けなのかなと思った
相変わらず邦題はぶっ飛んだ方向に振っているが、原題を何かに置き換えられなかったからなのかなと感じた