「役ではない、カルナイのライブが見たかった」劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX 真夜さんの映画レビュー(感想・評価)
役ではない、カルナイのライブが見たかった
ありのままのQUARTET NIGHTのライブが見たかったです。
公開されてから毎週4回以上は見ています。ゲーム、アニメ、映画全て履修している大分古参のオタクです。複数回見て、楽しめている部分はあることを前提に、それでもどうしても「本当に見たかったのはこれじゃないのに」と思ってしまいます。
今回はコンセプトライブとなっており、キングダムやスタツアとは全く違う構成です。
コンセプトライブであることが公開前に全く伝わっていませんでした。怪盗というモチーフがあることは知っていても、映画前2作品を見ている人は通常のライブ映画をやることを想定していたことでしょう。
初日に有給を取って、待ちに待った推しの単独映画を見た感想は、率直にいって「何これ?」でした。前2作のように自然と涙が出ることもなく、怪盗かと思ったら王子になるし、劇が挟まる関係でライブとしてのテンポは悪いし、置いてけぼりでした。アンコールのカルナイを見て、どうしてこの感じで全部やってくれなかったの?と思い辛かったです。
その後、豪華版パンフレットを読んだり、追加されたアンコール部分を見たり、SNSで考察している方の文を読むことで、製作陣がやりたかったことは理解できました。
役を演じるからこそ、カルナイがこれまで辿ってきた歴史をなぞって見せられる。バラバラだった4つの宝石が、導かれグループとして歌う。
しかしそれは、1回見ただけでは全く伝わらないです。劇場版で大切なのは、1回見てすごかった!面白かった!最高!と思えることではないのでしょうか?
「カルナイが、今までたくさんライブを重ねてきて、今回新しいライブ、タブーに挑戦した。」というのは、カルナイの意思ではなく、製作上の都合ですよねと思ってしまいます。
前2作、特にスタツアとの違いを出さなければいけなかったからそうした。製作側にとっては今回が「うたプリ作品の3作目映画」でも、私たちカルナイファンにとっては「初めてのカルナイの単独映画」なんです。
今回のようなコンセプトライブは試みとして面白いと思いますが、やるなら普通のライブのカルナイ単独映画をやってから、単独2作目としてやって欲しかった。シンプルに、歌とパフォーマンスで私たちを圧倒する彼らが見たかったです。
舞台挨拶等で、キャストの方が色々な意見に気を遣って話されているのがありがたくもあり申し訳ないです。
もう二度とないかもしれないカルナイの単独映画を、この作品で終わらせたくないです。そう思って何回も通っているのもあります。
つらつら書きましたが、3Dモデリングは今までより進化しており、衣装の質感や動き、アイドルの顔は常にかっこいいです。デュエット2曲は、コール曲なだけあり毎回とても楽しく見ています。
以下、細かい感想と気になる点です。
・導入
ミッション1!みたいな文字をスクリーンに工夫なく出すのはライブに入り込みづらく思いました。せめてミッション2は、ライブ会場のモニターに写ってる映像を挟む等して欲しかったです。
・メドレー
表題曲を頭に持ってくる予想を裏切るセットリストで良かったです。1人が歌うとき、警備員で他のアイドルが出る演出も良かったです。
・劇
ここでライブとしてのテンポが完全に切れます。ドローンの上に写る目が移った四面体?怖くないですか。黄色い宝石が海を飛んでいく謎演出も微妙です。結局そのあと宝石ワープして王国に行ってるっぽいし…
・カミュソロ
衣装(帽子)のトンチキさに初見では引いてしまいましたが、カミュならこのくらい振り切ってやるよなと思えるようになりました。ラスト、宝石があった場所にカミュが写る演出などがいいです。
・嶺二ソロ
衣装も表情管理も素敵です。
ただ、メロウな曲調なのに間奏で「嶺二、アチチ!」というトンチキコールが入り雰囲気が台無しです。スタツアでも面白コールはありましたが、あくまで曲の雰囲気には合っていたように思います。名前を入れるコールを無理やり捩じ込んだように感じます。「マイガール、マイボーイ」コールも困惑です。それは嶺二がファンに言ってくれるものではないんですか?
・蘭丸ソロ
衣装と謎の顔ペイントに初見でダサいと思ってしまいました。間奏のダンスは素晴らしいのに、これもまた謎コールのせいで集中しきれないです。以前の曲のタイトルをいれればエモい感じになるだろ、と製作陣は思っていませんか?曲の雰囲気に合わせてください。
・藍ソロ
儚げな雰囲気と綺麗な歌声が素晴らしいです。鳥かごの演出も良かったです。ソロだと一番好きかも。人がワイヤーなしで飛ぶことには今までで慣れました。ラストの詠唱は曲の雰囲気とかけ離れていないのでありかなと思ってます。
・RttR
コール曲なだけあり楽しいです。でも、なぜ2番の「愛してるぜ」の部分を入れなかったんでしょうか…曲を聞いてライブでその部分を聞くのを楽しみにしていました。センターステージの立体物も謎です。歌詞が浮かぶだけだし必要ですか?アリーナから見づらいだろうな、とか考えてしまいます。
さらに言うと、スタツアではUUUUとSAMURAIZMで衣装が違い、スタアワでさらに衣装チェンジしたのになぜ今回は色替えだけだったんでしょうか?RttRはまだしも、ゴッラブはもっと可愛い衣装を用意しても良かったのではないでしょうか。
・ゴッラブ
こちらも曲はとても楽しいです。
ですが、カミュの途中のセリフはあのセリフである必要がありましたか?愚民って言えばなんでもファンは喜ぶと思ってないですか?
ソロでも言ってるのに、こんなに可愛い曲で、曲中でも「なんでもこなしてプロフェッショナル」と歌うカミュが、役を演じているという設定だとしてあのセリフを言う意図がわからないです。
途中のミニグリ船長というキャラも、ミニキャラが出ること自体はうたプリ映画のお約束なのでいいですが、単体で抜きすぎではないですか?あのキャラのみの姿が何回も抜かれるなら、もっと藍とカミュのカットを増やして欲しかったです。アイドルが映らないシーンを増やすのはなぜですか?
・タブナイ
Aメロの振りが全部違っていたり、顔と曲と振り付けは最高です。
しかし、表題曲なのに一番曲の時間が短いのはどういうことですか?サビがきて、これからだ!というときに2番にいかずもう転調して終わるのが本当にもったいないです。
劇場版は今までどの曲もフルでやらなかったからフルじゃないのは仕方ないにしても、せめて3分以上はやって欲しかった。
あんなに短いのに、しかもタブナイの前はまた劇が挟まってるから連続して曲を歌ってないのに、とってつけたように息切れの描写を挟むのもわざとらしいです。
・ジンライ
4人のハーモニーが素晴らしい名曲です。最初の月召喚も壮大で良いです。
しかし皆思ってるでしょうが、袖の演出なんなんですか?ボトッと落ちるシーンで毎回気持ちが切れてしまいます。2週目から挟まった苦しむシーンも意味がわからないです。ただでさえライブとしてはテンポの悪い今作のテンポがさらに悪くなりました。説明がないから、私たちの声で急に復活されても感動もないです。戸惑いしかないです。
いくらそういった演出だとしても、あのプロ意識の高いカルナイが、パフォーマンスを中断する姿を見たくなかったです。
・アンコール
新曲嬉しかったです。ハーモニーが綺麗で、ファンに歌ってくれているのが伝わります。
でも、嶺二のトロッコのアドリブは最初こそ嬉しかったですが、折角全国ツアーという体にしているのだから週代わりでペアを変えたりして欲しかったです。これは贅沢な意見だとは思ってますが。
そして、2週目から追加のMCは最初から入れるべきでした。あれを聞いてもわからない部分はありますが、初週のほったらかし感は減ったと思います。
ツアー期間ごとに変わるMCは、皆の特色が出ていてとても良かったです。
ラストはゴッズで、長年追ってきた身としては彼らがあの挑戦的な曲をラストに選んだことに感銘を受けて初めて泣けました。
でも、ゴッズや新曲のアンコール曲が素晴らしいからこそ、もっとこういう彼らが本編で見たかったと思ってまた苦しくなります。
アンコールが追加され、タブナイ最高じゃん!とおっしゃるファンの方がSNSを見ても増えたと思います。純粋に、そう思えることが羨ましいです。私もそう思いたかった。感じている違和感を消化しきれないから、このレビューを書いています。
私が見たかったカルナイの単独映画ではなかった。これにつきます。
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