「今までと同じじゃつまらない人のための尖った作品」劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX 塩さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今までと同じじゃつまらない人のための尖った作品

2025年5月15日
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鑑賞方法:映画館

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幸せ

ドキドキ

この作品「うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX」は「マジLOVEキングダム」「マジLOVEスターリッシュツアーズ」に続くうたプリ劇場版第三作。
今回はうたプリシリーズのメイングループであるST☆RISHではなく、その先輩QUARTET NIGHTの単独ライブであり、「マジLOVE」のタイトルを冠していないところからも本作は全二作とは一線を画す作品になっている。

QUARTET NIGHTはST☆RISHと同じシャイニング事務所に所属する先輩アイドルグループであるが、ST☆RISHと異なり4人中3人は元々アイドルを志していたわけではない。
歌えればどこでも良かった黒崎蘭丸。比喩ではなく歌うために生まれてきてアイドルの他に選択肢を与えられなかった美風藍。別の目的のために都合が良いという理由でアイドルになったカミュ。そして唯一アイドルを目指してシャイニング事務所に入ったものの、過去の不出来事からアイドルでいることに苦しみそれでもアイドルを辞めることができなかった寿嶺二。そんな四人が社長命令で集められ、「いつ辞めてもいい」と半ば投げやりな気持ちで始めた、それがQUARTET NIGHTというグループだ。

それでも声を重ねるうち、共に過ごすうちに、四人にとってQUARTET NIGHTは徐々に特別な、自分たちの居場所になっていく。劇中劇の形を取ることで彼らがQUARTET NIGHTになっていく過程をファンに追体験させる、今作はそんな作りになっている。この流れを理解した上で観ることで、ライブ終盤ようやく聴くことができる奇跡の四重奏に、理屈でなく魂を揺さぶられるはずだ。

テンポの良さとノリで突っ走る、誰にでもわかりやすく作られた優しい作品ではない。昨今は本物のライブに来たような、没入感を売りにした全編ライブ作品も増えてきたが、今作はうたプリが先行して作り出したそのムーブメントを自らぶち壊しに行くような挑戦的な作品である。

ST☆RISHがキラキラと輝く星なら、QUARTET NIGHTはバチバチと輝く稲妻だ。アイドルを夢見なかった彼らが作り出す最高のアイドルとしてのライブステージ、それがTABOO NIGHT XXXXである。

もし少しでもこの作品に惹かれるものを感じるならば、ここにしかない唯一無二の輝きを、刮目して味わっていただきたい。

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塩
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