「見れば見るほど体に馴染む、不思議な映画」劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX joudenさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0見れば見るほど体に馴染む、不思議な映画

2025年5月11日
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「うたプリ」シリーズ3作目であり、引き続き全編ライブ映画である本作。だが前作までとまったく同じだと思って見に行くと、戸惑いを覚えるだろう。
前作との違いは、ただのライブではなくストーリーがあるタイプの(例えるならミュージカルや舞台のような)ライブである、という点と、それゆえに詰め込まれた構成と演出。最低限のリアルさは残しつつも、全編に渡ってこれまでより派手な映像が繰り広げられる。その情報量の多さに、最初は「いったい何なんだこれは」と驚かされるだろう。とにかく突っ込みどころが多い。
しかしあとから冷静に振り返ってみると、曲の良さ、アイドルの演出(特効から繊細な体の動きまで)、グループとしてのコンセプトや一体感など、我々の見たかった要素自体はすべて揃ったライブであり、そこに加えられたこの「意外性」が次なる「挑戦」のために必要なピースであったことが腑に落ちる。これまでと同じでは意味がない、というカルテットナイトの意思や矜持のようなものを感じるライブだと言える。まさしく「新たなる到達点」なのである。
特筆するべき点は、前作も含めたこのシリーズは、それこそ何十回と繰り返し見るファンが多く、そのようなファンのための仕組みが多数組み込まれているということ。これが一見したときの演出の過剰さと、それによる困惑にも繋がっているのだが……。しかしライブの全体像を把握したうえでもう一度見てみると、その過剰さが次々と楽しさに変わる、不思議な体験が出来る。この体験は、特に2次元アイドルファンの方には映画を楽しむ上で是非とも味わって欲しい感覚である。
それからちょっとメタ的な話をすると、3Dモデルの表情の繊細さが今作はフィーチャーされているように感じる。特に中盤は切ない表情や、諦念じみた表情がよく見られるのだが、これが本当に見事。このちょっとした表情の機微を、ぜひとも感じ取ってみて欲しい。
衣装についても前作以上に複雑になっており、特に道化の衣装のフリルはこれまで3Dモデルで見たことが無いほど。ましてやそれで激しいダンスを繰り広げ、布と布が干渉して埋まるような所が一切見られないのだから驚かされる。
総じて前作より各要素も構成もパワーアップしており、それ故の困惑というのも確かにあるだろうとは思うものの、新規ファンの方には「なんだがわからないがすごい!」という驚きを、そして既存ファンの方には何度も繰り返し見ていただき、この挑戦の裏にある彼らの積み重ねてきた歴史と、それに基づく彼らの高い実力が魅せるエンターテイメントを楽しんで欲しい。

jouden
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