「恋の操り人形」恋するプリテンダー レントさんの映画レビュー(感想・評価)
恋の操り人形
作品冒頭、街中を人波をかき分けて急ぐブラウスにジーンズ姿の若い女性、急ぎ足で歩いているためそのブラウスの胸元が激しく揺れている。それはまるでこれから始まる運命的な出会いに胸躍らせるかのように。
カフェでトイレを使いたいビー、その彼女に機転を利かせてくれたベン、二人の出会いは運命的なものだとお互いが感じた。
しかしそのあまりにできすぎた出会いにビーは尻込みして思わず彼の部屋から出てしまう。思い直して戻ってみたら自分を罵るベンの姿。やはり最高の出会いと思ったのはお互い間違いだったと思い知る。
この二人の共通点はともに恋に憶病になっていたこと。ビーは自分の人生に疑問を抱いていてその目標を失いかけていた時期でもあり、非の打ち所の無い彼氏にも気後れするような状態。ベンの方は大恋愛した女性と破局し、プレイボーイを気取りながらもいまだ立ち直れないでいた。
そんな恋に臆病な二人がお互いの家族の結婚式に出席したことから巻き起こるドタバタコメディー。
などと書いたが、正直言って脚本があまりうまくない。結婚式を穏便に済ませるために周囲の人間たちが二人を無理矢理くっつけようとしたり、逆に二人は自分たちの利益のために恋人同士の振りをしようとしたり、いくらコメディーでも話に少々無理がありすぎた。
笑わせる部分も冒頭のトイレでジーンズを乾かすシーンはまだ笑えたけど、そのあとのギャグは無理やりで全てが滑ってた。
ファーストクラスでのクッキー盗み食いからの下ネタギャグなんてやはり無理がありすぎだし、下着に蜘蛛が潜り込んでいたからといっていきなり全裸になるなんてこれも無理やり。
無理やり笑わせようとするギャグは滑るのが定石。いかにさりげなく自然に笑わせるかがコメディーの腕の見せ所。
コメディーだからリアリティなくても許されると考えてるなら大間違い。こういう作り話でこそ幾ばくかのリアリティがなくては観客は感情移入できないし物語にも入り込めない。
コメディで笑えないのはほんとつらい。終始ビキニのお姉ちゃんと大胸筋を見せられてるだけの映画の気がした。最新作で配信で無料だから見てみたけど正直きつくて途中からビール飲みながら鑑賞した。
ただ主演女優さんを見て驚いた。ビーを演じたのは前作の「リアリティ」で主演を演じたシドニースウィーニー。この落差に正直驚いた。
「リアリティ」ではそのタイトル通りリアルで地味な女性役を演じていただけに今回のコメディエンヌぶりには感心させられた。まあ、それが俳優たるものなのだろうけど。しかしスゴイ落差だなあ。