無名のレビュー・感想・評価
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トニー・レオンのスパイ映画っていうから
前情報ほぼ無しで観に行ってしまいました。
もちろん、インファナル・アフェアの再来、もしくはそれ以上の素晴らしい香港ノワールを期待して。
無知だった自分が悪いのです。
イントロで中国の企業名これでもかと盛ってきて、あ、これ香港映画じゃないとようやく気づき、トニー・レオンの名の横には「中国香港」。
中共万歳プロパガンダ映画でした。
ジャッキーも、トニー・レオンも、あっち行っちゃって、香港映画ってもう、できないんだな、とトドメを刺されました。
今後、こういう映画が無邪気に日本国内でも人気を得てきたら危ないなあ…。
派手なアクションを強調したかったか、無駄にバトルシーンが長かったり、なんでか若い中国人にだけカタコトに日本語喋らせたり、ツッコミどころは多々ありましたが、2時間ちょいは長く感じず、余計なこと何も考えず楽しめれば、エンターテインメントとしては悪くないです。
リバース
私がトニー・レオンを見たのは、恋する惑星以来だ。世代から私はイボ君目当てではない。しかしイボ君は活躍していた。
政治や思想下で暗躍する人々を描いた作品。上から命令があり、ターゲットを暗殺していく。あるシーンからリバースして何があったかわかる構成になっている。だからもう一度見て確かめたいと思わせる。
関東軍の幹部役の日本人俳優は、最初セリフまわしが下手だったが、だんだん上手くなっている。撮った順番は知らないけれど。
暗殺者は訓練されているから、ものすごく強い。何故か流れで殺し合いすることになった2人のシーンが見せどころになる。
民衆が犠牲になるシーン、銃殺されたり、閉じ込められて頭上からコンクリートを流されるところが悲しかった。
時代に翻弄された人々の話。
映像格好良かった!
最初、時系列と登場人物の人間関係についていけなくて???ってなりましたが、途中で「あ〜」ってなりました。
残念なのは、中国が作ってる映画ということは、どうせ主人公は共産党側のスパイやろ?と、否応なしにネタバレされてしまうところです。
え?こと人どっち側?!ってワクワク観れたらもっと面白かったのに。
共産党、国民党、日本のスパイが騙し合ってるけど、観てる側を騙せないというのは、かなり勿体無い…。
中国が作ってるから、もう仕方ないことだけど。
ストーリーやアクションは、めちゃくちゃ面白かったし、トニー・レオンは相変わらず、色気があって格好良かったし、出てくる女優さんが、みんな凄く綺麗だったので、映像としては、とても楽しめました。
残酷で間抜けな日本人。中国本土で大ヒットした映画
私自身はトニー・レオンの大ファンです。映画館もおそらく、往年の香港映画時代からのトニーファンの中年女性客でいっぱい。トニーは北京語を話しますので、そこから違和感。
中国を舞台としたオシャレなスパイアクション映画、くらいな軽い感じで見に来られるとちょっと驚かれるかも。
延々と続く、日本兵の残酷さの描写で、これがすべて史実に基づいていると海外で思われるのはなぁ、とそこは気になります。「日本人はみな一緒」というトニー・レオンの台詞もありますし。
日章旗柄の襖や、芸者さんの所作(歩くときに足を広げすぎて素足が見える)など、日本人から見ると、突っ込みどころはたくさん。共感できる日本人は一人も登場しません。
役者はいいし、衣装協力はPRADA。ただ、日本人=悪の映画が中国本土で大ヒットしていることを知っておいた方がいいと思います。
結局、共産党のスパイ、最強、ということがオチですから。
背中に馬鹿でかい日の丸がついたシャツ
日本軍の兵士が野営をする場面。
背中に直径30CMほどある日の丸がついたおそろいのシャツを着ている。
これはありえない。ふざけるにも限度がある。
習近平プロデュース作品なのだろうか、このような演出をしないと
中国国内ではヒットしないのか、あまりに下品。
国家の命令で命を落とした庶民(日本軍の兵士)への共感がなければ、
プロレタリアのインターナショナリズムは成立しない。
マルクスが中南海に怨霊となって現れるぞ。
日本の敗戦後、大東亜共栄圏を謡う日本の将校が、田舎へ帰ってのんびり過ごすと豹変して、その場を去ろうとする場面がラストだ。
それを許せないとして殺害するのは納得できる。この映画でいい場面は最後だけ。
助演男優賞 ワンコ
トニー度 5
レオン度 5
脚本 1
演出 2
撮影 2
音響音楽 3
美術 2
検閲とかあるのか?映画製作状況知りませんが、脚本がダメダメで全てがぶち壊しでした。
登場人物も色々出てくるけど、誰?て感じ。
二重スパイの話か、何の話なのか、フックが無いので、映画に入りこめず、それでいて時間軸飛びまくりなので、飛ばすのいいけどほとんど無意味。映画というより思想の映像化て感じでした。
色々な映画を引用?(しかもベタ過ぎ)じゃあ自分達のオリジナリティは、てなると何にもなかった…だからスカスカ。
廃墟の都市で片足の無いワンコの演出が唯一良かったです✨
ノーランフォロワーか?!
時系列がポンポン飛ぶので、初っ端から解り辛い。諦めてスタイリッシュ・イヌ・ノースリーブそしてミルフィーユ? を堪能しようと観ていくとやっと最終盤で納得出来てほっとした。
しかしアクション凄い・・カーテンで窒息攻撃、留め金が一つ一つ外れていくとか、ネクタイ首絞めとか見た事ない。トニーレオン相変わらずイイ顔してるなぁ。
香港映画=中国映画 というのを実感
もはや香港映画、というジャンルはなく、中国共産党の下で作成される中国映画に取り込まれているんだと実感しました。
トニー・レオンは香港映画のスターだったんだけどな。。
オープニングのたくさんの制作会社のマーク見ただけで、中国共産党バンザイで終わること必然、なので、トニー・レオンは汪兆銘の日本軍傀儡政権の諜報員やってるけど、実は二重、三重スパイで最終的には中国共産党員=無名のヒーローなんだろうと予想したら笑えるくらいその通り、ワン・イーボーがどんな役割でどんな動きをするのかが話のキモだろうと思ってみていました。
日本が降伏して渡部とともに刑務所送りになったときには日本軍と一蓮托生かと思ったら、そうくるか、と再度ひっくり返って面白かった。満州国が簡単に滅亡した理由を聞いたときにはおおーと思った。日本人が最終的に間抜けなのは中国映画の定番ですかね。
時間が前後するが、印象的な場面で目印にしてどの時間帯の話が分かるようになっており、あまり混乱はないがトニー・レオン、ワン・イーボー、森博之以外の登場人物の、特に女性が誰が誰やら見分けがつきにくく、南果歩似がトニー・レオンの奥さん=蒋介石側の寝返り男の同居人で特殊工作員、とだけ覚えて、彼女じゃないほうがイエの彼女、という見分け方で見たらなんとか分かった。
トニー・レオンとワン・イーボーの派手でしつこいアクションは見ごたえがありました。
渡部役の森博之は知らない俳優だと思ったら、拠点は中国らしい、役に合っていたので中国映画で日本軍人役で重宝されてそう。
日本軍の残虐行為に目を背けたくなった。「君が代マーチ」は運動会のBGMでよく掛かるが、第日本帝国皇国皇軍感で満ち満ちていて、平和な運動会にかけるなよ、と思った。が、日本軍の兵隊役の日本語は大分頑張ったと思う。汪兆銘政権の工作員は多分日本語が分かるだろうし、渡部も中国語が分かると思うが、聞く分には分かるが言いたいことは母国語でないと言い切れないというのはよくあることなので、渡部が日本語を話し、工作員たちが中国語で話して意思の疎通ができているのは不自然ではないと思う。
英語タイトルの、「Hidden blade」ですが、映画の内容が分かってしまうよう。
イエが、途中までは日本軍・渡部の懐刀、日本軍撤退後は中国共産党フーの懐刀、この映画の主役はイエ、ということがタイトルに出てたんですね。
ワン・イーボー、綺麗でぞくぞくしますね、元(今も?)アイドルなんだ!?
日本語喋らないスパイ
日本人将校 渡辺(唯一の日本人俳優 森博之 )と
政治保衛部の関係性や立ち位置が
はっきりと描かれていないため
歴史に疎いと、分かりづらいし
時系列があっち行ったりこっち行ったり飛びまくり、
よーーく観ておかないとそのあっちこっちさえ
気が付かないくらいなので混乱を来す🤯
フー(トニーレオン )とイエ(ワンイーボー )の
対峙とアクションは圧巻。
中国俳優もトムさま同様60歳超えても
キレキレのアクション、若き俳優負けてられません😤
イエの青白く線の細い風貌からは
(脱いだら凄いのか🤔)
想像もつかない程のタフネスっぷりも楽しめ
インファナル・アフェアから20余年
トニー・レオン (梁朝偉 )も歳をとりましたが
渋みがいい👍
意外と楽しめた
歴史を全く知らないと難しいかもしれない。
ただ、自分も詳しくはないがある程度理解できたし
スパイものの作品としてみれば
楽しめると思う。
戦時下において、情報というのは本当に
大事なモノだったのだろうなぁ。
そして、三重スパイくらいになっていたりで
多少混乱するが
最後にはスッキリするので
ストーリー展開として、とても良かった。
信じる道
特にスパイ映画はお互いの素性を隠しての腹の探り合いが多いため、観ていて混乱させられる場面が多いのだが、この映画はさらに時系列が何度も前後するので頭の中を整理するのが大変だった。
そして明らかにこの映画はあえて見せない部分を作り、時間軸を入れ替えることで、最後まで観客に本当の人間関係を分からせないようにしている。
以前大作『戦争と人間』を鑑賞した時も、第一部の日中戦争の経過がとても難解に感じたのだが、それもただ日本が中国を占領下に置くという単純な図式ではなく、中国内部での国民党と共産党の対立も複雑に絡み合って来るからであろう。
冒頭はかつての共産党の工作員であり国民党への転向を望んでいるジャンを、国民党の政治保衛部に属するフーが身辺調査する場面から始まる。
後に中国内で勝利を収めるのは共産党なのだが、この時点では反乱分子という位置づけが強い。
そして国民党に属するフーは上海に駐在する日本軍のトップ渡辺と繋がっている。
フーはジャンから共産党内部の情報を聞き出すが、同時に処刑されるはずだったジャンを助けたことで日本人の要人のリストを入手する。
フーの立場、そして彼が何を狙っているのかは、終盤になるまで明らかにされない。
そしてフーの部下であり、親友のワンと共に諜報活動を行っているイエの真意も分からない。
彼にはファンという婚約者がいるのだが、彼女は共産党員であり日本軍に対する敵意をむき出しにしている。
そして彼女は無惨にも殺されてしまうが、明らかに犯人はワンであった。
映画は1937年の上海事変から終戦後の1946年までが舞台となっているが、それこそ立ち位置によっては180度人生がひっくり返ってしまうような激動の時代だった。
戦後、日本側についていた国民党員は反逆者とみなされ、重い罪を背負うことになったはずだ。
それに対して戦中は弾圧されていた共産党員は一気に力を取り戻すことになる。
未来のことは何一つ確約されていない。
彼らはただ自分が信じる道を突き進んだだけだ。
後半になり、ようやくフーとイエの立場が明らかになっていく。
お互いに敵側の人間であることが分かったフーとイエの戦闘シーンは凄絶だった。
そしてイエにも隠された秘密があることが分かる。
全編通して凄みがあり、何が起こるか分からない緊迫感はある。
が、同じシーンを繰り返すことで、ようやく時系列が分かるようになる演出は少し雑に感じた。
説明が少ないようで、かなりあざとい演出であるとも言える。
さて、難解な映画ではあるが、人の行動の動機とは意外と単純なものでもある。
そして必ず愛という普遍的なものがそこにはある。
イエとファンの間にある愛、そしてもうひとつこの映画の中では隠れて愛し合う二人の姿が描かれる。
その描写がもう少しドラマチックならば、もっと画面に引き込まれたかなと思った。
無名のスパイ蠢く暗闇の上海
歴史物、スパイ物、上海、トニー・レオンと好きな要素がいっぱいで何気に楽しみにしていた作品。
※以下、思いっきりネタバレしていますので、未鑑賞の方は読まないで下さい。
期待に違わず、トニー・レオンは格好いい。ワン・イーボーも格好いい。スーツ姿決まりすぎ!全般的に暗い画と重苦しい音楽だが、当時の世相と魔都上海の雰囲気出ていて良し。
しかし、前半がダレてしまって・・・。アクションシーンを前半から出して欲しかった。
上海租界を舞台にスパイ情報戦を繰り広げる日本、中国共産党(毛沢東)、中国国民党(蒋介石の重慶政府。抗日戦線で共産党と手を組んでいた)、汪兆銘の南京政府(こっちも国民党だけど日本の傀儡政権)。当時の上海は欧米諸国も権益を持ち、各国の思惑が交錯する国際都市。背景が複雑なのだが、これを説明入れて表現すると無粋になってしまう。というわけで説明はほとんどなし。それでいいんだけども・・・背景知っていても、ちょっと理解が難しいですね。登場人物達がどういう意図で動いているのか掴みづらかった。
結局、主任のフー(トニー・レオン)も部下のイエ(ワン・イーボー)も汪兆銘国民党のスパイではなくて、日本政府の情報を仕入れるために送り込まれた共産党のスパイという二重スパイだった訳だが、同じ立場の2人は何故死闘を繰り広げたのか、最後まで理由が良くわからなかった。フーが組織から抜けようとしたから?終戦直後に立場逆転して釈放されたフー(共産党員)がイエ(最後の仕事するまで汪兆銘国民党スパイのフリしてる)に掴みかかったのは何故?これも演技?
考え始めると??だらけになってきたので、この辺で終わりにする。
とにかく、2人と雰囲気を楽しめばよいということで(2024年映画館鑑賞13作目)。
ちょっと笑えたお客さん
映画鑑賞後に多分ワン・イーボーのファンかな若い女性だったんですけど、劇中に日本兵が食事中に"俺はある有名人に似ているんだぞ"といって昭和天皇の顔真似をするシーンがあるのですが、昭和天皇を知らない世代からしたら…。
加トちゃんペにしか見えないようで(笑)
いやいや加トちゃんはもっと後に生まれてますよってただ苦笑いするしかありません(汗)
正直、日本語のセリフにも字幕つけるべきじゃないかなあって、ラストのワン・イーボーの日本語のセリフは"One more please!"レベルですよ。
内容は中華民国時代の上海事変が起きた後における政治思想の違うスパイの攻防が繰り広げられるというのがざっとした紹介になる。共産主義を支持する立場が今の中華人民共和国に、立場を追われた民主主義の支持層が台湾に逃れた、今作品は共産主義vs民主主義を題材にしています。
当時民主主義なのか共産主義なのか二分割していた中華民国国内において、どちらに賛同するかによって敵なのか味方なのか、渾沌としていた時代においてスパイ同士の愛情や友情なんて皆無に等しく信用し過ぎない者が勝つってぐらい心理戦による騙し合いの印象が強いです。
ラストの渡部をイエが殺すシーンはまさにそう言えるシーンではないでしょうか。
信用したら負け、騙した側が勝つ。
中でも印象的だったのが、イエが恋人で同じスパイのファンに結婚を申出たがあっさりとフラれるも、その後ファンはイエの同僚のスパイに殺されてしまうのだが、あのシーンだけはスパイとしてよりも人間味のほうが溢れているシーンで、イエが自我を失った唯一のシーンでもあるので非常にドラマチックだなあと思いました。
そのあたりの心理的な駆け引きが個人的には面白かったです。
序盤からSleep。
政治保衛部に所属するフーが中国共産党で秘密工作員の男を身辺調査から始まる話。
冒頭の身辺調査からの会話が眠気MAXに。
ごめんなさい本作ちょっと難しというか眠気でウトついてしまって話に着いていけなかった(笑)
終盤のフーとイエの銃撃戦と殴りあい辺りは観応えあったんだけど、こういう目を引くアクションを冒頭から入れてくれると目覚めちゃうんだけどな~と個人的ワガママ。
こういう作品も楽しめる様になりたい(笑)
ワン・イーボーが速水もこみちに何となく似てた。
話には、てんで付いていけなかったけど面白かった。日本軍の残虐行為をあえて強調して描いているのは中国(共産党)の映画だからと思われる。
トニー・レオンとワン・イーボーの対決場面が圧巻。アクションというよりは、もうマジ殺しあいで迫力がすごい。お互い2、3回殺られて死んでいる(そんなわけないけど)。
終盤、「日本に帰って軍人やめてのんびり生きる」と日本軍スパイのトップ渡部が言う。それを聞いて、ワン・イーポーの表情が変わる。軍人でないただの日本人のオマエなど利用価値はないということなのか?ワン・イーボーは共産党軍のスパイだったのかな?なんかそう言ってるようだし。 「・・・?」 (・。・; )
というわけで、僕は結局 最後まで話にはついていけず よく分からなかった。面白かったけど、話は何となくおおざっぱに分かったという程度。
蒋介石率いる国民党と共産党軍が戦かったことしか知らないし、満州事変、リットン調査団、関東軍てのは、聞いたことがあるけど内容は知らないというレベルではムリだった。女スパイと婚約者も見分けつかなかったし、メガネかけた2人の中国人も途中で混ざった。だけど蒋介石の悪口は笑えた。中国(共産党側)の映画だからねと思った。当局から、この時代が舞台なら日本軍の残虐行為はしっかり描けという要請は当然あったと思う。まあ検閲であるが、言論の自由がない国とはこういう事だと思った。
立川か吉祥寺で見ようと思いネット予約しようとしたらやたら混んでる。急きょ日ノ出に変更したが女性が多かった。トニー・レオンとワン・イーボー人気と思われる。2024/5/2(金)
【やや難解ですが、スパイを演じたトニー・レオンとワン・イーボーのビシッと決めたネクタイとスーツ姿、ドレスを纏って任務を果たす美しい女性スパイの姿を含めて、美術と壮絶なアクションに観惚れる作品です。】
ー 今作を鑑賞するに当たっては、上海事変から第二次世界大戦終戦までの日中関係の知識はあった方がより良いと思います。ー
■第二次世界大戦改選前後の中国で、共産党、国民党、日本軍のスパイ達が繰り広げるスパイ戦を描く、脳内フル回転で観る映画です。
中華民国政治保衛部のフー(トニー・レオン)、部下のイエ(ワン・イーボー)を主に、共産党、国民党、日本軍のスパイ達の三つ巴の攻防や転向するシーンなど、見応えがあります。
但し、中国映画ですので、心理戦の中で国民党蒋介石政権批判が織り交ぜられていますし、如何に中国共産党が日本を不屈の根性で打ち負かしたかと言うラストに繋がっています。
分かりにくい理由としては映画タイトル通り、登場する人物の多くの固有名詞が出て来ない点です。
ですが、そこを脳内で補いつつ、もしくは補えなくとも、スパイのトニー・レオンとワン・イーボーのビシッと決めたネクタイとスーツ姿、ドレスを纏って任務を果たす美しい女性スパイの姿含め、1940年代のモノクロ写真でしか見た事のない上海の街を再現した美術と壮絶なアクションに観惚れる作品です。
■私が思う一番のアクションシーンの見所は、フィアンセであるファン(但し、彼女は共産党のスパイでもあり、ファンとの関係も微妙ですが。)を殺されたイエが同僚のワンを疑い、更に上司であるフーとの壮烈な肉弾戦のシーンです。
ー トニー・レオンとワン・イーボー、スタントなしで演じたと資料に在りますが、凄い迫力です。-
<何度も書いて、恐縮ですが今作は難解です。けれども、観賞中に飽きる事はありません。大スクリーンの中で繰り広げられるスパイ戦に引き込まれます。
今作は、客電が上がった後に
”やや難解だったけれども、面白かったなあ。本格的な映画を観たなあ。”
と言う思いが残る作品だと思います。>
スパイも人の子、緊張感の背景で描かれるメロドラマに刮目せよ
2024.5.9 字幕 アップリンク京都
2023年の中国映画(131分、G)
日中戦争後〜太平洋戦争前後の中国にて暗躍したスパイを描いたノワール映画
監督&脚本はチェン・アル
原題は『无名』で「名もなき者」、英題は『Hidden Blade』で「隠された刃」という意味
映画は、あるカフェにて婦人が何者からかコーヒーをご馳走になるシーンが描かれて始める
その後、汪兆銘政権下の政治保衛部のイェ(ワン・イーボー)とワン(エリック・ワン)が食堂でリブを食べている映像が流れ、電話のベルが鳴り響き顔色を変える日本軍将校の渡辺(森博之)、何かを待ち苛立つ政治保衛部のフー主任(トニー・レオン)の様子が描かれていく
そして物語は、イェとワンがある河川敷に転がっている日本兵の死体の様子見をしている様子へと続いていく
映画は、この一連の冒頭の映像が「時系列が逆」になっていて、「1938年の広州陥落」のフーが描かれるところから順列へと変わっていく流れになっている
フーは陥落を生き残り、その3年後には政治保衛部の主任になっていて、彼の部下としてイェとワンがいる
彼らは関東軍の将校・渡辺と通じていて、政治保衛部の部長タン(ダ・ポン)も加わった密室会議が描かれる
フーはタン部長から「中国共産党から離脱したジャン(ジャン・シュイン)の身辺調査」を任されていて、彼はなぜか妻チェン(ジョウ・シェン)の銃を持っていた
また、イェには婚約者ファン(チャン・ジンイー)がいたが、彼女はダンサーとして潜入しているスパイで、彼女に執着を持つのがワンという関係性になっている
舞台は戦争時だが、描かれているのはメロドラマのような感じになっていて、時代性を含んで緊張感の漂う内容になっていた
冒頭の逆列シークエンスの意図が徐々に判明し、それぞれの関係性が炙り出されていくのだが、複雑に見えてもわかりにくいことはない
画面いっぱいに年代や場所が登場するのだが、前の方の席だと何が書いてあるのかを認識するのに時間がかかってしまう
エンドロールには演者がたくさん列記されるのだが、役名が書かれていないので、上海の親子と日本兵以外を判別するのは不可能に近い
おそらく登場順になっていると思うが、ググっても画像が出てこない演者ばかりなので、調べるのは無理ではないかと思った
一応は史実ベースになっているものの、ドラマはフィクションで、最終的には女絡みの寸劇になっているので、そこをどう評価するかだろうか
女性陣がとにかく美しいのだが、何のためにそこにいるのかなどわからない部分が多く、見えそうで見えない関係性もある
パンフレットに載っている相関図以上に複雑になっていて、A4用紙でまとまるのかは謎のように思えた
いずれにせよ、この時代の満州の動きは知っておかないと意味不明で、汪兆銘と蒋介石などの政治方針、政権の移り変わりによって何が起きているかなどは、最低限の素養のように思える
このあたりは、学校の勉強だけでは足りない部分がある(中国側の教育も絡んでくる)ので、そのあたりを感覚的に掴めないと厳しいかもしれない
とは言え、基本は女をめぐるいざこざみたいなところで各人の行動があるので、その視点で見るならばOKなのかな、と感じた
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