劇場公開日 2024年5月3日

「フランス菓子が美味しそうだった」無名 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0フランス菓子が美味しそうだった

2024年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

日本では、なかなか映画化することが難しい、近現代の歴史映画。日中(抗日)戦争の間、秘密情報部員たちの上海を中心にした抗争を描く。
中国側から日中戦争を描いた映画の中では、私は広東語の「寒い夜(1955年)」が一番好きだ。あの映画で、都市部では戦前から日本以上に都市文化が成立していたことを知った。
この映画では、日本軍はよく描かれていたと言えるのではないか。太平洋戦争の勃発の日時も正確だった。中国東北部(満州)こそが生命線との(おそらく石原莞爾の)考え方も再三、強調されていた。また、昭和天皇はともかくとして、東條首相よりも近衛首相に厳しかった。それも一つの見識ではないかと思う。
ただ、中国側の描き方についてはどうかと思った。蒋介石の国民党(重慶)政府、傀儡と言われる汪兆銘の南京政権に関してはさんざんだった。
それ以上に、中国共産党の地盤が地方の農村にあることと関係するのだろうが(都市部は国民党の地盤)、口では知識層と労働者を大事にすると言いながら、全くと言っていいほど、出てこなかった。その後のやり方を見ても、知識層なんて本当は問題にしていなかったのだろう。
描き方も疑問、前に出てきた情景が何度もカットバックされる。テンス(時制)を崩して、その時の情景だけに集中させたいのだろうが、理由は明らか。ストーリーに明らかな欠陥がある。
それにしても、上海のフランス租界の洋菓子店で出てきたミルフィーユやアーモンド・ペストリー(多分)が魅力的だった。日本では、せいぜい「シベリア」の頃。バランスを取るためか、日本海軍では食事にフレンチが出るとかいうが、周知のように日本海軍は英国式で、せいぜい週に一度のカレーがご馳走だったはずだけど。

詠み人知らず
トミーさんのコメント
2024年5月27日

航空兵が話していたフランス料理云々は冗談ですよね? ミルフィーユとか酔っぱらいエビとか変に目に付く食べ物でした。

トミー