「ちょっと笑えたお客さん」無名 雨雲模様さんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと笑えたお客さん
映画鑑賞後に多分ワン・イーボーのファンかな若い女性だったんですけど、劇中に日本兵が食事中に"俺はある有名人に似ているんだぞ"といって昭和天皇の顔真似をするシーンがあるのですが、昭和天皇を知らない世代からしたら…。
加トちゃんペにしか見えないようで(笑)
いやいや加トちゃんはもっと後に生まれてますよってただ苦笑いするしかありません(汗)
正直、日本語のセリフにも字幕つけるべきじゃないかなあって、ラストのワン・イーボーの日本語のセリフは"One more please!"レベルですよ。
内容は中華民国時代の上海事変が起きた後における政治思想の違うスパイの攻防が繰り広げられるというのがざっとした紹介になる。共産主義を支持する立場が今の中華人民共和国に、立場を追われた民主主義の支持層が台湾に逃れた、今作品は共産主義vs民主主義を題材にしています。
当時民主主義なのか共産主義なのか二分割していた中華民国国内において、どちらに賛同するかによって敵なのか味方なのか、渾沌としていた時代においてスパイ同士の愛情や友情なんて皆無に等しく信用し過ぎない者が勝つってぐらい心理戦による騙し合いの印象が強いです。
ラストの渡部をイエが殺すシーンはまさにそう言えるシーンではないでしょうか。
信用したら負け、騙した側が勝つ。
中でも印象的だったのが、イエが恋人で同じスパイのファンに結婚を申出たがあっさりとフラれるも、その後ファンはイエの同僚のスパイに殺されてしまうのだが、あのシーンだけはスパイとしてよりも人間味のほうが溢れているシーンで、イエが自我を失った唯一のシーンでもあるので非常にドラマチックだなあと思いました。
そのあたりの心理的な駆け引きが個人的には面白かったです。