劇場公開日 2024年5月3日

「中国香港映画の美しさを引き継ぐノワール」無名 みいみいさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0中国香港映画の美しさを引き継ぐノワール

2024年5月4日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

チャン・イーモウやウォン・カーウァイのような中国香港映画の色彩や構図の美しさのDNAを引き継ぎながら『HERO』や『グランド・マスター』以上に肉弾戦を繰り広げるトニー・レオンとワン・イーボーの流血しながらのスタントなしの対決シーンは、匂い立つ色気すら感じられ必見です。ワン・イーボーは優れたダンサーでもあるそうで、アクションシーンの体の動きの美しさは納得です。
このシーンは是非劇場で味わっていただきたいものでした。

ストーリーは時系列がバラバラで判りにくいですが、どちらかと言うと最初に散りばめられた暗喩を提示される感じがしました。要はフラグが立つ感じ。最後まで見るとフラグが回収されスッキリしますが、物語の全体を理解できるわけではありません。

理解する為には2回以上は必見ですが、それがこの映画の良さでもあると思います。登場人物が相対する時には疑心暗鬼や腹の探り合いなど表情で語ります。スパイ映画なので。
初見は表情の意味は当然判らないのですが、2度目には理解をもって名優揃いの演技を堪能できます。名優揃いなので表情の訳を知った上で見るのもまた唸らされるところもあり面白く感じました。

ワン・イーボーはこの作品が映画デビュー作だそうですが、トニー・レオンと共に主役を張るに値する優れた演者と感じました。彼はトニー・レオンやレスリー・チャンのようなアジアを代表するスターになるポテンシャルがあると感じます。それもまた、この映画を劇場で見るべき理由の一つだと思います。

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みいみい