劇場公開日 2024年4月12日

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「ずっと「え?なに?この人は敵?味方?」という不安が物語を支配する。」貴公子 えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ずっと「え?なに?この人は敵?味方?」という不安が物語を支配する。

2024年5月3日
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鑑賞方法:映画館

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フィリピンで病気の母のために地下格闘で日銭を稼ぐ青年マルコは、韓国人の父の行方を知らない。そんなある日、彼の前に“父の使い”を名乗る男が現れ、マルコは韓国に向かうことに。飛行機の中でマルコが出会ったのは自らを“友達チング”と呼ぶ謎の男“貴公子”。不気味に笑う貴公子に恐怖を感じ逃げるマルコだったが、彼の執拗な追跡と狂暴ぶりに徐々に追い詰められていく…(公式サイトより)。

韓国ノワールの金字塔として名高い「新しき世界」のパク・フンジョン監督最新作。わけが分からない騒動に巻き込まれるマルコの視点で描かれ、ずっと「え?なに?この人は敵?味方?」という不安が物語を支配する。

韓国ノワールならではのカーチェイスがメルセデスやマセラティなど超高級車だらけで痺れるし(兄一味はベントレーかロールスロイスだと思ったが特定できなかった)、鉈や斧など、刃物系の接近殺戮合戦に加え、比較的銃撃戦のシーンが多かったり、凄惨なシーンが少なかったりするあたりに、新しい韓国ノワールの息吹を感じさせて○。

貴公子のユーモラスな言動と美しい笑顔が狂気じみていて怖いし、マルコが1980倍のオーディションで選ばれた新人というのも素敵(よって、そんなに科白がないのね)だし、サングラスで紫煙を燻らせマセラティを自在に操る美しい女優さんはコ・アラという名前なのね。

えすけん