「スタイリッシュとユーモアさ!キム・ソンホの新たな一面」貴公子 natsukiさんの映画レビュー(感想・評価)
スタイリッシュとユーモアさ!キム・ソンホの新たな一面
遅ればせながらキム・ソンホ主演のNETFLIXドラマ「海街チャチャチャ」にドはまり中なので、『貴公子』も観ておきたい!と思い鑑賞。
キム・ソンホのファンは言うまでもなく必見だし、韓国ノワール、アクション好きも観て損はないのでは。
とにかくキム・ソンホがこんなにアクションができる人だと思わなかった。
無駄がなくてスタイリッシュ、いちいち画が良い、遠くからのカットやぼやけたカットでも足の長い長身のすらっとした彼のスタイルが映える。
基本の武器はサイレンサー銃?だけど、スパナやら花瓶やらナイフやら注射器やらショットガンやら、その場にあるものを活用しながら目が回るようなアクションを繰り出すところは、恰好いいだけじゃなく泥臭くて好き。
そして今回のキャスティングの妙が一番光ったのは、キム・ソンホの不気味な笑顔!
これが最高!
もちろん俳優兼モデルなだけあってそもそもが恰好いいし、えくぼのある甘いフェイスなんだけれど、ちゃんと見ると目が笑っていないというか、どことなく裏がある感じが今回の貴公子の役にハマりにハマっている。
冗談や軽口を叩いたり口笛を吹いたりと飄々とした姿を見せて、顔をあわせれば大体笑顔。でも、何をしでかすか分からない、味方か敵か分からない、目的も分からない、何を考えているか分からない、やばいやつ。
あと、英語の発音をけなされたり暴言を浴びさせられた時の反応や、少し失敗したときの恥ずかしそうな言い訳する感じとかがユーモアがあって好きだった。
ほんとに…貴公子を演じられるのはキム・ソンホ以外いないのではないか、と思わせられる。
これからもどんどんアクションやってほしい。待ってます!!!
主人公が追われるに追われるストーリーなので飽きずに観られるし、韓国らしい悪役のエグさも健在でそのあたりも満足。
一点、基本舞台は韓国・郊外の道路や森や人里から離れたでかい屋敷なので、画の広さや伸び伸びとしたアクションやカーチェイスが観れるのはいいが、もっとソウルなどの都会で好き放題やるのも観たかったなと…。
というかキム・ソンホの人混み/街中でのアクションを観たかった気持ち。
また、キム・ソンホ以外のキャスティングやキャラも良い。
追われるマルコを演じたカン・テジュの母親思いの優しく真っすぐでしぶとい感じや、キム・ガンウ演じる理事長息子の金持ちくそ野郎感とか。
特に理事長息子のちゃんと自分で手を下そうとするところとか好きよ、悪役財閥にありがちな部下に丸投げ系じゃなくて。
部下たちの統率とれた感じも良かったし。
逆にちょっと気になったのは女性弁護士を演じたAraさん。可愛すぎて今回の映画のトーンやキャラ設定には合わない印象を受けてしまった。。
車でマルコに銃を向けるシーンなど、運転席に埋もれてしまっている感じ?なんだか子どもみたいで急激に現実感が失せてノイズになってしまった。
彼女の存在がいい意味でポップさや華を与えているのかもしれないけど。
あとマルコが逃げるだけじゃなく、反撃するところや活躍するところももっと見たかったな。貴公子が唯一油断したところを助けるとかね。
最後の貴公子の正体や目的はストレートな方向で、そっちに収まるのね、とはちょっと思ったけど、ここまで来て最後までマルコが不幸になるのは見たくなかったので、これで良かったと思うし、純粋に貴公子の存在を消化できて個人的に鑑賞後感も◎
シリーズ化とかは合わないタイプだとは思うけど、まだまだ貴公子観たいよ~~
(ご本人のインタビューでも話されていたターミネーターみたいな走り方、最高でした。それで追ってくるのほんと怖えよ)