「洋画好き必見のオマージュが満載、でも最強なのはテイラー・スイフトなんだよねえ」フォールガイ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
洋画好き必見のオマージュが満載、でも最強なのはテイラー・スイフトなんだよねえ
2024.8.16 字幕 イオンシネマ久御山
2024年のアメリカ映画(127分、G)
1980年代のテレビシリーズのリブート作品
陰謀に巻き込まれるスタントマンを描いたアクション&ラブコメ映画
監督はデビッド・リーチ
脚本はグレン・ピアーズ
原題の『The Fall Guy』は「身代わり人」「主に落下を主体としたスタントを行う人」という意味
物語の舞台はアメリカのニューヨーク
スタントマンのコルト・シーバース(ライアン・ゴズリング)は、主演のトム・ライダー(アーロン・テイラー=ジョンソン)のダメ出しによって、再度落下シーンを撮影することになった
NASAの宇宙服を着て背中から落ちるスタントだったが、そこで事故が起きてしまう
背中を強打したコルトは映画業界から去り、最果てにてホテルの駐車係をするまでに落ちぶれていた
事故から16ヶ月経ったある日のこと、映画プロデューサーのゲイル・メイヤー(ハンナ・ワディンガム)からコルトに一本の電話が入った
ゲイルはコルトの元恋人のジョディ(エミリー・ブラント)の初映画監督作品のスタントマンを探していると言う
そこでコルトはオーストラリアのシドニーに向かい、彼女の作品「メタルストローム」の主演のトムのスタントマンをすることになった
だが、ジョディはそのことを知らされておらず、16ヶ月ぶりの再会に気まずい空気が流れてしまう
彼女の作品は「姿を消した男とそれを待つ女」の物語で、それは2人の関係をなぞらえるようなスペースオペラだった
撮影は順調に進むものの、コルトは自分の起用に疑問を持っていた
そこでゲイルに問い質すと、「トムが行方不明」であると言い、「良からぬ連中と付き合い始めている」と訴える
コートは「48時間以内にトムを探し出さないと映画が頓挫する可能性がある」と言われ、仕方なくジョディのキャリアのためにトムを探すことになったのである
物語は基本的に2人のラブコメで、ジョディの知らないところで陰謀が巻き起こり、それに巻き込まれるコルトが描かれていく
薬の売人ドゥーン(Matuse)から得た情報を皮切りに胡散臭い連中とのいざこざを潜り抜けたコルトだったが、彼の部屋にて「死体」を見つけてしまう
それはトムの死体だと思われたが、謎を追ううちにその男はトムのスタントマンのヘンリー・ヘレラ(Justin Eaton)だったことがわかる
スタントマンのヘンリーの態度に激怒したコルトが意図せずに彼を殺めてしまうのだが、それを隠蔽するためにゲイルが手を回していた
ゲイルはヘンリー殺しをコルトに押し付けて、そのまま自殺をしたように見せかけようと考えていたのである
映画には様々な仕掛けが施されていて、わかりやすいのは「名作セリフ当てクイズ」なる会話劇だろう
かなり有名どころのセリフを引用しているので、知っている人ならクスッとしてしまう
また、ポストクレジット後の映像では、テレビシリーズ『俺たち賞金稼ぎ! フォールガイ』の主演のリー・メジャー&ヘザー・トーマスがとある役で出演している
エンドロールではメイキングも見られるし、楽曲の引用も楽しいものがあった
これぞエンタメという作品になっているので、洋画好きならたまらない映画になっているのではないだろうか
いずれにせよ、小ネタを拾うのも面白いものの、虚構の中にリアルを混ぜ込むという主題が面白い形で再現されていた
前半の売人のセリフが主題になっていて、それが紆余曲折を経て、撮影中に自白させるという報復になっているのが面白い
トップスターの奢りとスタントマンとの距離感という悲哀も鮮明になっていて、そこからの逆転劇というのも爽快なものになっている
主役がスタントマンなのでスタントシーンの裏側を見られるのだが、最新のテクノロジーなどが登場するのも興味深い
コルトの顔をCGで組み合わせるシーンの粗さはギャグになっていたが、あのようなフェイク映像で騙される人もいるのが現代的だろう
思い込みと感情が視野を曇らせるのだが、そのからくりの先にあるものを見てこそ、物事の本質が見えてくるのではないだろうか