「誘惑者レゼ -ユング心理学的考察-」チェンソーマン レゼ篇 ちとせさんの映画レビュー(感想・評価)
誘惑者レゼ -ユング心理学的考察-
レゼ編、最高やん。
「鬼滅」無限城編1の3倍凄いと思う。
原作が、ただのラノベの挿絵に過ぎないかのように、行間を、しかも原作ファンの期待の数倍のクオリティで埋め尽くしたアニメスタッフの力量は恐るべきものがある。
原作付きアニメの理想の姿がここにある。特にレゼのファム・ファタールぶりは、完全に想像を絶する域。
私は彼女に過去の女性アニメキャラNo.1の称号を与えたい。
封切り3か月にして未だに客席満員なのもうなづける。
それに応えるかのように、米津はほんとうにキレっキレの曲を提供した。
素晴らしいというしかない。
2人の出会いと契り、別れを、街中ぶっ壊すスケールで描いただけとも言えるし、レゼ登場してしばらくで、ストーリー展開だいだい読めたけど。
セックスとは、合意の上での「暴力」。
彼女とホテルに行く前に観れば、最高にベッドで燃えそう。
スカーレットさえなければ、実写含めて今年の映画、文句なくNo.1。
天使の悪魔が、最高にいい役回り。
これこそ、ユングが「変容の象徴」で書いた「夜の航海」のストーリー。
古代エジプトにおいて、太陽神は日没後海の底から海底の空洞を抜けて反対側に戻って再び海から天に登るとされていた。
日没後、プールでの逢瀬(言うまでもなく、レゼがデンジの童貞を卒業させる手ほどきをしている)のあと、すべては気絶したデンジの悪夢の中の出来事とも言える。
だから、朝、2人は海辺で目覚める。
ユングによれば、アニマには4つの位階がある。
一番下が娼婦(レゼ)、上から2番めがグレートマザーであり、老婆の姿をしている!!
アクションの残酷さの一方で、画面の隅々まで繊細で、実写的で、無意味な動きまるでなし。伏線のあまりの巧みさ。
完璧すぎるカメラアングル。
「秒速5センチメートル」と「果てしなきスカーレット」を足して2で割ると、こういう作品ができる(笑)
劇中で、デンジの本来の片思いの相手だった、リーダー、マキマが、
「映画10本見ても感動するのは1本くらいね」
と語っているが、私は「スカーレット」に続き、2本もそういう作品に巡り合えた幸せを感じる。
日本のアニメの未来は明るいです。もう。
映画館、私が最後のひとりの満席でしたが、この映画に人気が出るのは当然だし、そういう観客たちがいる限り、日本の未来は捨てたものではないです。
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