「皆が見たかったチェンソーマン」チェンソーマン レゼ篇 のりよりすしさんの映画レビュー(感想・評価)
皆が見たかったチェンソーマン
期待されたアニメ版が残念な結果に終わったチェンソーマンであるが、劇場版はまさに皆が見たかったチェンソーマンである。
デンジとレゼの出会いと逢瀬が青春かつ豊かに、不穏なテイストで描かれ、そして最後は悲恋に終わる。
結末を知っていて見に行く人がほとんどだろうが、知っていてもなお、心に穴が空く。デンジが金をすべて下ろし、花束を買って二道で待ち続けるのをみると、まさに虚無になってしまう。
別作品だが、ブラックラグーンの「そうはならなかった。ならなかったんだよロック」という言葉を思い返してしまう。だれしもが期待した幸せな結末というものは、チェンソーマンには起こらないのだと。
映画そのものの完成度は極めて高い。作画、絵づくり、構図、劇伴、演技、色使い、どれをとっても素晴らしい。
特に色使いはそれだけでチェンソーマンらしいというか、不穏な世界観と退廃が描けている。特に、謎の男の部分。洗面台のシーンはまるでフランス映画やホアキン・フェニックスのジョーカーを感じさせる。レゼを追いかけ回すシーンもそうだ。
戦闘シーンも構図、色使い、動き、どれをとっても文句ない。武器人間の戦闘の激しさというものが(それとレゼの高い実力)というものがよくわかるシーンである。
上田麗奈(敬称略)の演技力もそうだ。元々評判の高い声優さんだが、ここ最近で一番の演技と感じる。レゼ、ボム、そして「ジェーン・ドゥ」の魅力を最大限に高め、喪失感と没入感を生んでいるのはこの作品を何度も見たくなる一因の一つだ。
また他作品になるが、言ってしまえば「鬼滅の刃 無限列車編」のようなもので、エピソードとしての完成度の高さと声優さんの熱量、そして映画としての絵づくり、構図などがバチッと噛み合ったのだろうと思う。
忘れてはいけないのがオープニングとエンディング。米津玄師と宇多田ヒカルの二大アーティストのコラボで書かれたエンディング曲、「JANE DOE」の効果は凄まじい。聴いた瞬間にCD購入を決定したくらいの効果があった。
総じて、ここ最近のアニメ映画で一番の完成度だと思う。
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