「田舎のネズミが好き」チェンソーマン レゼ篇 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
田舎のネズミが好き
空一面の花火のようにバッと華やかでグッと切な(刹那)い"あの頃、君を追いかけた(feat.シャークネード)"…夏の終わりに思いを馳せる"ひと夏の恋"的甘酸っぱくホロ苦いエモキュン爆裂"青春の一頁"を束の間駆け抜けて、出し惜しみゼロの濃密フルスロットルお祭り映画!
都会のネズミたちの中で、行き場なく場違いで"田舎のネズミ"みたいな2人が出逢ったら。共鳴する魂と甘酸っぱい初恋のピュアネスが、琴線に触れる。
頬を赤らめたレゼの登場シーン全部にザワザワドキドキしてしまう前半戦。…からの、欲求に素直でバカ正直なデンジにも"心"があると、作品内での成長がよくって、デンジのことちょっと好きになれた思春期="(本来無いはずの)青春"の1ページ。人殺しの男女逃避行モノにもなり得るという(ex.『バッドランズ/地獄の逃避行』『トゥルー・ロマンス』『ナチュラル・ボーン・キラーズ』)
上田麗奈さんの名演!頬を赤らめながら心を奪うレゼと、心臓を奪うボム。そして、そのどちらでもない第三(素顔)の"彼女"…。彼女もまた実験台"どこにも行けないモルモット"として普通の子供時代を奪われ、青春時代が失われた被害者。あぁ、考えると切ないな。こんなところでもロシア言及?"なんで初めて会ったときに殺さなかったんだろう"?
「私はデンジくんと戦うのに時間をかけすぎた」ファーストバトルがラストバトル?あまりにド派手アクションなバトルシーンが続きすぎるとそれがもはや当たり前・通常運転になっていって、そこにカタルシスは薄まり無感覚になっていくという弊害みたいなものを本作では個人的に感じてしまった。中盤に"ドラマ"が無く見せ場に次ぐ見せ場という。終わってみればそれすらも戯れ合いみたいなものと思えたけど。
子供時代に見た『学校の怪談』(や『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』)みたいなひと夏の儚い恋のギュンと胸しめつけられる余韻。それを本作に求めすぎると100%機能しているかは ― 上述したような延々と続くアクションシークエンスからも ― 見ている途中は分からなかったけど、流石に最後はエモいし、何より彼女のことが(恋愛感情でなく人として)大好きになってしまう切なさ(刹那さ)。本当に時間を共有したような感覚にすらなったかも。
やっぱりMAPPAのアニメーションはスクリーン映えするクオリティ。牛尾憲輔による音楽もいいし、前半のデレデレパートから途中ホラー調にもなって、そしてあのキュンのピークからの衝撃展開の流れも効果的!花江夏樹がノリノリに演じるビームは、「ワンピース」で言えばバルトロメオ枠?うるさい2人のまさかすぎる移動方法には、爆笑してしまったサメ映画!一方で他のバディ2組もいい。特に、アキ ✕ 天使の悪魔が、本当の意味でバディになるまで。
ねぇ、都会はいいとこかい?
P.S. 初めて舞台挨拶中継回というものを観に行ったかも。声優に詳しくないけど、登壇した声優が美男美女ばっかりでビックリした。声優も演じているキャラクターにそれぞれ似ている気がした。上の世代にあたるであろう内田夕夜さんがおもしろく場を要所要所で締めてくれていた。
上田麗奈さんが、レゼの"第三の人格"について語りながら、照明の加減で上田麗奈さんの影が後ろのスクリーンに2つ映っていて、上田麗奈さん自身が3つに見えたのが話している内容とマッチして印象的だった(偶然の産物だけど奇跡的!!)。原作者の描き下ろしイラストが制服姿なのも、確かに最高すぎた!
あと、今回登壇していたわけじゃないけど昨日観た同日公開『ひゃくえむ。』の冒頭に続いて、今回は終盤に台詞があるツダケン。"ツダケンで始まり、終われる=締めれる"というモーガン・フリーマンみたいな真理を勝手に感じた(ex.『ゴールデンカムイ』『ひゃくえむ。』)。
勝手に関連作品『シャークネード』『バッドランズ/地獄の逃避行』『トゥルー・ロマンス』『ナチュラル・ボーン・キラーズ』『学校の怪談』『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』『あの頃、君を追いかけた』
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