劇場公開日 2024年4月5日

「フォン・エリック一家モチーフの物語」アイアンクロー ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フォン・エリック一家モチーフの物語

2024年5月28日
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鑑賞方法:その他

であることをちゃんと最初に断っているので、その前提は忘れちゃいかんね。

昭和のプロレス最盛期にイケメン爽やか兄弟レスラーとして人気を博したケビン&ケリー・フォン・エリックを始めとした、伝説の鉄の爪ことフリッツ・フォン・エリックと妻と、5人の息子たちの物語。

ちょっと当時の背景を。
父親のフリッツは、日本プロレス界にも度々参戦してはその必殺技アイアン・クローを武器に悪役として大人気だったアメリカマット界でも欠くことのできない存在で、一線を退いてからは興行主としても名を馳せた。
当時アメリカのプロレス界の中心とも言えるテキサスで人気選手を多数抱え、その中に自身の息子たちも含まれていた。

なので、映画に出てきたようなうらぶれた感じの会場ではなくて、もっと派手で規模の大きい興行を打っていたけど、まあ呪われたフォン・エリック一家がテーマだから、派手さを抑えた感じの演出になったのかもしれはない。

私が鮮明に記憶にあるのは息子達、特に時折来日していたケビンとケリーのフォン・エリックスがビジュアル的にもカッコよくて、父とは違って外国人レスラーとしては数少ないベビーフェイス、いわゆる善玉ポジションだった。同じく兄弟レスラーで人気だった、ザ・ファンクスも同じくベビーフェイスだった。

ここの一家はみんな不幸が付きまとうというか、実際に映画の中にあるように二人が自殺、一人が病死しており、さらに映画には出てきていない末っ子のクリスもプロレスラーとしてデビューしたものの、数年後に自殺をしているという呪われっぷり。

産まれた頃からひたすらプロレスという、スポーツでありながらショービジネスの側面もあるこの特殊な世界で生まれ育ち、外の世界をあまり知らずに父親の興行戦略の一部としてどんどんスターダムを駆け上がっていくことで、自信が追いつかなくなる部分があったのかもしれない。そう言う意味では、フォン・エリック一家ならではの呪いだっだのだろう。

物語のアウトラインはほぼ史実の通りで、彼らが華やかに活躍した部分の表現は控えめ、ケビンもケリーも紛れもないアメリカプロレスリングの中心にいた選手。そこはもう少し描いてあげても良かったように思う。

この映画の見どころの一つが、そこに敵役や仲間として出てくる懐かしいレスラー達で、本当によく頑張って似せてるなーと感心するし、ブロディやテリー・ゴディが出てきた時は懐かしさが溢れた。ハリー・レイスなんて日本ではやられ役が多かったけどアメリカでは最強の一人だったなぁとか、リック・フレアーはもう出てくるだけでムカついたなとか、当時が鮮明に思い出された。
あの頃のプロレスは分かりやすく不公平でサイコーだった。

そしてフォン・エリック兄弟、申し訳ないけどザック・エフロンが一番ハマってなかったかなぁ。デビットを演じていた役者さんの方がイメージが近い。
バキバキに鍛え上げて受け身も恐らくかなり練習したのだと思うが、ケビンというよりブルーノ・サンマルチノに近い造形になってた。

物語としてはかなりデフォルメしていたけど、フォン・エリック一家をモチーフに当時のアメリカンプロレスの熱狂が垣間見れる作品だった。

書き終わってから思い出した!父ケビンに寄り添った心優しい幼い兄弟、二人とも日本でプロレスデビューしております。
お兄ちゃんがロス、弟がマーシャル。二人とも揃って、フォン・エリックを名乗ってます…。

ハルクマール
おじゃるさんのコメント
2024年5月30日

共感&コメントありがとうございます。
長らくプロレスを観てなかったので、ケビンの息子たちのことは全く知りませんでした。
後日談を教えていただき、ありがとうございます。なんか、ちょっとホッとしました。

おじゃる
ゆ~きちさんのコメント
2024年5月29日

共感ありがとうございました。

そんなにお詳しいんですね。確かにザックだけゴリラっぽかったですwww

ゆ~きち