「「救い」か「呪い」か」アイアンクロー キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
「救い」か「呪い」か
初代タイガーマスク辺りで始まったプロレスブームを通ってきた我々には「フリッツ・フォン・エリック」の「アイアンクロー」という技はかなり手軽なプロレス技として馴染みがあったし、その後彼の家族もレスラーで、アイアンクローを得意技にしているという話を聞いたことはあった。
ただ、こんな凄絶な物語があったとは。
「家族」という唯一の心の拠り所が、実はすべての因果のもとになるというお話。
誰から見ても、あの父(フリッツ・フォン・エリック)こそが「エリック家の呪い」であり、自分の無念とプライドの為に子供達の人生を奪ったことは明らかなのに、彼ら兄弟の誰一人として、父を恨んではいない。
『家族』という、自ら選んだわけでもないのに絶対的に尊重されるコミュニティ。
そこには「安らぎ」や「平穏」がある一方で非常に強固な「呪縛」がある。
敬虔なクリスチャンである彼らには、それがより当然の繋がりであったことが結果として皮肉なことであったのかも知れない。
兄弟の中でもケリーは、「権力」を象徴する(父のコレクションでもあった)プレゼントで揶揄し、その分岐点ともなったコインをずっと持っていたのは、知らず知らずそんな生き方を強要されていたことに不満を持っていたからだろう。
事実を元にしたお話なので、あまり脚色しろというのも野暮な話だが、展開し始めるのが結構後半なので、前半は多少間延びしてる感じはする。
あと、失礼を承知で言えば、主人公のケヴィンがどうしても「村西とおる」に見えてしょうがなかった。
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