「パパをそんなに責めないで。毒親じゃないヨ。」アイアンクロー マサヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
パパをそんなに責めないで。毒親じゃないヨ。
ケリーが銃で自殺したとき、ケビンは 「(自殺しないように) 何で気を付けてなかった」と言ってパパを非難する。
おいおい、そのセリフは自殺した人の家族や親しい人、そのとき身近にいた人に言わないほうがいいセリフらしいぞ。そんな事は他から言われんでも、残された家族や友人は、「何で気付いてあげられなかったんだ?」、「何で救ってあげられなかったんだ?」とか言って自分を責めて悩むらしいゾ。
自殺しないように、メシもトイレも睡眠も取らず24時間見張ってられんよね (3交代シフト制勤務という手もあるが ^^ )。
自殺する原因が誰かの言動のことはあるが、自殺を止められなかったのは誰のせいでもないと思う。
この映画を見て、パパのせいで息子達は不幸になったとパパを非難するのは、家庭内暴力で暴れてる子供が、「お前らの育て方のせいでこうなった」と親を責めるのと同じではないかと思う。パパとママのせいじゃない。
あと21世紀にもなって「呪い」ってなんだ呪いって? チャンチャラ可笑しい。
「御札でも貼っとけ~」である。
◎ 結論
この映画を見て、呪いだ、強権的だの言うより、息子達が思いやりでパパの夢を叶えた映画と言うほうが良かね?
ー 終わり ー (/--)/
僕がもしパパかママかケビンの立場だったら、自分の家族や友人に起こった悲しい出来事を「呪われた何タラ」とかいって、ゴシップのネタにしてほしくない。
人の口に戸は立てられないから広まってしまうのは仕方ない。だけど映画で改めて家族の不幸を呪いとセットで取り上げないでほしいと思う。
だいたい、もう21世紀なのに「呪い」とかチャンチャラお菓子食って笑っちまうヨ。
あるいは、まだ21世紀だから「呪い」なんてものが有ってもいいが、話題で取り上げて良いのは、200年ぐらい昔の自分のご先祖様か、自分の死語200年先なら良いかなということだ。
映画ではパパやママが 「兄弟で解決しなさい」と言って冷たく突き放し、息子たちの悩みに寄り添ってくれない親だったという描写がなされている。
これは映画でのフィクションなのか、生き残ったケビンのつらかった思い出なのか分からない。
だけどアイアンクロー家の長い営みの時間の、ほんの一部分を取り出してダメ親に認定されても親も困ってしまう。常に子供に寄り添った親であることが不可能なのは、親になったケビンなら分かると思う。親にならなくても25才ぐらいまでには親も完璧な人間じゃないと気付くような気がするが、僕は昔のことすぎて全く覚えてない。
もしかしたら「兄弟で解決しなさい」は、自律心を付けようという親の教育方針だったのかもしれない。
僕はパパが息子達にプロレスラーになるように強要したとは思わなかった。パパは自分の夢を語っただけだ。
パパは息子に有無を言わせない強権的父親だったろうか?世界チャンピオンになれなかった自分の夢を果たすために、息子達にプロレスラーを強制しただろうか?。僕の答えはどちらもNOだ。
自分の言うことを聞かせようと、叩いたり、ご飯を食べさせなかったりしていない。四男マイクから音楽を無理やり取り上げたりしていない。
国のボイコットでモスクワ五輪に出れなかった息子にプロレスラーという新しい目標を持たせた。
コイントスで決めたのは、兄弟2人の間に遺恨を残さないためだ。2人が実戦対決して決めても遺恨が残る。恨むならオレを恨めということだ。
だけど映画は、パパが毒親だと観客が思うように、パパのセリフや話の展開が作られてると思った。
息子達がプロレスラーになったのは、成熟して良くできた子供達が、思いやりでパパの夢を叶えてあげようと思ったからだと思う。熱く夢を語り一生懸命なパパに、子供ながらに、ほだされてしまったのだ
「ああ、もうパパは自分の夢のためにやってるだけなんだけど、あんなに一所懸命に僕をプロレスラーにしようと頑張ってくれている。期待に応えないといけない。パパがガッカリしたら可哀想だ。もうホントどっちが大人でどっちが子供か分からないよ。でも僕、パパのために頑張るよ」
これは果たしてマインドコントロールによる洗脳支配に当たるのだろうか?
パパから受け継いだ会社を経営不振でケビンが売ろうとする。裏から手を回して会社が売れないように買い手を脅す卑怯なパパ。だけど自分が手塩にかけて育てた会社が売られてしまわないようにジタバタするのって、そんなに責められることだろうか。未練がましいけど、そんなに責めないでおくれよ。
◎ 結論
この映画を見て、呪いだ、強権的だの言うより、息子達が思いやりでパパの夢を叶えた映画と言うほうが良かね?
「オレは息子達4人全員をプロレスラーにするぞ~」。
息子の試合後、リングでマイク片手に熱く吠える父であった。やれやれ。
スタン・ハンセンのウエスタン・ラリアットは最強。