「フリッツの本名はジャック・アドキッソン(5/6 追記)」アイアンクロー Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
フリッツの本名はジャック・アドキッソン(5/6 追記)
私は、映画ファンだが、プロレスファンでもある。いや、であった、と言うべきか。
最後に馬場と猪木がタッグを組んだプロレスオールスター戦も日本武道館で生観戦している。
ロサンゼルス・オリンピックオーディトリアムでフリッツ・フォン・エリックとジャイアント馬場が対戦した(日本でも放送された)。その時の現地リングアナのコールはビッグ・ショーヘイ・ババであった。そうか、209cmはジャイアントじやないんだ。220cmを超えるアンドレ・ザ・ジャイアントがいるし、馬場と同じ体格のアーニー・ラッドもいた。アーニー・ラッドはロッキー・ジョンソンと組んで来日し、馬場・猪木組と対戦した。ドロップキックの名手ロッキー・ジョンソンは、あのドウェイン・ジョンソンの父親である。
フリッツ・フォン・エリックも何度も来日して馬場、猪木と対戦した。彼の必殺技は「鉄の爪」アイアンクローであった。
そしてエリックの子供たちもプロレスラーとなり来日したが、デビッドは日本で転戦中に亡くなった。私はリアルタイムでその記事を東スポで読んだ世代である。
閑話休題。
そのエリック4兄弟の話である。
TOHOシネマズ池袋で「アイアンクロー」を。
父親が著名なプロレスラー、フリッツ・フォン・エリック。必殺技アイアンクローで一世を風靡した。その息子達は、兄弟全員がプロレスラーになった。そしてアイアンクローを使った。(ここが明確に描かれていないので、アイアンクローと言うタイトルが今一つ響かない)
ケビンは長男が5歳で亡くなったため、二男だが兄弟の面倒をみながら体を鍛えてプロレスラーになる。
デビッドは恵まれた体を生かしてプロレスラーになる。(Wikiによれば201cm)
ケリーは陸上競技(円盤投げ)をやっていたが、アメリカがオリンピックをボイコットした事から目標を失い、父親の勧めでプロレスラーになる。
マイケルは音楽の道に進みたかったが、兄弟と組んで戦うためにプロレスラーになる。
父フリッツは、自分が取れなかったNWA世界ヘビー級チャンピオンベルト奪取を子供たちに託す。
しかし、プロレスラーになった4人は様々な不幸に見舞われて、呪われた家族と呼ばれるようになる。
泣いた、いや、泣けた。
デビッドが来日した時もテンガロンハットを被っていたし、ケビンは裸足でファイトしていたっけ。東京スポーツのデビッド死去のニュースは衝撃だった。試合ではなくホテルで亡くなったのだ。リアルタイムで記事を読んだが、あれからもう40年も経ったのか。寅さんじゃあないけれど、俺も歳を取るわけだ。
「オッペンハイマー」も俳優陣が凄く本人に似ていたけれど(特にアインシュタインとルイス・シュトラウス、誰もアインシュタインが戦メリのMrローレンスだと気づかないレベルだ)、本作でもブルーザー・ブロディ、ハリー・レイス、リック・フレアー等はオールドファンでも似ている思う程である。ザック・エフロンの肉体改造も凄いが、むしろ風貌はケビンに近くはなかったかな。
残念だったのは、アイアンクローの凄さがあまり感じられなかった事。リック・フレアーとのタイトル戦でアイアンクローをかけたまま反則負けになり、控室に来たフレアーの金髪に血がついていたが、あれがアイアンクローで出血したものだという事が判らない。映画の途中で握力を鍛えるために電話帳を裂いているシーンがあったが、昔のプロレスラーは力がある所を見せるデモンストレーションで良く電話帳を裂いていた。
馬場もフリッツのアイアンクローでこめかみから出血させられていた。エリック兄弟もアイアンクローを使ったが、最高のアイアンクローの使い手は父親のフリッツだった。
冒頭、「真実にインスパイアされた物語」と字幕が出るが、真実はもっと凄く、まだ下にも自死した弟がいるのである。
ラストの兄弟の再会のシーンに涙、クレジット前のケビンの写真のコメントにまた涙だった。
「アイアンクロー」は、兄弟の絆、兄弟愛、夫婦愛、親子愛に満ち溢れた映画だった。
A24やるもんだ。プロレスファン以外の方にも観て欲しい作品である。
追記
フリッツは、生まれつき掌が大きく、その握力は100kgを超えていて、一説には120kgあったと言われている。
米人なのに(タイトルのように本名はジャック・アドキッソン)フリッツ・フォン・エリックというリングネームでドイツの軍服を着てナチスを気取っていたので、NWA世界チャンピオンにはなれませんでした(ナチスの残党がアメリカの世界チャンピオンじゃマズいよね)。ワルドー・フォン・エリックという弟を名乗る(偽者)レスラーと兄弟タッグを組んでいた事もあります。
映画の中でリングに上がったフリッツが文句を言っていたサム・マソニックは当時のNWA会長です。映画では描かれませんでしたが、フリッツは1975年にNWAの会長に就任しています。
フリッツ夫妻は後に離婚しており、フリッツは68歳でガンのため死去しました。
まだ、未見です。でも、今一番見たい映画です。僕もエリック戦は見たと記憶しています。親指と中指(?)の長さが25cmありと少年マガジンに実寸の手型が掲載されていたのを思い出しました。相撲とプロレスの最盛期でした。僕の得意技がアイアン・クローかストマック・クローでした。懐かしいです。
いつもありがとうございます。フォローさせて下さい。
コメントありがとうございます。
ファイティングファミリー
点数も良いですし、良さそうですね。
でも~U-NEXTで配信されてないです⤵️
配信されたら観ます。
一応都民なんですが、
新宿は遠い…
ありがとうございます!
「ファイティング・ファミリー」機会あったら見ますね~。
ボクシングもの よりプロレス映画に触れることは少ないので、良い情報いただきました😀
コメントありがとうございました。
ちゃんと背景を知っていると、面白いんだろうなぁと見てて思いました。
父、ドイツ系米人だったんですね。
オッペンハイマーの時も思いましたが、Mr. C. B.2さんのレビューとコメント、勉強になり色々知りたくなります。ありがとうございます!
まったくみなさんと同じ感想なのですが
「プロレス、お詳しいですね!」
アイアンクローはかけたりかけられたりしてましたが、本気で痛いとかあまり思っていませんでした。手加減してたのか、子どもで握力が弱かったせいなのか。
なぜか左手で右の手首を握ってやってましたが、あれ、なぜでしょうか?
コメントありがとうございました。わたしは、もらったAmazonギフト券が余っていたので、アマプラの配信を購入しました。
おすすめです! 楽しんでください。
コメント読みました。ありがとうございます。
「ファイティング・ファミリー」は
Amazonでブルーレイが1500円以内で買えそうですよ。
良かったら検討くださいませ。
ドウェイン・ジョンソン(ロック様)の試合が最高です。
レビュー楽しみにしています。
今晩は。
とんでもありません。ドンドン私のレビューの瑕疵に御指摘願います。
私は、レビューを書くのが(多分)早い方なので、誤謬が多いのです。
ですので、御指摘頂けると有難いのです。では。
(明日から、又仕事・・。しかも、どでかい会議での報告。けれども、頑張って日々の仕事をこなしてこそ、週末の映画館で観る映画を楽しく観る事が出来るんですよね。当たり前ですが。)
さあ、明日から又頑張ろうっと。(By エレファントカシマシ。)
コメントありがとうございます。
レイスは全日の当初まで金髪で“ハンサム”でしたが、王座返り咲きで猿顔に黒+黄のトランクス、後期は大分スローモーな“ミスタープロレス”になってましたね。エリック兄弟との対戦は後期レイス。ローデス位しか次期世界王者候補が居らず、フレアー、デビアス、ダビッド辺りが候補でしたが・・ケビンの名は聞いた事無かったですね。
共感ありがとうございます。
ダビッドの病気はレスラー仲間では周知だったようですね。親兄弟は大した事無いと思ってたんですかね。元気で試合したら天龍相手に王座を下り、帰国後NWA世界王者になる段取りだった?
本当に、プロレスにお詳しいですねー。
フリッツの実物と試合を見てるんでものね。
凄いです!!
「ファィティンクファミリー」はに
ありがとうございます。
私、ほかに「カリフォルニア・ドールズ」も大好きなんです。
この映画も娯楽作品として楽しかったです。
フローレンス・ピュー「お宝映画」かもですね。
sow_miyaさんの情報では
Amazonで吹き替え版が課金して観れるそうです。
わー、すごいプロレス男子でしたねー!それは感動できたことでしょう。
それぞれの役者さんの役作りが本当に素晴らしかったから、余計に感情移入したし、あんなに努力して成功しても自殺しちゃうんだと虚しくなりました。
あ、リリーの力技、真似できる偏差値じゃないので大丈夫ですwww
今晩は。
共感及び物凄いリアルプロレス愛と、博学さに驚きました。
素直に素晴らしいレビューだと思いました。
私は、今作がフリッツ・フォン・エリックを、息子達に進むべき道を強いる前時代的な父親像として描かなかった所が良かったかなと思いました。(多分、自殺した方の数を考えると、違う気が少ししましたが・・。)では。