「【父、フリッツ・フォン・エリックの絶対的権威の元、フォン・エリック家の呪縛と兄弟愛に苦悩する二男の姿と、兄弟達のレスリングシーンが熱い作品。リリー・ジェームズの存在が一服の清涼剤になっています。】」アイアンクロー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【父、フリッツ・フォン・エリックの絶対的権威の元、フォン・エリック家の呪縛と兄弟愛に苦悩する二男の姿と、兄弟達のレスリングシーンが熱い作品。リリー・ジェームズの存在が一服の清涼剤になっています。】
ー 今作で描かれる、フォン・エリック家の呪いが凄すぎる。
三男デヴィッドが日本で興行中に急死、
四男ケリーはバイク事故で片足首から先を無くすし、
五男マイクはミュージシャン志望だったが、急遽レスラーに抜擢。
だが、ドロップキックした際に肩から落ち、原因不明の病になり、言葉がまともに話せなくなってしまう。
二男のケビン(ザック・エフロン)のみが、綺麗なお嫁さんパム(リリー・ジェームズ)を貰い、幸せな人生を送るのだが・・。
(実際には、六男の方もいらっしゃったらしい。そして、六人兄弟で自殺された方が三名もいる・・。
が、これは映画レビューなのでこれ以上は書かない。)ー
◆感想
・今作はフォン・エリック家の呪縛が続くシーンと、フォン・エリック兄弟が父の夢である全米チャンピオンになるため奮闘するリングシーンとで構成されている。
・特にリングシーンは鍛え上げた身体のザック・エフロン演じるケビンのトップロープからのボディアタックにより、三カウント取るシーンや、場外乱闘シーンも見応えがある。
・それにしても、フォン・エリック家の呪縛が凄い。
劇中ケビンがパムに言った”俺は二男何だよ。今まで遊んでいた兄貴が急に死んだんだ・・。”にはビックリである。
ー ”五人兄弟で、まともな人生を送れたのが一人ってどうなのよ!”けれども、実話ベースであるから仕方がない。ー
・父、フリッツ・フォン・エリック・(ホルト・マッキャラナー)の息子達が死んでも、”男は人前では涙を見せない。”(この言葉がラストに効いてくるのである。)と言い放ち、表面上は表情を変えない所や、母も涙を見せない所に、歪な家族関係が見て取れる。
ー 息子達はそんな父に反発しつつも、敬愛しているため面と向かって文句を言わない。-
■沁みたシーン
・四男ケリーが夜中にケビンの家に掛けて来た憔悴した声の電話。そして、ケビンが父の家に行くと響いて来たピストル音。ケリーは全てに疲れていたのだ。
ー 初めて、父を詰りながらケリーの身体を両手で運び、父の家の今のテーブルの上に沈痛な表情で静に置くケビンの姿。ー
・時は過ぎ、ケビンにも二人の男の子が出来、彼は二人が庭で遊んでいる姿を見ている。パムのお腹も大きい。
そんな姿を見ている間に、ケビンは顔を覆うことなく、涙を流し始める。二人の息子が心配して駆け付けて来るも、ケビンは””男は人前では涙を見せないんだよな。”と言いつつ、涙を流し続けるのである。
ー 彼の脳裏に有ったのは、自分と同じように家族を持てなかった志半ばでこの世を去った兄弟たちへの想いであろう。それが、涙に繋がったのは容易に想像がつく。ー
<今作は、実話ベースの物語と言う所にも驚くが、フォン・エリック家の呪縛と兄弟愛、大家族愛の間に挟まれ苦悩する二男ケビンの姿を描いた作品なのである。
ラスト、ケビンが亡き兄弟たちを思いつつ、自分の子供達が遊ぶ姿を見て、涙を流すシーンは可なり沁みます・・。>
共感コメントありがとうございます。「オッペンハイマー」の長文レビューの作成で精も根も尽き果て3日間映画が観られませんでした。(本当に年表作るので疲れた)
私も知らなかったのですが、さっきWikiで調べたら長男Jrは5歳の時に感電死だったようです。
NOBUさんのレビューいつも楽しみにしています。では。