ジャン=リュック・ゴダール 遺言 奇妙な戦争のレビュー・感想・評価
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canon
写真の断片の連続が文字とともに示されるのだけど、写真の裏側を見せていることが面白い。「canon」と思いっきり企業名が書かれていて、豊かな写真の世界も裏返せば味気ないもんだよということなのか。企業活動に支えられている芸術活動みたいな。
黒味映像の多用、ぶつ切りにされる音楽、どれをとっても自然ではない。映画というか映像は、世界をそのまま切り取れるということが言われるのだけど、自然に見えることを拒否するかのように人工的な部分を強調しまくるのは相変わらずというか。実際、映画もまたひとつの「物体」ではある。
20分という短さがいい。これは未完の作品なのだろうけど、未完と完成の境もゴダール作品には元々薄い。「完成」ってどういう状態を指すんだっけ、とも思う。絵画なら美術館に飾られた状態が完成なのか、でももっと何か足したり引いても本当はいいのかもしれない。映画なら、映画館で上映した状態が完成なのか、でも、その後にいろいろ修正したり再編集する場合もあるし、「完成」って何だ。
あらゆる物事は未完の過程なのかも。
20分の強烈な映画体験
典型的な映画の脚本作りの際、序破急や起承転結の下に置くブロックの数...
典型的な映画の脚本作りの際、序破急や起承転結の下に置くブロックの数が40が良いとされています。
何の話やねんというと、今作のコラージュ画像の数が表紙や水彩画、白も含めて43なのだそう。
つまり確かに予告であり映画の全体像なんですね、見た人がさっぱり理解できないというだけで。
だから「へー!」と。それだけです。すいません。
カッコいい
未完
思い入れのある人は
自分的には集大成でも最高傑作でもない
2022年9月に逝ったジャン=リュック・ゴダールの遺作となった20分の短編。
写真、映像、絵、手書きの文字などのコラージュを淡々と映し出すスタイル。時に音楽やナレーションが重ねられた。
我々信者はこれらからゴダールの心情を勝手に読み取る術を知っている。ただしゴダールの思いと一致しているか否かは定かでない。
チラシに「ゴダール芸術の集大成的作品」とあり、ゴダール自身「これが私の最高傑作だ!」と言ったようけど、自分的にはこれが集大成でもなければ最高傑作でもない。
そう、45年前に「女と男のいる鋪道」で出会って以来、幾度となく衝撃を受けてきたのだから。
ということで東北の震災から13年経った今日、2024年3月11日現在のゴダール・ベストスリーは、
①女と男のいる鋪道
②ウイークエンド
③気狂いピエロ
ロシア語はやめて
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