ジャン＝リュック・ゴダール　遺言　奇妙な戦争のレビュー・感想・評価

20分ですが、濃厚な時間を過ごしました。
遺作ということですが、
断片的なモチーフを連続して構築している感じです。
途中、「ロシア語はやめて」というセリフがあり、
それが耳に残りました。
現在のロシアを思いうかべました。
観るかどうか迷いましたが、観てよかったです。

典型的な映画の脚本作りの際、序破急や起承転結の下に置くブロックの数が40が良いとされています。
何の話やねんというと、今作のコラージュ画像の数が表紙や水彩画、白も含めて43なのだそう。
つまり確かに予告であり映画の全体像なんですね、見た人がさっぱり理解できないというだけで。
だから「へー！」と。それだけです。すいません。

インクジェット写真用紙の裏側にCanonの文字が反復する。写真、メモのような文字、白紙、音、本人の話し声、映画の画面が数カット。

芸術的なコラージュというより、子どもが糊とハサミを使って楽しく工作してるみたい。

かつてフィルムを切ったり繋げたりして映画を作っていた監督が、最後にまた工作を楽しんでいるみたい。フィルムからデジタルに軽やかに遊んでるような。とにかく粋だった。

爺さん、死ぬまでかましてくれた。

ゴダール監督作品は数えられるくらいしか観ていないので、そこまで熱狂的なファンでは無いんですが、短編の遺作という珍しさに惹かれて鑑賞。特典はポストカードでした。

映画ではなく短編、しかも未完成作品の予告という形なので、1本の作品としてはアレな出来ですが、ゴダールの頭の中を覗き見できるという体験、漫画でいうネームをじっくり観れるというのは面白かったです。ただ音が突然バーンが鳴るのは心臓に悪かったです。

これが本編として作られていたらどうなっていたんだろうとはなりました。どうか安らかに。

鑑賞日 3/5
鑑賞時間 19:55〜20:25
座席 G-7

ゴダール好きは観た方がいいと思う

私はゴダールに特に思い入れがなく
どういった思想の元で映画を作っていたかも
よく知らないので、少し退屈だった。

ただ、短編映画ってこんな感じで
今後もカジュアルに観られるようになればいいのに、と思った

2022年9月に逝ったジャン＝リュック・ゴダールの遺作となった20分の短編。

写真、映像、絵、手書きの文字などのコラージュを淡々と映し出すスタイル。時に音楽やナレーションが重ねられた。

我々信者はこれらからゴダールの心情を勝手に読み取る術を知っている。ただしゴダールの思いと一致しているか否かは定かでない。

チラシに｢ゴダール芸術の集大成的作品｣とあり、ゴダール自身｢これが私の最高傑作だ！｣と言ったようけど、自分的にはこれが集大成でもなければ最高傑作でもない。

そう、45年前に｢女と男のいる鋪道｣で出会って以来、幾度となく衝撃を受けてきたのだから。

ということで東北の震災から13年経った今日、2024年3月11日現在のゴダール・ベストスリーは、
①女と男のいる鋪道
②ウイークエンド
③気狂いピエロ

ゴダールの作品は初めて。
最後の遺言、メッセージなのだろう。
最後まで作品を作って見せると彼の意志の
強さを感じた。
ゴダール作品は今度機会があれば観たい。
観る事で、今回の作品でゴダールは何を
伝えたかったのか分かるかもしれない。

未完の作品の、予告編またはあらすじ。
仕上げる前に監督は旅立ちましたが。
どんな話になったろうかと、諸々のキーワードから想像したくなります。

ご冥福をお祈りいたします。
私ごとで理解できるはずがございませんが、巨匠の最後のメッセージしっかりと焼き付けてまいりました。学生のころに「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」「軽蔑」など背伸びして作品を鑑賞していたのを思い出します。
数々の偉大な作品をありがとうございました。