劇場公開日 2024年7月12日

「シリーズ第4弾」キングダム 大将軍の帰還 KeithKHさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シリーズ第4弾

2024年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

もはやおなじみの、古代中国の春秋戦国時代末期を舞台に、中国史上初めて天下統一を果たした秦始皇帝と、それを支えた武将李信(信)が主人公の物語。信が一兵卒から大将軍に成り上がっていく成長譚のコミックが原作であり、実写映画では久々の大ヒットシリーズの第4弾が本作です。第3弾「運命の炎」に引き続いて馬陽の戦いのその後が描かれます。

中国の広大な大地に巨大な城郭と街衢、そして膨大な人数の軍勢が動く肉弾戦、これら壮大なスケール感が醍醐味の本シリーズは、元来が人間ドラマをきめ細かく見せる映画ではなく、アクションのド迫力で見せる映画であって、本作でもこの点は大いに満足させてくれました。
空前絶後の圧倒的スケール感の大スペクタクル、勇猛果敢な大軍勢同士が衝突する身震いのする気宇壮大なパースペクティブ、天下無双の将兵一人一人が剣と槍のみでぶつかり合い殺し合う迫力。
ひたすら狂瀾怒濤の合戦と白兵戦での生死を賭けた立回りシーンが、シチュエーションを変えつつ繰り返されます。中でも大将軍・王騎と敵将・龐煖の一騎討ちの長尺シーンは、二人に並走して捉える映像による躍動感とスピード感によって思わずスクリーンに引き込まれ、大いに見応えがありました。
将軍にも関わらず、古今無双の残酷なまでの強さを観客に強烈に見せつけた龐煖だけに、王騎との決闘は人間離れした怪物同士の対決であり、CGを駆使した映像にはつい引き寄せられざるを得ません。

馬陽の戦い後半の推移と決着にのみ終始する本作は、数多の英雄豪傑たちが己の強味を思う存分発揮して跳梁跋扈し、鎧袖一触、敵兵を薙ぎ倒していく、快刀乱麻を断つ痛快さは満たされ、終始ワクワクドキドキさせられます。但し、秦に攻め込んだ趙軍を馬陽で迎撃するという根幹のストーリーそのものは極めてシンプルで、映画全体は非常に分かり易く作られていると思います。

ただ数多くの屍を残しても、秦、趙、どちらも戦闘目的を達して、どちらも勝利したと宣言し撤兵していくエンディングは、戦争の虚しさと無意味さを感じさせるラストでした。

何れにしても、映画の原点がエンターテインメントだということを得心し満喫出来た作品でした。

KeithKH